【完結】 仮面で隠していた傷痕を撫でたら愛が溢れてきた大公様 〜普通じゃなかったらしい私の中の普通〜

紬あおい

文字の大きさ
45 / 47

45.初めてのように *

しおりを挟む

記憶を失くして、気持ちが通じて、初めて抱き合う。
テオドリクスは妙に緊張している。

「テオは…前のは…初めてだったの…?」

「その日の記憶が、まだはっきり思い出せてないから、凄く悔しいけど、今からするのも初めてになるのか…」

「えっ!?あんなに破廉恥なことした人が、今日は童貞って…え…?どうしよう…」

「一応貴族の男は、閨の教育は受けるから。俺は実地なしだったが。大丈夫!そういうことは体が覚えている気がする…」

「破廉恥>妻なのですかっ!?」

「いや!違う、違う!!」

これ以上は不毛な話し合いになりそうなので、ぶちゅっと唇を奪ってやった。

「んんんっ!」

声を漏らすテオドリクスの舌を、思う存分吸ってみる。
吸って絡めて舐め回す。
全部テオドリクスと一緒に私が覚えたこと。

はぁはぁと激しい息遣い、私を見つめる瞳、懐かしくて昂る。
でも、テオドリクスの反応は、初めての日と同じにも見える。
そう思うとドキドキが伝染する。

テオドリクスは、私の夜着を引き千切るように脱がし、乳房を両手で包み込む。

「柔らかい…可愛い…」

夢中で乳首を舐めて転がす。

「ぃやん、テオ…気持ちいぃ…」

テオドリクスは下に体をずらし、陰核に吸い付き、指は陰唇をかき分けて出し入れする。

「濡れてるし、中がピクピクしてる。挿れたら絶対気持ちいい…」

我慢出来ないといった様子で、陰茎を捩じ込んでくる。
でも、動かない。

「どうしたの?」

「動いたら、すぐ出ちゃいそうな気がして…」

「え…今更…」

「俺、そんなに早かった?」

「時と場合によるわ…回数は化け物級…」

「何か、いろいろ、すまない。でも…」

言葉と裏腹に、目付きがギラギラして、スイッチが入ったようだ。

ぱんっ、ぱんっと激しく打ち付けられ、私もそろそろ限界だ。

「あぁんっ、激しい!もうだめっ、イっちゃうっ!」

「締めんなっ!気持ちいい、イくっ!」

2人で達した充足感を微笑み合って分かち合う幸せ。
一度失ったと思ったものが帰って来たと感じる。

「セシリア、俺、幸せだ。」

「私も。テオが居れば何でもいい。絆なんて今からでも何とでもなる。また私を好きになってくれて、ありがとう。」

テオドリクスの目が潤んでいる。
そして、大切なものを包み込むように抱き締める。

「テオ…私の中のものがまた…」

「繋がったままだからな。セシリアがイった後も中がヒクヒクして気持ちいいんだ…挿れてるのに吸われてるみたいな?不思議な感覚だよ。なんて話してたら、またしたくなった…いいかな?」

また大公がワンコになってる。
懐かしさに胸がキュンとする。

「あっ、今締まった!もうダメだ…くっ、我慢出来ない!」

私を抱えて対面座位で突き上げる。
深い所をグリグリされると気が遠くなる。

「奥が…吸い付いてくる!何だ?これ…ちょっ、と、待っ、て…あぁ気持ち良過ぎ…」

「ゃだ、テオ!また大きくなった…あぁぁ、イくうぅぅ…」

「ダメだ、保たない…出るっっっ!!」

大きく息をして、テオドリクスはゴロンと横になった。
目を閉じたまま、しみじみ話す。

「俺、こんな凄い体験を忘れてるのか?信じられない…」

「無理に思い出さない方がいいんだって。ストレスになるから…だったら、また始めればいいわ。思い出してくれたこともあるし、新たな気持ちで、思い出を増やしていくことも出来るし。」

「また始めようと思ってくれて、ありがとう。本気でこの女離せないと思わせた俺の本能も凄いだろ?」

「威張るとこじゃない…私は一時本気で悲しかった…でも、もういい。前しか見ないから。」

ここまで来たのだから、この先もテオドリクスと一緒がいい。
あんなに壊れ掛けていた心を修復するのは、やっぱりテオドリクスにしか出来ないことだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです

大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。 「俺は子どもみたいな女は好きではない」 ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。 ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。 ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。 何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!? 貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。

【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~

塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます! 2.23完結しました! ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。 相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。 ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。 幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。 好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。 そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。 それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……? 妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話 切なめ恋愛ファンタジー

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました

ラム猫
恋愛
 セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。  ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。 ※全部で四話になります。

私は愛されていなかった幼妻だとわかっていました

ララ愛
恋愛
ミリアは両親を亡くし侯爵の祖父に育てられたが祖父の紹介で伯爵のクリオに嫁ぐことになった。 ミリアにとって彼は初恋の男性で一目惚れだったがクリオには侯爵に弱みを握られての政略結婚だった。 それを知らないミリアと知っているだろうと冷めた目で見るクリオのすれ違いの結婚生活は誤解と疑惑の 始まりでしかなかった。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

処理中です...