リースス・レーニス

大神ヒラメ

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契約

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一方執務室では…
「グレス氏…困りましたなぁ…こんな盛大に迎えられたら、うちもそれなりのお礼をしないと…」
白髪の男性は煌びやかなソファに座りながらひょうきんな態度をとっている。
一方向かいのソファに座っているグレス氏と呼ばれるふくよかな男性は、顔こそ笑顔だが膝に乗せている手が震えていた。
「それは良かったです、ラール氏。いやはや、さすがマーレのボス。心の余裕が違いますな。」
額に汗をかきながら笑顔を取り繕うグレス氏。
「さぁて世間話はこれまでにして…グレス氏?頼んでいた改造銃を素直に渡す気になったかい?」
ラールと呼ばれる白髪の老人がそう言うと、グレスはラールから目を逸らした。
「いや…あなた方は十分強いじゃないですか!だから…銃なんてなくても…」
「そりゃ~困りますよグレス氏。うちは貴方の奴隷商売を黙っていたでしょう?まさかグレス氏のような懐の深い方が契約破棄をするなんて、そんな事ございませんよね?こちらは黙秘する代わりに改造銃を頂く。この契約において、そちらは相当有利だと私は思うんですけど…まぁ渡さないっていうなら、こちらも武力行使をするしかないですよね?」
ラールはニヤリと笑ってグレスをじっと見つめた。
するとグレスはバッと立ち上がってラールに銃を向けた。
「ふ、ふざけるな!搾るだけ搾り取ってまだ要求するか!お前の命令を素直に聞くのはもう我慢ならん!大人しく死ね!」
執務室に響き渡るグレスの声。余韻の後にラールのフッと小馬鹿にするような笑い声が聞こえた。
「遺言はそれだけですか?グレス氏…」
余裕のある顔に腹を立てたグレス氏は、ラールの額を狙って引き金を引いた。
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