優劣

平村藤子

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04.ちょっとだけ新しい始まり

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「電車…乗れるかな…」
私、篠宮紗月は悩んでいた。新しい町に越してきたばかりでまだあまり慣れていないのに、片手で数えられる程度しか電車に乗ったことがないため、同じ制服を着た人についていく他ない。そして、糸川市程ではないが、そこそこ人がたくさんいて押しつぶされそうだし怖い。
「あ、あの人同じ制服…」
無事同じ制服の人を見つけた。あの電車に乗ればいいのか。


 糸川市についた。この時間の電車は割と空いてたおかげで座れた。ここから学校まではバスで20分。バス酔いしなければいいな。


 糸川北じゃなさそうな制服の人もいる。隣の成田優性さんかな。ブレザーはお洒落で羨ましいな。セーラー服も嫌いじゃないけど。


 …あの顔見覚えある気がする。でも中学の同級生じゃないし… 誰だっけ?


 そうこうしているうちに学校近くのバス停についた。ここから歩いてすぐの所。建物が見えるからあそこに向かえばいいのね。


 学校まで歩く。今日は雲が少なくて、一面青空が広がっている。4月といえど、桜はまだ咲いていない。むしろ、まだ3月の雪山が残っているくらいだ。桜が咲くのは5月上旬。お花見はゴールデンウィークをおすすめする。


 学校についた。【第135回糸川北一般高等学校入学式】と書かれた大きな看板が目に入る。受付を済ませ教室へ向かう。優性特進科が1クラス、普通優性科が1クラス、普通一般科が3クラス、普通劣性科が1クラス。順番に優特・通優・通一・通劣と略す。優特が市組いちくみ、通優が仁組にくみ、通一が珊組さんくみ椎組しいくみ瑚組ごくみ、通劣が勒組ろっくみ。私は通一の椎組。一般棟の4階、東階段側から3つ目の教室。優特・通優・通劣は優劣棟の4階にある。4階と3階の間・2階と1階の間に優劣棟と一般棟を繋ぐ渡り廊下があってそこから行き来できる。他に、教科棟がある。音楽室や理数教室といった副教科や各部の部室がある。これも4階と3階、2階と1階の間に渡り廊下がある。とりあえず何が言いたいかというと、とにかくデカイし広いことである。校内で迷子には…ならないか。


「皆さんこんにちは。今日から1年椎組の担任をつとめさせていただきます、田中麻美です。副担任の前川先生は入学式準備でいません。体育館での座り方の説明をします。」
女の先生でよかった。でも最前列はやだな。しばらくは席替えはしないだろうし我慢。お、体育館前まで移動か。


 最前列だったおかげかなんなのか、出席番号20番の私は番号順2列に並ぶと一番後ろ。うれしい。


 体育館がとても広い。いや、人がたくさんいるからちょっと狭くかんじるかも。さすが、全校生徒720人の学校ってだけあるな。でも名前を呼ばれるのだいぶ後だな。椎組20番ってことは140番目。おっ、椎組はいったな。

「篠宮紗月さん。」
「はい。」

ザワザワ…

なんだか保護者席がざわついている。私なにかしたっけか?


 入学式が終わり教室に戻る。HRが終わり下校になった。電車の時間確認して帰ろう。


「ねぇ、あなた、篠宮紗月っていうの?」


だからなんだと言うのだろう。


「そうだけど。どうかした?」

「だって、あの大富豪の篠宮家の長女でしょ?」


あぁ、やっぱりか。


「それがなにか問題でもあった?」

「ううん。ただ、篠宮家の長女と同じクラスってなんか凄いなって思って。」


そんなことか。でも、


「自慢とかはあんまりしない方がいいかもね。」
「なんで?」
「昔もたくさんあったからさ。時期にわかるよ。」
「そっか、わかった。あ、あたし寺田美咲っていうの。よかったら…よろしくね。」
「寺田美咲さん…ありがとね。」
「美咲でいいよ。クラスメイトでしょ。」
「わかった、美咲ね。声かけてくれてありがとね。」
「なんもなんもだよ。」

 新しい環境になれる気がしない。中学のときはああやって話しかけてくる人なんていなかったな。よし、帰ろう。
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