リースス・レーニス

大神ヒラメ

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事情聴取

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早速フィエルは事情聴取を始めた。
「おい豚野郎。単刀直入に聞く。お前が密売していたあのサイトについて知ってる事を全て話せ。」
「ひっ…」
ギラリと光るフィエルの瞳に、グレスは萎縮してしまい、身体を震わせていた。
「質問に答えろ。答えたら痛めつけることはしねぇよ。」
フィエルがそう言うと、グレスは諦めたような顔をしてハァとため息をついた。そして語り始めた。
「あ…あのサイトで商品を売るには…グループに加入する必要があります…」
すっかり萎縮してしまったグレスは、フィエルに対して敬語で話すようになった。フィエルは少し驚いて目を丸くしたが、すぐに顔を戻して質問を続けた。
「ほぅ…売り手のグループは対等な関係か?リーダー格がいるのか?」
「リーダーが…います。」
「リーダー格の名前は?」
フィエルがそう問いかけると、グレスは口を結んで黙り込んでしまった。
「ふーん。…右腕の位置、元に戻ってんな。ヴァルトに治してもらったのか?」
フィエルは腰に手を当てながら、ジーッとグレスの右腕を見つめた。
「はい…」
グレスは消え入りそうな声で首を縦に振った。
「そうか…ヴァルトの労力を無駄にして申し訳ないが…お前が口を割らないならしょうがないな…」
フィエルは不気味な笑みを浮かべながら、拳を合わせて首をパキパキと鳴らした。
するとグレスは目を閉じて、諦めたような顔をして口を開いた。
「…ミシェーニ。」
油断していると聴き逃してしまうほど小さな声で、グレスはその名前を口にした。
「ミシェーニ…だな。お前はミシェーニと会ったことがあるか?」
「ないです…ミシェーニは…我々の前に姿を現しません。姿を見たことがある者は…おそらく誰もいないかと…」
「なるほど…ミシェーニについては分からねぇって事か…。あと…お前は買い手と会ったことはあるか?」
「俺は…ないです。部下に行かせてました…」
「写真で顔を見た事は?」
「…あります。」
「写真はどこにある?」
「処分してしまいました…」
「はぁ…まぁいい。」
フィエルは怒涛の勢いでグレスに質問攻めをした。グレスも最初こそ恐怖で固まっていたが、質問を繰り返すうちにペラペラと話すようになっていた。
「とりあえず…今日はここまでだ。ミシェーニの事だけでも知れて助かった。ありがとう。」
フィエルはグレスに礼を言った。その時グレスは驚いて絶句し、扱いの差に混乱してしまっていた。
「ほら、ヴァルト行くぞ。」
フィエルはヴァルトの手首を掴んで強制的に部屋に連れ戻そうとした。
「僕、今回なにもしてないんだけど~!あ!ピグレットの検査結果聞く?なんかね~」
「分かった。この件が終わったらゆっくり聞くから、黙ってろ。」
フィエルは子供のようにはしゃぐヴァルトを黙らせて、部屋に戻った。
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