リースス・レーニス

大神ヒラメ

文字の大きさ
17 / 44

ピンバッジ

しおりを挟む
シャンス&ティーラは…
「あいつら…移動が少ないからって事情聴取に行きやがって…」
シャンスは身支度をしながら、チッと舌打ちをして不服そうな顔をした。
「まぁまぁ…気分転換にドライブっていうのもいいじゃないですか。」
ティーラはそう言いながら、外出の準備や車の準備を始めた。
「今日の運転、ティーラに頼んでええか?」
シャンスはパソコンを片手にティーラに運転の依頼をした。
「いいですけど…珍しいですね。いつもは率先して運転するのに…」
ティーラは目を真ん丸にして驚いていた。
「運転中にフィエルから頼まれた仕事をしたいんや。」
「なるほど…分かりました。今日は僕が運転を担当します。」
ティーラはニコッと微笑んで首を縦に振った。
「ありがとな。」
シャンスは手を合わせて、申し訳なさそうな顔で礼を言った。

車に乗ると、ティーラは地図を取り出して目的地を確認した。
「僕の資料によると…ペディの出身は『リハネラ』だそうです。」
「リハネラ…聞いたことはあるけど、場所まで知らんなぁ…」
「リハネラは地図で言うと…ここですね。」
そう言ってティーラは地図の赤いピンを指さした。

「これって…青がアクリ区…だよな?リハネラはアクリ区に入り組んでる…って事か?」
「そうです。リハネラはファルクス区でありながら、アクリ区に入り組んだ地形をしていて、両区から粗雑な扱いを受けている地域です。」
ティーラはどうということもなく、淡々とリハネラの状況をシャンスに伝えた。
「よく知っとるなぁ…」
シャンスは「ほぁー」と感心した声を漏らした。
「まぁ…一応情報屋も受け持っているので…」
ティーラはシャンスに褒められ、少し居心地を悪そうにしながら運転を続けた。

「そういえば…俺らはアクリ区の人間やろ?ファルクス区に入ることなんて出来るん?」
助手席でカタカタとキーボードを打っていたシャンスが、ふと思い出したようにそう言った。
「僕がピンバッチを2個持ってきたので大丈夫です。」
ティーラは動ずることなく、しれっとした態度でそう言った。
「ホンマに事前準備がすごいなぁ。もしかして…この国のバッチ全部持っとるん?」
シャンスは作業そっちのけで、少年のような眼差しをしてティーラに質問をした。
「ええ…一応。まぁ旧式なので、区の中で条例が変わってしまった場合は、使える保証がありませんが…」
「なるほど…すごいなぁ…」
シャンスは目をキラキラさせてティーラを見つめた。ティーラはシャンスの視線に耐えられたくなり、グッとシャンスの目の前に拳を出した。
「い、今のうちに渡しておきますね…!」
ティーラの拳の中にはファルクス区のピンバッジがあった。
「サンキュ。」
シャンスはティーラに礼を言い、アクリ区のピンバッジを外してファルクス区のピンバッジに付け替えた。

☆ピンバッジ
この国はいくつかの区に分かれていて、自由に行き来することが出来ない。なので、一般区民には自分の身分を証明するピンバッジを区の政府から配られる。ピンバッジは、身分を証明する物として重宝されている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...