リースス・レーニス

偶然

「あの様子じゃ暫く終わりそうにないですね…」
部屋を追い出されたティーラは壁に体術をかけ、腕を組みながら深いため息をついた。
「ここで立ち尽くしているのも時間の無駄ですし…少し辺りを偵察してましょうかね…」
壁に寄りかかりながら顎に手を当てていたティーラは、短いため息をついて建物を後にした。
円形の建物を出ると、そこには一本道があり、脇にはボロボロの民家が建ち並んでいた。窓は割れ、蔦が絡んでいて、到底人が住めるような状態ではなかった。
しかしそんな中で、綺麗な外壁をしていて、窓から明かりが漏れ出している建物があった。
「なんでしょうか…？」
気になったティーラはその建物の窓辺に向かい、窓から様子を伺おうとした。
「カーテンがありますね…これでは様子が分かりません…」
ティーラは残念そうな顔をすると、その場を去ろうとした。しかし…
「あ。」
運悪く、中の住人が窓を開けてティーラの姿が見つかってしまった。しかも、ただの住人では無く…
「お前は…！さっきの金髪！」
「…ここ、貴方たちのアジトだったんですね…」
中から出てきたのは、ペディの命令に最後まで食い下がっていた少年だった。少年はティーラを人差し指で指し、顔は怒りを顕にしていた。ティーラは「やらかした…」と言うようにこめかみに手を当てて眉をひそめた。
少年の声に反応し、中にいたペディの仲間たちは銃を手にして、ティーラに銃口を向けた。
「お前！ペディさんをどこに監禁した！言わねぇと殺すぞ！」
少年達は声を荒らげて、ティーラに銃口を向けた。