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第2怪:真珠蜘蛛
迫る決断
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静寂が場を支配する。
誰もが宗吾の言葉を理解できず、今いる場所が危険極まりない怪獣の中だということも忘れ、ただただ戸惑いの表情を浮かべる。
そんな中、真っ先に宗吾の言葉を理解できたのは、百戦錬磨のシルバースターだった。
「……相変わらず、お前の発想力は凄いな」
鉄仮面の二宮にしては珍しく、声と表情に感嘆の色が滲んでいる。
まだ理解とはほど遠い位置にいる伏見が「何がどういうことっすか」と呟く。
するとこれまで会話に全く参加してこなかった佐々木が、ぽんと手を叩きはしゃぎ声を上げた。
「そういうことかー。君面白いこと考えるねー。それは確かに盲点だったよ」
「おい、勝手に理解するな。分かったなら説明してくれ」
伏見同様さっぱり話についていけない大石が、弱った声を出す。
第五の研究者としての血が騒ぎだしたのか、佐々木は元気よく話し出した。
「大石さんも伏見さんも知ってるでしょ。真珠蜘蛛は、獲物を蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにして真珠にしちゃうってこと」
「ああ。当然知っている」
「ここで面白いのはさ、たぶんだけど人だろうと怪獣だろうと機械だろうと、何でも真珠にできちゃうってことなんだよ」
「面白いか? ではなく、それが斎藤と何の関係があるんだ」
「うーんと、人も怪獣も機械も全て物質としてはまるで別物だよね。でも、それらを、同じ真珠に変換できる。つまり真珠蜘蛛の吐き出す蜘蛛の糸には、包んだ物質を別の物質に変化させる力があるってこと。ここまではOK?」
「あ、ああ」
「は、はい」
伏見と大石の反応を見てから、佐々木は続ける。
「さてここで、石神君は面白い仮説を提唱したわけです。実は真珠蜘蛛は、俗にいう真珠以外のモノにも物質を変化させられるんじゃないかって。例えば、人の頭とかね」
「!!!」
「私たちが勝手につけた名前で勝手に印象操作されてたわけだけど、そういう物質変換能力を真珠蜘蛛が持っているのなら、別段真珠しか作れないとは限らない。ましてここに人間の協力者がいたのなら、そうした知恵を与えたとしてもおかしくはない。て、そういう感じであってるよね?」
「はい。仰る通りです」
宗吾は首肯すると、ここまでの話をまとめた。
「佐々木さんが話してくれたように、真珠蜘蛛には真珠に限らず別のモノに作り変える力が備わっていた。経緯は分かりませんが、真珠蜘蛛と協力関係を結んだ斎藤さんはその能力を知り、自身の生首を真珠蜘蛛に作ってもらい、自分の死を偽装して僕らを皆殺しにする計画を思いついた。これが僕が辿り着いた事件の真相です」
「……」
真相を聞き、一同は再び黙り込む。
今度は理解できないからではない。理解できてしまったがゆえの沈黙。
仲間の中に本当に裏切者がいたという事実。そしてその狂気に満ちた偽装方法に戦慄を禁じ得ないでいた。
しかし、いつまでも呆けているわけにもいかない。裏切者がこの中にいないということは、早期撤退の重要性が高まったと言えるのだから。
今この瞬間にも斎藤は刹亜たちを皆殺しにする策を張り巡らせているはず。一刻も早く脱出しなければ、次にどんな手を打たれるか分かったものではない。
宗吾は高倉が所持していた銃を含めた装備を伏見に渡しながら、言った。
「伏見さん、大石さん。裏切者は斎藤さんであり、ホンファさんではないんです。そしてここから全員が生きて帰るには、やはりホンファさんに運んでもらうのが一番安全だと思います。僕の推理に完全に納得したわけではないかもしれませんが、お二人も、ホンファさんを信じてくれませんか」
伏見と大石は顔を見合わせる。場合によっては、自分の生死を決める決断。すぐさま判断できるわけもなく、しばらく顔を青ざめさせて沈黙を続ける。
ただ時間が惜しいことは二人も承知のこと。まもなく二人は、小さく頷いた。
誰もが宗吾の言葉を理解できず、今いる場所が危険極まりない怪獣の中だということも忘れ、ただただ戸惑いの表情を浮かべる。
そんな中、真っ先に宗吾の言葉を理解できたのは、百戦錬磨のシルバースターだった。
「……相変わらず、お前の発想力は凄いな」
鉄仮面の二宮にしては珍しく、声と表情に感嘆の色が滲んでいる。
まだ理解とはほど遠い位置にいる伏見が「何がどういうことっすか」と呟く。
するとこれまで会話に全く参加してこなかった佐々木が、ぽんと手を叩きはしゃぎ声を上げた。
「そういうことかー。君面白いこと考えるねー。それは確かに盲点だったよ」
「おい、勝手に理解するな。分かったなら説明してくれ」
伏見同様さっぱり話についていけない大石が、弱った声を出す。
第五の研究者としての血が騒ぎだしたのか、佐々木は元気よく話し出した。
「大石さんも伏見さんも知ってるでしょ。真珠蜘蛛は、獲物を蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにして真珠にしちゃうってこと」
「ああ。当然知っている」
「ここで面白いのはさ、たぶんだけど人だろうと怪獣だろうと機械だろうと、何でも真珠にできちゃうってことなんだよ」
「面白いか? ではなく、それが斎藤と何の関係があるんだ」
「うーんと、人も怪獣も機械も全て物質としてはまるで別物だよね。でも、それらを、同じ真珠に変換できる。つまり真珠蜘蛛の吐き出す蜘蛛の糸には、包んだ物質を別の物質に変化させる力があるってこと。ここまではOK?」
「あ、ああ」
「は、はい」
伏見と大石の反応を見てから、佐々木は続ける。
「さてここで、石神君は面白い仮説を提唱したわけです。実は真珠蜘蛛は、俗にいう真珠以外のモノにも物質を変化させられるんじゃないかって。例えば、人の頭とかね」
「!!!」
「私たちが勝手につけた名前で勝手に印象操作されてたわけだけど、そういう物質変換能力を真珠蜘蛛が持っているのなら、別段真珠しか作れないとは限らない。ましてここに人間の協力者がいたのなら、そうした知恵を与えたとしてもおかしくはない。て、そういう感じであってるよね?」
「はい。仰る通りです」
宗吾は首肯すると、ここまでの話をまとめた。
「佐々木さんが話してくれたように、真珠蜘蛛には真珠に限らず別のモノに作り変える力が備わっていた。経緯は分かりませんが、真珠蜘蛛と協力関係を結んだ斎藤さんはその能力を知り、自身の生首を真珠蜘蛛に作ってもらい、自分の死を偽装して僕らを皆殺しにする計画を思いついた。これが僕が辿り着いた事件の真相です」
「……」
真相を聞き、一同は再び黙り込む。
今度は理解できないからではない。理解できてしまったがゆえの沈黙。
仲間の中に本当に裏切者がいたという事実。そしてその狂気に満ちた偽装方法に戦慄を禁じ得ないでいた。
しかし、いつまでも呆けているわけにもいかない。裏切者がこの中にいないということは、早期撤退の重要性が高まったと言えるのだから。
今この瞬間にも斎藤は刹亜たちを皆殺しにする策を張り巡らせているはず。一刻も早く脱出しなければ、次にどんな手を打たれるか分かったものではない。
宗吾は高倉が所持していた銃を含めた装備を伏見に渡しながら、言った。
「伏見さん、大石さん。裏切者は斎藤さんであり、ホンファさんではないんです。そしてここから全員が生きて帰るには、やはりホンファさんに運んでもらうのが一番安全だと思います。僕の推理に完全に納得したわけではないかもしれませんが、お二人も、ホンファさんを信じてくれませんか」
伏見と大石は顔を見合わせる。場合によっては、自分の生死を決める決断。すぐさま判断できるわけもなく、しばらく顔を青ざめさせて沈黙を続ける。
ただ時間が惜しいことは二人も承知のこと。まもなく二人は、小さく頷いた。
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