リースス・レーニス

大神ヒラメ

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無邪気

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実験室に入った青年はうわぁ…と顔を歪めた。
「わー…また派手に折っちゃって…フィエルは力加減を知った方がいいよ。」
後から入ってきたフィエルに、青年は「やりすぎ…」と苦々しく言った。
「てかこれ、僕が自由にしていいの?それとも拷問して情報を聞き出すの?」
青年は顎に手を当てて首を傾げた。
「いや、ヴァルト。それはお前にやるよ。」
ヴァルトと呼ばれた青年は、子供のように大はしゃぎをした。
「え!?いいの!?やったぁ!ねぇ、この子は誰?今日襲撃したマフィアの子?」
ヴァルトは目を爛々と輝かせてフィエルに聞いた。
「いや、それはボスだ。」
「ええっ!?ボスこんなに太っちゃったの!?」
ヴァルトは本気で驚いているようで、目を見開いてフィエルとグレスを交互に見た。
「違う違う!今日襲撃したマフィアファミリーのボスだよ。」
勘違いをするヴァルトに焦ったフィエルは、胸の前でバッテンを作って首を横に振った。
「なーんだびっくりしたぁ~。そーいえばさ、今日戦った構成員ってみんな素人みたいな動きで退屈だったね~。僕が急所突いただけで簡単に落ちちゃうんだから。そろそろ目を覚ますんじゃない?この僕のテクニックだもん。狂いはないよ。」
ヴァルトは頭の後ろで手を組み、ニシシとイタズラっ子のように笑った。フィエルは無邪気に笑うヴァルトを見て苦笑いをした。
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