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空を自由に羽ばたく二匹のカラス。
寄り添うように同じ風に乗っているあたり、きっと番同士なのだろう。
僕も、好きな人と一緒に、どこへでも行ける翼があったらよかった。
羨ましいと思った瞬間、胸の奥がかすかに痛んだ。
どうせ僕は、空を見上げることしかできない。
それでも、あなたがくれた優しい声を思い出すたび、この弱い身体でも、生きていたいと思ってしまう。
今日も、ベッドの上から空を眺める。
体は思うように動かず、起き上がるだけで息が切れ、憂鬱な気持ちになる。
それでも──
好きな人が、毎日ここへ会いに来てくれる。
その事実だけで、胸がいっぱいになるほど嬉しかった。
けれど同時に、怖くもなる。
いつも横になったままの僕。
弱くて、何もしてあげられないΩ。
こんな姿を見続けて、それでも相手は、本当に同じ気持ちでいてくれるのだろうか。
愛されていると信じたいのに、
信じきれない自分が、いちばん嫌だった。
だからだろうか。
その答え合わせをするように、僕は医者の言葉を待っていた。
白いカーテン越しの光が揺れる診察室で、
医者は静かに、けれど逃げ場のない声で言った。
「あなたの今の体は、番契約に耐えられないでしょう。
項を噛まれたΩは、その瞬間から体の作りが変えられるんです。」
「耐えられないって、それってつまり……」
その言葉は、胸の奥に溜め込んでいた不安を、ただ正しい形に言い直しただけだった。
──やっぱり、そうなんだ。
僕は、“選ばれない”Ωなんだ。
「今の状態で噛まれれば、命に関わります」
それでも脳裏に浮かぶのは、
毎日、会いに来てくれるあの人の顔だった。
優しい声。
触れないようにしてくれる指先。
噛まれないという選択が、
本当に“愛されている証”なのか、
それとも──。
信じきれないのは、あの人じゃない。
こんな身体で愛されていいのかと疑ってしまう、自分自身だった。
寄り添うように同じ風に乗っているあたり、きっと番同士なのだろう。
僕も、好きな人と一緒に、どこへでも行ける翼があったらよかった。
羨ましいと思った瞬間、胸の奥がかすかに痛んだ。
どうせ僕は、空を見上げることしかできない。
それでも、あなたがくれた優しい声を思い出すたび、この弱い身体でも、生きていたいと思ってしまう。
今日も、ベッドの上から空を眺める。
体は思うように動かず、起き上がるだけで息が切れ、憂鬱な気持ちになる。
それでも──
好きな人が、毎日ここへ会いに来てくれる。
その事実だけで、胸がいっぱいになるほど嬉しかった。
けれど同時に、怖くもなる。
いつも横になったままの僕。
弱くて、何もしてあげられないΩ。
こんな姿を見続けて、それでも相手は、本当に同じ気持ちでいてくれるのだろうか。
愛されていると信じたいのに、
信じきれない自分が、いちばん嫌だった。
だからだろうか。
その答え合わせをするように、僕は医者の言葉を待っていた。
白いカーテン越しの光が揺れる診察室で、
医者は静かに、けれど逃げ場のない声で言った。
「あなたの今の体は、番契約に耐えられないでしょう。
項を噛まれたΩは、その瞬間から体の作りが変えられるんです。」
「耐えられないって、それってつまり……」
その言葉は、胸の奥に溜め込んでいた不安を、ただ正しい形に言い直しただけだった。
──やっぱり、そうなんだ。
僕は、“選ばれない”Ωなんだ。
「今の状態で噛まれれば、命に関わります」
それでも脳裏に浮かぶのは、
毎日、会いに来てくれるあの人の顔だった。
優しい声。
触れないようにしてくれる指先。
噛まれないという選択が、
本当に“愛されている証”なのか、
それとも──。
信じきれないのは、あの人じゃない。
こんな身体で愛されていいのかと疑ってしまう、自分自身だった。
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