リースス・レーニス

絆

「…分かったわ。一時的にあんたを信用する。」
サラは笑いすぎて瞳から零れた涙を、人差し指で優しく拭った。言葉を発している時も、少し息苦しそうにしながら肩で呼吸をしている。
「これ以上、誰かの奴隷でいるのは嫌よ。あの男は胡散臭そうだけど…あたしは賭けてみる。あたし達が解放される道は、これしかないわよ。もちろん、あんた達を巻き込む気はないわ。これはあたしの勝手な判断だもの。」
サラは吹っ切れたような顔をすると、ニヤリと口角を上げてティーラをチラッと横目で見た。そして少年達に向き直ると、母のような温かい視線を送り、頭をポンポンと優しく叩いた。少年達は瞳を潤ませながら「サラ姉…」と掠れた声でサラの服の裾をキュッと掴んだ。
「君達、安心して。僕はサラに着いていくから。」
アルバは少年達の目を1人ずつ見つめると、フッと優しい笑みを浮かべた。
「俺も行く。皆に迷惑かけてばっかじゃ…男が廃るからな。」
イスナは腰に手を当てて胸を張ると、ニカッと白い歯を見せて朗らかに微笑んだ。
「2人とも…ありがと。頼らせてもらうわ。」
サラは2人の顔を見つめると、無邪気に微笑んだ。ティーラに向ける殺伐とした表情からは想像も出来ないほど、幼く素直な笑みだった。
「サラ姉…僕達も行く！」
少年達はサラの服の裾をギュッと掴んで、不安そうな顔をしながらサラの瞳をジッと見つめた。
「あんた達は部屋で待ってて。」
サラは裾を掴んだ少年の頭を優しく撫でながら、暖かい視線を向けた。
「サラ姉…」
それでも少年達は不安な様で「僕も行く…」としょんぼりした顔をして、サラの裾を離さなかった。
サラはそんな少年達の姿を見て困った顔をしたが、少年達を諭すように肩をポンと叩くと、力強い目で少年達を見つめた。
「あたしは大丈夫よ、心配しないで平気。それに…イスナとアルバもいるから。」
サラはそう言ってイスナとアルバの方に視線を向けると、少年達も釣られてイスナとアルバの方を見た。すると2人は「任せとけ！」とでも言うように、拳で胸をトンっと叩いた。少年達はそんな2人の姿を見ると
「…分かった。サラ姉、頑張ってね！」
少年達はそう言うと、満面の笑みを浮かべながらサラに手を振った。