【完結】美人の先輩と虫を食う

吉田定理

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冬の章

12 赤の他人、黄色の他人④

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「そんな……」
 不安が突風のように僕を襲った。先輩がいない。通行人さえ一人も。僕は周辺を走り回った。のどと肺がキリキリと痛んでも休まずに走って先輩を探した。一番近いコンビニで二杯目のコーヒーを飲んでいるのかも? 探してみたけれど、やはり先輩の姿は見えない……。
 そうだ、電話すればいいじゃないか。
 僕はケータイを取り出して、先輩とのLINEを開いて、通話ボタンを押そうとしたところで手を止めた。こんな想像が頭をよぎる。――先輩はトイレから出てきて、僕がいないことに気づいた。寒い中を無駄に歩かされ、こんな場所で放置されたと知って、呆れて帰ってしまったのだ……。
 いや、そんなことは……。
 青葉通りの真ん中でうなだれる。冷たいアスファルト、捨てられたタバコの吸い殻、闇。
 僕は最低だ。大好きな相手をほったらかしにするなんて。一番やってはいけないことをしてしまったのだ。先輩はトイレから出てきて、僕がいないと気づいて、どんな気持ちになっただろう? 驚き、失望、怒り、悲しみ……。
 ぽつりとアスファルトに丸いシミを作ったのは、自分の涙だった。いや、たぶん泣きたいのは先輩のほうだろうが、とにかく僕は自分が情けなくて、先輩に申し訳なくて、胸がぎゅっと締め付けられるようだった。涙は手の甲で拭っても拭っても、次々とあふれてくる。
 先輩と出会ってからのことが走馬灯のように僕の脳裏をよぎった。斎藤さん、石橋さん、須藤教授、凜ちゃんのことまで、急にいろいろなことを思い出した。思い出すほど涙は流れる。
 どうしてもっと賢明で無難な判断をしなかったんだろう。僕が先輩のことを一番に考えて、早く「駅に戻りましょう」と言っていたら、こんなことにはならなかったのに。そもそも卒業してしまう先輩と最後にデートしてもらおうだなんて考えが、間違っていたのではないか。僕みたいな、同級生としゃべるだけで苦労しているような人間が、ミスコンに出るような相手を誘うべきじゃなかった。同じサークルにいて時々会話をしたり、一緒に食事をしてもらえるだけで、満足していればよかったのだ。
 それなのに僕は、欲張ってしまった。
 欲張りたくなってしまった。
 僕の中に芽生え、育ってしまった特別な感情を、無視することはできなくなっていたから。
 ……痛い。
 大切な人がいなくなることが、こんなに痛いなんて、知らなかった。
 息が苦しくて、左手を膝に突いて、右手で上着の胸の辺りを強く握りしめて、目を硬くつむって、激流のような感情が通り過ぎて気持ちが落ち着くのを待つ。
 光も音も消えた。
 どのくらいの時間が経ったか分からないけど、ゆっくりと呼吸ができるようになった。
 立ち上がって、もう一度LINEの画面を開き、通話ボタンを押す。
 誰かのケータイが振動する音が聞こえて、振り返った。
「渡辺くん、大丈夫?」
 心配そうな先輩の瞳が、僕を真っ直ぐに見つめていた。と思えば先輩はカバンからケータイを出して、僕からの着信を見て、また仕舞った。
「ごめん、電話してくれたんだね」
 僕は通話を切った。
「先輩、今まで、どこに」
「テントウムシ」
 ……意味が分からない。
「こっちだよ。動ける?」
 僕はうなずいた。
 先輩はトイレのほうに向かっていく。だがトイレに入るのではなく、側面を回って裏へ。外壁と植え込みの間の、先輩が指差す場所には、誰が何のために置いたのか、板切れが立てかけてあった。
「もっと前」
 先輩に言われて、狭いスペースに入っていく。なんでトイレの裏のこんな場所に? もしかしてここにいたの? 気付くわけないよ……。
 先輩はまるで秘密基地に案内する子供みたいに、僕が驚くのを期待しているような顔だった。
「しゃがんで。よく見て、渡辺くん」
 言う通りにすると、先輩がスマホのライトで板切れを照らした。
「ちょっとごめんねー」
 後ろに立った先輩が、片手を僕の肩に置き、もう一方の腕を僕の顔の横から板切れに伸ばした。距離が近い。背中に先輩の柔らかさを感じる。
 先輩の手が、そっと板を動かすと――。
「うわぁッ!?」
 僕は情けない悲鳴をあげて尻餅を突いた。
 板の裏には大量のテントウムシが貼り付いていた。十匹とか二十匹とかではなく、百匹以上が隙間なく身を寄せ合っているのだ。赤、橙、黄色。点の数や模様はバラバラだ。ちょっとけばけばしいというか、グロテスク。不気味だ……。
「はははは。渡辺くん、いい反応」
 先輩が得意げに笑う。
「な、なんですかこれ」
「ナミテントウだよ」
「いろいろいますけど」
「全部ナミテントウ」
「いやいや、これ明らかに模様が違いますけど。こいつとか」
 僕は橙の体に黒い小さな点――星がたくさんある、特徴的な一匹を指差した。
 先輩はかがんでいる僕にくっつくくらい密着して立ち、僕に覆いかぶさるように身を乗り出す。
「それもナミテントウ」
「この黒いのは」
 黒地に大きな赤い星が二つだけあるのを指差した。
「うん、それもナミテントウ」
「僕をからかってます?」
「本当のことだよ」
 真っ赤な体をしているのもいるし、星の数が二つだったり四つだったり、もっと多かったりする。星と星が繋がっているような模様もある。要するに色も模様もかなりの種類があるのだ。
「ナミテントウの模様は二百種類あるとか言われてるからね」
「二百!? マジですか」
「マジだよ。何か悲しいことでもあったの?」
 僕は先輩にまた気を遣われたのだと分かった。
「ええ……まあ、ちょっと」
 とてもじゃないが恥ずかしくて「先輩が一人で帰ってしまったと思って泣いていた」とは言えなかった。こんな近くにいたなら、恥を忍んで大声で呼べばよかったよ……。デート中に泣くなんて、ダサずぎる……。
 僕は話をそらそうと思って、ナミテントウたちに顔を向けた。
「これも食べるんですか?」
「いやー。羽は硬いし味もちょっとねー」
「食べたことはあるんですね。それにしても大家族ですね」
「家族じゃないよ。赤の他人同士」
「こんなにカラフルなのに」
「そうだね」
 先輩がくすりと笑った。
「一匹なら可愛いと思えるんですが、さすがにこれは生理的にきついと言いますか……」
「まあ、分かるよその気持ち。だけどこうして集まってるのを見ると、なんだか私たちと似てる気がしない? 家族でもない他人同士、たまたま出会ったもの同士が身を寄せ合って冬を耐える。暖かくなったら、みんなそれぞれの場所に飛び立っていく」
「そうですね。僕らと同じです」
「虫の輪は、昆虫料理の研究と普及のために作った。その名前には、昆虫食を通じて、人と人が手を取り合って大きな輪ができたらいいな、誰かの居場所になればいいな、って願いも込めてあるんだ。他のみんなにも、話したことないけど」
「じゃあ僕も、先輩も、その輪の一部ですね」
「その通りだよ」
 先輩はそっと板を元に戻し、スマホのライトを消した。
 冬が終わって春になったら、別れが待っている。
 今、こうして一緒にいられることが奇跡なのかもしれない。
 だからどうしても、今、この気持ちを伝えなければならないんだ。
 たとえそこが、公衆トイレの裏の、この世で最も告白に相応しくない場所だったとしても。
「先輩、こんなところで、こんな体勢で恐縮なんですけど」
「うん」
「僕、先輩のことが、好きです」
 胸の中で張り詰めていたものが緩んでいく。……言えた。やっと言えた。
 充足感と不安と恥ずかしさ。後はどうとでもなれ、という投げやりな感じもある。
 すぐ後ろにいる先輩の表情は、僕からは見えない。こんなに近くにいるのに、相手の顔を見ないで告白するなんて、論外かもしれない。でもこれが僕の精一杯だ。
「渡辺くん、それはつまり、どういうこと?」
「どうって……」自分の顔が熱を発している。「つまりその、女性として、好きだということです。こ、恋人に、なりたいという意味です」
 先輩がどんな表情をしているのか、見るのが怖い。振り向けばすぐそこにいるけれど。
「僕みたいな男は、先輩と釣り合わないって思います。先輩は僕みたいな人間からしたらすごい人で、はっきりとした『自分』を持っていて、僕みたいに、何が好きかも答えられないようなことはないし、周りに流されないし、真っ直ぐだし……」
「渡辺くん、ごめん」
 先輩の静かに諭すような声が、僕の冗長な話をさえぎった。
「私は君が思うほど『自分』を持ってるわけじゃないと思うよ」
「え? でも先輩は森が好きで、虫が好きで、他にも好きなものがたくさんあって、僕なんかとは……」
「あのね」先輩は優しく続けた。「たぶんそう違わないよ。ううん、そうであってほしい、かな。私、昔から周りと自分って、すっごいズレてるなーとは思ってたんだけど、気にしないように生きてきた。好き勝手にやってきた。でもこの歳になって、就活やってるうちに、今までの私じゃ全然ダメだって分かった。なんとかして今までの自分を出さないように、出さないようにって頑張ったら、自分が何なのか分からなくなってきて。自分を隠すほど、うまくいく、評価されるっていう感触があるの。私ってなんなんだろうって思うよ。いろいろ妥協して内定はもらったけど、なんか素直に喜べなかった。むしろ私を隠したまま内定をもらってしまったことが、不安で仕方なかった。虫の輪は、私の唯一の居場所だもの、そこから出ていくのは怖い。いつの間にか、変な考えにも取りつかれた。人類がいなくなればいいとか、未曽有の大災害が起こって誰にもどうにもできなくなれとか、この街が消えちゃえばいいとか。何も考えないで寝ている時間、ご飯を食べている時間、お風呂に入っている時間が、すごく幸せに思えて、それがずっと続けばいいって思ってた」
 あ、でも、今は少し落ち着いたけど、と先輩は付け加えた。
「あの日も……私が石橋くんの部屋でバカなことした日も……不安でたまらなくて、私のことを一番知ってるのは、四年も付き合いがある斎藤くんだって思ったら、なんとしても斎藤くんをそばに繋ぎとめなきゃ、そうしないともっと自分が分からなくなるって思って、あんなことをしたんだと思う。斎藤くんにとっては、いい迷惑だよね」
 先輩のような人でさえ、『自分が何者なのか分からない』と言う。僕の中の先輩ははっきりとした輪郭を持っているのに、先輩から見た先輩は、そうではないと言うのか。
 じゃあ、僕が見ていた先輩は、何者なのか?
 恐らく多かれ少なかれ、誰もが『自分』を探している。新しい自分。自分が知らない自分。理想的な自分。先輩もその一人だったということ。僕もその一人だ。考えてみれば、当たり前のことなのだろう。完璧に見える人も、悩みなどなさそうな人も、やはり凡人と同じで、何かしらの悩みや苦しみを抱えている。それだけのこと。
「僕は高校のとき、ネトゲ中毒者でした。友だちなんていませんでした。学校は毎日が退屈で、自分が嫌いでした。だからこの大学に来る前に『自分』を捨てました。そして理想のキャンパスライフを過ごすって決めたんです。でも最近、気づいたんです。本当に嫌いだったのは――捨てたかったのは、ネトゲ中毒者の僕じゃなくて、理想に向かって努力しない、臆病な僕なんです。どうしたらいいか知っていたのに、何もしないで後悔ばかりしていた僕なんです。だから僕は後悔しないために、先輩に告白しました」
 本当はこんなことを打ち明けるつもりはなかったけど、話したくなったのだ。先輩に、僕のダメなところを知ってもらいたくなった。それで何がどうなるわけでもないけれど。
「そっか。渡辺くんは立派だと思うよ。しっかりと考えて、しっかりと行動した」
 先輩に誉められてまた涙が出そうだったけれど、こらえる。
「それに比べて、私はかっこ悪いね。自分が何者か分からないなんて、ありふれた悩みだよね。みんなうまく折り合いをつけて対処してるだろうに、私はあんなことをやらかして、バカみたい。ホント、恥ずかしい。ありえないよ。だいぶ落ちこんだ」
 先輩の大きなため息。
「どっちの私も私だって言えるように頑張るしかないね」
「はい。先輩は自分の欲望に対して妥協したりしません。先輩はマダゴキの卵を何度断られてもしつこく、ずうずうしくねだる人です。先輩は、黒毛和牛が食べられなくて、いつまでもふて腐れる人です。先輩は、自分が分からなくて不安になって、自分を一番よく知ってる相手に告白までしちゃう、とんでもない人です」
「はははは、そうかそうか」
「全部先輩です。僕が見てきた先輩です」
「うん、きっとそうだ」
 その言葉は、紅茶に溶けていく砂糖のように、僕らの中に溶けていった。
「渡辺くん、立って。こっち見て」
 恐る恐る言う通りにすると、先輩と至近距離で向かい合うことになった。濃い闇の中で、いつもの先輩が申し訳なさそうに微笑んでいる。
「嬉しいよ。すごく嬉しい。でも、渡辺くんのことがイヤだとか、男として見てないとか、そういうわけじゃ決してないんだけど、この時期に彼氏作るのは難しいのかなって思う。たぶんすぐに忙しくなって、君をほったらかすことになっちゃう。それは申し訳なさすぎる。だからごめんね、渡辺くん」
 ――フラれた。
 だけど大丈夫だ。予想はしていたから。今から本当の告白が始まる。本当の気持ちを先輩に伝えるために。
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