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19.君だから…君となら…君だけを… Side ルディガー
しおりを挟む『あの件』が終息し、平穏な日々を過ごしている。
殿下からは休暇をもらい、公爵邸に通い、ベルとは毎日会っている。
あの日のことを、ベルは「まさかの香炉!私の予測凄いでしょ?」と笑ったが、俺は生きた心地がしなかった。
だめだと言ったのに、俺が見れば一目瞭然だが、変装までして潜り込むなんて、どれだけ俺を心配してくれたんだろう。
違法取り引きについて、是非内々で話したいと言うミルラに、2度目の媚薬で嵌められ、ベルに助けてもらうなんて、情けないことこの上ない。
飲食さえともにしなければ大丈夫と過信し、香炉まで想定していなかった俺のミスだ。
しかも、ベルとの初めてをあんな形で迎えてしまうなんて、後悔してもしきれない。
怖かったろう?
痛かったろう?
獣のように君を犯した俺。
でも、ベルが笑うんだ。
「あなたの純潔を、あの女に奪われなくて、ほんとーーーっに、良かった!体の痛みは治るけど、心の傷はなかなか癒えないもん。だから、これで良かったんですよ!!」
君だから、言えるんだよ、そんなこと。
明るく笑う俺の女神。
いつも前向きなのに、実は繊細な人。
俺は、この愛しい人に、これから何を返していけるだろうか。
言葉にして態度で示して、思い付く限り、伝え続けよう。
皇太子殿下の裏方仕事は、漸く終わった。
二大公爵家のお取り潰しで、焦った隣国が自滅した。
違法薬物の取り引きが出来なくなり、ベンゼル公爵の皇太子殿下懐柔か、反逆かの計画も阻止出来た。
それで諦めれば良かったのに、新たな取り引き先を得ようと入国し、一網打尽にされたからだ。
責任を取らされた隣国は、もう経済的に瀕死状態で、国としても殿下率いる騎士団に制圧される日も近いだろう。
あれでも、皇太子殿下は次期皇帝だ。
へらへらしているように見えるが、違法薬物の取り引きも、隣国からの暗殺者も、全て見抜いていた。
「あいつらをぶっ潰す計画は、第3段階まで考えていたのになぁ。」
ほくそ笑む皇太子殿下を見て、俺は少しだけ空恐ろしさを感じた。
しかし、ベルは、皇太子殿下を単に面白い方だと思っているので、実は冷酷で容赦なく粛正する御仁ということは、秘密にしておこう。
世の中、知らなくていいこともあるのだ。
これで、やっと俺の役目は終わりだ。
皇太子殿下からの指令は当分ないだろうし、今までのような任務は避けたい。
これからは、ベルと結婚し、2人で公爵家を守っていく。
あたたかな家庭になるだろうと、新たな生活に期待しかない。
君となら、この先、何があっても一緒に居られる。
日々笑い合って、飽きることなく抱き締め合って、日々を過ごしていこう。
君だけを、俺は愛しているんだ。
こんな気持ちを教えてくれて、ありがとう。
もう君を手放せない。
俺の幸せは、君とともに在る。
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