【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精

紬あおい

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18.妖精の恩返し

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ジークハルトは、アリシアの様子を心配して隠れ家へ向かった。
そこには涙を流し、意識を手放したアリシアが倒れていた。

「アリシア!しっかりしろ!!」

呼吸と脈を確認し、取り敢えずソファに寝かせる。
ふと横を見ると、何かいる。

「あなたがこのお姉さんの旦那さん?」

急に喋り出したものに驚く。

「まさか、妖精が………?」

「そうだよ!お姉さんの友達さ。よくパンやクッキーを焼いてくれるんだよ。」

妖精はにっこりと笑う。

「そうか…アリシアの友達か。ここでのアリシアは元気に過ごしていたか?」

妖精は少し考えてから話す。

「笑ってる時も、あれば泣いてる時もあったよ。原因はぜーんぶ旦那さんだけどね。」

「そうか…そうだよな…」

ジークハルトは、妖精をじっと見つめて呟く。

「何でか知りたい?見せてあげようか?」

「見られるのか?」

「旦那さんは知った方がいいと思うから、見せてあげる。お姉さんの為にも。」

そして、妖精がポケットから小さな石を取り出して、ひと撫ですると壁に映像が現れた。



アリシアの表情と考えていることが映し出される。

カシウス様もジークハルト様も、二人ともリシアンヌが好きで、私は誰からも愛されないのね…
窓から遠くを見つめる瞳に、涙が浮かんでいる。

カフェの場面では
私と結婚したら、リシアンヌに逢えるもんね。

あ、ジークハルト様、リシアンヌを見て、また顔を赤らめている。

リシアンヌの選んだドレスを着る私、結婚指輪をはめる私達夫婦。

あぁ、私の声はリシアンヌにそっくりなのね。

ベッドでは
『リシア』って呼ばないで!!

夫人らしく。

あなたの妻ですから。

立ち位置を把握しなきゃ。

私と離縁して、リシアンヌと再婚するのかな…

もう分かってるんだ。
私は、ジークハルト様を深く深く愛してしまったって。

最初から何の望みもなくて、惨めな自分は認めたくなかったんだ、って。

でも、もう限界だ。

抱き合うような二人、似合ってる。


断片的だが思い当たることばかりで、ジークハルトは愕然とした。

「アリシアは一人でこんなことを考えていたのか…?」

「そうだよ。嫌なこと悲しいことを、心の奥に押し込んで蓋をするって、いつも耐えてたんだよ?その蓋が閉まらない位に想いが溢れ出して、今日のことに繋がるんだ。旦那さん、やらかしたね?」

ジークハルトは何も言い返せなかった。

「お姉さんのこと、ちゃんと考えてあげて欲しいんだ。人間には見えない筈なのに、最初から僕が見えたお姉さんは、きっと心が優しくて綺麗なんだ。だから幸せになって欲しい。今日のことはパンとクッキーのお礼だよ。妖精は良くしてくれたら、必ず恩返しするんだ。あとは、旦那さん次第だけどね。旦那さんにも、今僕が見えているってことに、期待してるよ。」

そして、妖精は消えた。

ジークハルトは、呼吸が落ち着いてきたアリシアの手をただ握っていた。
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