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パーティーの支度
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生誕記念パーティー当日の朝。
「お嬢様が久々にパーティーに参加されるとのことで、私たちメイドはこの日を待ちわびておりました。腕によりをかけ、お嬢様を一番の美女にしてみせます!」
メイドたちが鼻息を荒くしながら準備を進めます。香油入りの湯につかり、マッサージでぐいぐいと体をほぐされ、肌を磨き上げられます。髪の毛も丁寧に櫛通しをし、自分でもわかるくらい肌ツヤがよく、少し若返ったように見えます。
「さぁお嬢様、次はドレスでございます」
ドレス……すっかり忘れていたわ。もう5年も新調していないのよ。手持ちのドレスでは流行遅れ。その上、今の年齢と見合わないデザインのものばかり。どうしましょう。
下を向き、落ち込んでいる私の目の前に見たことのないデザインのドレスが運ばれてきました。それは瑠璃色をベースに美しい刺繍が施されており、流行を押さえかつ、品のあるデザインでした。このようなドレス、私持っていないはず……
戸惑う私にメイドが気が付きました。
「こちらのドレスはクレイグ = エヴェレスト侯爵令息からセシルお嬢様へのプレゼントとしていただいたものでございます。 エヴェレスト侯爵令息はお嬢様のことをよくご存知なのですね。とてもよくお似合いですよ」
まぁ! エスコートを申し出いただいただけではなく、ドレスまで?
おそらく私がパーティー用のドレスを持っていないことに気が付いたのでしょう。自分のエスコート相手が流行遅れのドレスだなんて恥ずかしいですもの。それに私もクレイグ様のパートナーとして参加するのですから周囲から好奇の目で見られること間違いなしです。私が堂々と参加できるように手回ししてくださったのですね。さすがです。
「お嬢様、アクセサリーはいかがしましょう。イヤリング、指輪などはエヴェレスト侯爵令息からご用意いただいておりますが、ネックレスだけ無いようなのです」
ネックレスだけ無い、ということは。
以前私がお守り代わりにとクレイグ様からいただいたペンダントネックレスを宝石箱から取り出し装着すると、色もデザインもこのドレスとピッタリ合います。まるで元々セットになっていたかのように。まさか、ね……
「お嬢様、とてもよくお似合いです」
メイドに促され鏡を見た私は、本当に聡明で品のある美しい女性へと変身していました。これでクレイグ様の隣に立っていても恥ずかしくないはずです。
「クレイグ = エヴェレスト侯爵令息がお見えになりました!」
約束通りの時間にクレイグ様がいらっしゃいました。
階段を降りると玄関ホールで待っているクレイグ様と目が合います。
「……とても、綺麗だ。そのドレスもよく似合っている」
うぅ……そんな心からの笑顔で褒めないでください。もしかして愛されているのではと勘違いしてしまいます。
「前にプレゼントしたネックレスも着けてくれているね。良かった。さぁ、パーティーに行こうか、お嬢様」
そう言ってクレイグ様は恭しく礼をして私に手を差し出しました。
ここでようやく私はクレイグ様の衣装を見ることができました。今日はいつも見慣れている騎士服ではなくタキシードを着用しています。騎士としてではなく一貴族としての参加なのでそれは良いのですが、問題はその色とデザインです。
なんと私のドレスと対になる色とデザインになっていたのです。胸ポケットには私の髪の色であるオレンジのチーフが入れられています。
これではまるで……婚約者だわ。
緊張で少し震えながらも手を取ると、まるで私は世界一幸せなお姫様にでもなったような気持ちになりました。
「お嬢様が久々にパーティーに参加されるとのことで、私たちメイドはこの日を待ちわびておりました。腕によりをかけ、お嬢様を一番の美女にしてみせます!」
メイドたちが鼻息を荒くしながら準備を進めます。香油入りの湯につかり、マッサージでぐいぐいと体をほぐされ、肌を磨き上げられます。髪の毛も丁寧に櫛通しをし、自分でもわかるくらい肌ツヤがよく、少し若返ったように見えます。
「さぁお嬢様、次はドレスでございます」
ドレス……すっかり忘れていたわ。もう5年も新調していないのよ。手持ちのドレスでは流行遅れ。その上、今の年齢と見合わないデザインのものばかり。どうしましょう。
下を向き、落ち込んでいる私の目の前に見たことのないデザインのドレスが運ばれてきました。それは瑠璃色をベースに美しい刺繍が施されており、流行を押さえかつ、品のあるデザインでした。このようなドレス、私持っていないはず……
戸惑う私にメイドが気が付きました。
「こちらのドレスはクレイグ = エヴェレスト侯爵令息からセシルお嬢様へのプレゼントとしていただいたものでございます。 エヴェレスト侯爵令息はお嬢様のことをよくご存知なのですね。とてもよくお似合いですよ」
まぁ! エスコートを申し出いただいただけではなく、ドレスまで?
おそらく私がパーティー用のドレスを持っていないことに気が付いたのでしょう。自分のエスコート相手が流行遅れのドレスだなんて恥ずかしいですもの。それに私もクレイグ様のパートナーとして参加するのですから周囲から好奇の目で見られること間違いなしです。私が堂々と参加できるように手回ししてくださったのですね。さすがです。
「お嬢様、アクセサリーはいかがしましょう。イヤリング、指輪などはエヴェレスト侯爵令息からご用意いただいておりますが、ネックレスだけ無いようなのです」
ネックレスだけ無い、ということは。
以前私がお守り代わりにとクレイグ様からいただいたペンダントネックレスを宝石箱から取り出し装着すると、色もデザインもこのドレスとピッタリ合います。まるで元々セットになっていたかのように。まさか、ね……
「お嬢様、とてもよくお似合いです」
メイドに促され鏡を見た私は、本当に聡明で品のある美しい女性へと変身していました。これでクレイグ様の隣に立っていても恥ずかしくないはずです。
「クレイグ = エヴェレスト侯爵令息がお見えになりました!」
約束通りの時間にクレイグ様がいらっしゃいました。
階段を降りると玄関ホールで待っているクレイグ様と目が合います。
「……とても、綺麗だ。そのドレスもよく似合っている」
うぅ……そんな心からの笑顔で褒めないでください。もしかして愛されているのではと勘違いしてしまいます。
「前にプレゼントしたネックレスも着けてくれているね。良かった。さぁ、パーティーに行こうか、お嬢様」
そう言ってクレイグ様は恭しく礼をして私に手を差し出しました。
ここでようやく私はクレイグ様の衣装を見ることができました。今日はいつも見慣れている騎士服ではなくタキシードを着用しています。騎士としてではなく一貴族としての参加なのでそれは良いのですが、問題はその色とデザインです。
なんと私のドレスと対になる色とデザインになっていたのです。胸ポケットには私の髪の色であるオレンジのチーフが入れられています。
これではまるで……婚約者だわ。
緊張で少し震えながらも手を取ると、まるで私は世界一幸せなお姫様にでもなったような気持ちになりました。
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