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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

第57話 新婚?生活

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 恋と愛の違いは? と尋ねられると、俺はこう答える。
「妥協しているかどうかが違う」
 恋とは相手に夢を見るもの、愛とは無償のものだ。
 相手にルックスや性格や経済面を求め、夢をみるのが恋。
 対して、愛は愛するもの全てを認め、認めた相手に捧げるものだ。
 
 俺はアネモネ・アフロディーテのことを愛している。
 ルックスは最上級、クールな印象も受けるが、彼女の魅力だ。
 性格は最近丸くなってきたが、頼れる人だ。
 経済面も問題ない。
 ダンジョンで稼ぐことや、マナ抽出所で働くこともできる。
 自立した女性だ。
 
 俺はセオドーレ・アイブスのことを愛している。
 ルックスは最上級、柔和な表情や優しそうな印象が堪らなく好きだ。
 性格は温和で、柔らかい物腰だ。
 経済面も問題ない。
 ダンジョンの情報はよく持っているし、国立大学の校長を母に持つ資産家でもある。
 自立はしていなかった。

 そう、自立はしていなかったのだ。

 家事全般が苦手である。
 できるのだが、苦手だ。
 子どもの俺がやった方が早い。
 まあ、中身はオッサンだが。
 
 そう、愛は無償の愛なのだ。
 家事ができなくても認めて生活をしていくのだ。

「ねぇ、セオ、掃除の邪魔だからどいて」
 アネモネが言う。

「は~い」

「ねぇ、セオ、ご飯作るから手伝って」

「は~い」

「ねぇ、セオ……」

 アネモネが来るまでは気にならなかったんだけど、アネモネがチャキチャキ進めちゃうと、どうしても気になる。
 まぁ、なんとかなるか。

 しかし、俺はもう1つ重大な問題を抱えていた。
 アレだ。
 どうしよう。
 セオがいたらできない。
 俺とアネモネはセックスの良さを知ってしまった。
 もとより俺は大好きだ。
 いや、前世の後半はセックスをする気にもなれなかったので、大きな成長だ。
 セオに「今からセックスするから出ていけ」とは言えない。
 困った。
 恐らくアネモネも同じことを考えているはずだ。
 そもそも、2人を等しく愛するならセオも抱いた方がいい?
 いやいや、アネモネはきっと情報が多すぎてパンクしそうなはず。
 そこに「セオも抱く」とか言い出したら本気で愛想をつかれそうだ。
 これは慎重に進めた方がいい案件だ。

 そんなところに爆弾は投下される。

「ねぇ~、ライとアネモネはエッチしないの~?私は1回見学したいな~」

 なぬ?
 見学?

 そもそも、セオは経験があるのか?
 どのレベルからの発言なのか読めない。
 いや、逆に超ハイレベルなところからの発言だったら泣くかも。
 まぁ、いいか。

「アタシは見られながらはできないかな……?ライは?」

 キラーパスがきた。

「そうだね。俺は1回してみるのもいいと思うよ?試しに」
 そう、「試しに」だ。
 試してみるくらい誰でもする。

「そうか~。アネモネが嫌なら仕方ないね~。私は興味あったんだけどな~」
 セオは残念そうだ。
 アネモネはバレないようにテンパっているようで、いつもの彼女なら「なんでそんなこと聞くのよ?」くらいは言い返している。

「ちなみに、セオは経験豊富なの?俺はもちろんアネモネとしかしたことないし、アネモネもそうだよね?」

「ええ、ライとしかしたことないわ」
 アネモネは正直に答えた。
 うん、やっぱり焦ってるな。
 いつもなら答えないはずだ。

「う~んと~、私は誰ともしたことないんだ~ずっと魔闘士の仕事やトレーニング忙しかったし~」

「え?魔闘士の仕事?そんな有名人なの?」
 あ、アネモネに言ってなかった。

「あ、えーっと、アネモネさん?セオさんはね、実はワールドチャンピオンなんだよ」
 変な口調になった。

「え?え?あの?教授が倒したい?」
 さっきより露骨に混乱している。
 確かにセオには謎が多すぎる。
 驚くのも無理がない。

「そうなんだよ。しかも、教授とは知り合いで、ツバルお兄様とか呼んでるんだよ?俺もびっくりしたよ」

「え?お兄様?」

「ちなみにシャイナとも知り合いなの?」
 気になったので聞いてみた。

「う~ん。友達だよ~シャイナちゃんとは小さい時から知り合いだからね~。エッチな話もシャイナに教えてもらったんだよ~」

 おっと、教授とシャイナのセックス事情なんて知りたくなかった。
 今日のセオは爆弾投下魔だな。
 恐ろしい。
 これ以上炎上しませんように。

「だいたいわかったわ。それで、セオはどうしてそれほど強いのよ?」
 アネモネの理解はいつも早い。

「え~っと~。お母さんに教えてもらったり、専属トレーナーがいた時期もあるよ~。最近は自分で鍛えてるよ~。ダンジョンとかで~」

「なるほど、だからダンジョンに詳しいのか」
 1つ謎が解けた。

「そうだね~。冒険者ギルドで情報集めると誰でもできるよ~」

「あー、あそこか、そういえば、昔行ったことあるな。あんまりダンジョンは行ってなかったから利用したのは1度だけだよ」

「そういうことじゃなくて、セオの試合見たけど、相手の攻撃が全く効いてなかったじゃない。あれはどうするのよ?」
 アネモネは全貌を明かしたいらしい。

「あ~。私、実は魔力の蓄積が異常に早い特異体質らしいの。だからじゃないかな~?詳しく調べたことはないんだけどね~」

 どうやら、調査はされていないらしい。
 魔力測定したら「実は神殺しでした」なんてオチもあり得るな。
 神殺しのことは言うべきか?
 いや、自分の秘密を明かしてくれたんだし、俺たちも開示するべきだよな。

「そうなんだ。セオ、俺たちも実は特異体質で、魔力が50万くらいあるんだよ。いわゆる神殺しってやつらしいんだ。それがなんなのかはわからんのだけどね」

「ふ~ん。すごいんだね~」

「俺たちもそれなりに鍛えてきたんだけど、セオから見て俺たちでセオに勝てそうかな?」

「魔闘士としてなら私が勝つかな~。魔術や他の攻撃がありならわからないけど~。だって、この前、ライにナイフの硬さ負けたよね~」

 そんなことあったな。
 確かに、イメージや、魔術なら勝てるかもしれない。
 しかし、魔闘士としては無理なのか。

「魔闘士として勝てないのって理由ある?」
 アネモネが質問する。

「ん~。特にないけど、オーラの使い方は私の方がうまそうだよ~。10歳からやってるからね~」
 ちょっと自信がありそうだ。

「それなら、私たちに闘い方を教えてよ」
 アネモネが頼む。

「エッチ見せてくれたらいいよ~」

 なぬ?

 また戻るか?

「わかったわよ。セオもライとしたいの?」

「そうだね~。シャイナちゃんに教えてもらった話だと気持ちいいらしいしね~。アネモネが怒らないならやってみたいかな~?」

「わかったわよ。アタシだけしてるのはズルいもんね。その代わり、アタシも見せてもらうわよ?」

「いいよ~。じゃあ、エッチはアネモネが私に教えて~、魔闘法は私が2人に教えるよ~」

 ここに奇妙な契約が成立した。
 どうやら見せ合いをするらしい。
 しかし、ケンカにならなくてよかった。
 一緒に住むようになっていいところも、悪いところもお互い見えてきたのかな?
 これでハーレムルートが見えてきた。
 アレ?
 そんな計画はなかったのにな?
 まぁ、いいか。
 なるようになるさ。



セオのイメージ画像です
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