【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい

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2.恋しい人

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リュシフェル様は、とにかく優しい人だった。
いたずらを仕掛けても、嘘泣きして困らせても、いつも隣りに座って頭を撫でてくれた。
覚えの悪い私に根気よく勉強も教えてくれた。
いつも穏やかに、傍に居てくれるのが当たり前のようになっていった。

のんびり育った筈の私が「何をしてもお姉様には敵わない…」と気付いたのは十歳の時だった。
穏やかな性格で誰にでも優しく、勤勉で優秀、容姿端麗な人に成長していた。
同じ金髪に薄紫の瞳なのに、こうも印象が違うのかと思う位に、お姉様は綺麗な人だった。
そんなお姉様は、憧れありつつも、劣等感をかき立てる存在でもあった。

「サラーシュにしかない魅力がたくさんあるんだから。」

いじける私をリュシフェル様は慰めてくださる。
その言葉をいつも胸に秘めて、私なりに素敵な女性になりたいと頑張っていた。

「努力は裏切らないから。」

じっと目を見て、そう仰るリュシフェル様の言葉を信じて、ずっと一緒に居られるように願っていた。

いつも会いたくて。
笑顔を見たくて。
リュシフェル様のお役に立ちたくて。
一緒にいられるなら、どんなこともする。
誰にもリュシフェル様は渡したくない。

お姉様と同じように、人気者のリュシフェル様。
取り巻き達は、常にたくさんいる。
リュシフェル様を思うと、甘い感情だけでなく狡くて汚い感情まで、この九年で味わってしまった気がする。
泣きたい位に、リュシフェル様が好きだった。
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