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3.グレイシアとの出会い ①
しおりを挟む俺とグレイシアが出会ったのは、彼女が語学留学をした十四歳の時だった。
このデルーミア王国に、侍女も付けず身乗り込んできたグレイシアは、レイグラント帝国のエヴァンス公爵令嬢だ。
とは言え、公爵家の影はそっと帯同していたが、表立っての護衛騎士は居なかった。
俺の父であるガイヤ国王とレイグラント帝国のジェスティン陛下は大変親しい間柄なので、ジェスティン陛下の姪のグレイシアは、国賓待遇での留学だった。
しかし、一般の学生寮に入り、デルーミア語を学んでいた。
今でこそ、社交界では幅を効かせる公爵令嬢だが、当時のグレイシアは、かなりやさぐれていた。
何をしても天才肌の兄エミリオンには勝てず、帝国での『あのエミリオン様の妹』扱いに辟易していたのだ。
天才エミリオンの噂は、このデルーミア国内にも広まっており、グレイシアは当初、大人しくしていた。
そこで勘違いをしてしまったのが、恥ずかしながらデルーミア国の学生達だ。
「あのエミリオン様の妹って本当?」
「大したことないじゃない。」
そんな噂がすぐに広まり、グレイシアに護衛騎士が帯同していないことをいいことに、足を引っ掛けたり、突き飛ばしたり、嫌がらせする学生が出てきた。
そんな状況も知らずに、ふらりと学校に立ち寄って、初めてグレイシアを見た時の衝撃は忘れられない。
大人数に囲まれたグレイシアは、デルーミア語を見事に使い熟していた。
「あなた達、私を誰だと思っているの!?
レイグラント帝国のエヴァンス公爵家のグレイシアよ?
確かに兄のエミリオンは天才だけど、あなた達に貶められる程、私は馬鹿じゃないの。
気晴らしに語学留学に来たけれど、どうかしら?私のデルーミア語。ちゃんと通じるでしょう?覚え始めて五日目ですけど。
分からないと思って貶めているのなら、デルーミア国王に言って不敬罪にしてもらうわよ?」
流暢にデルーミア語を話すグレイシアに、俺は一目惚れした。
そして、即座にグレイシアの前に跪いた。
「グレイシア・エヴァンス公爵令嬢!
私、デルーミア国の王太子、サイファと結婚してください!!」
「ええ、喜んで!」
俺は、周りの学生達を睨み付け、グレイシアに問うた。
「この者達は、不敬罪にする?」
「また変なこと言ったら、斬首刑で。ふふ。」
冗談を冗談で切返すグレイシアに見惚れていると、学生達は土下座した。
そんな奴らにグレイシアは微笑んで言った。
「これからは、そっとしといてね?」
その笑顔に、俺はまた惚れた。
(俺の最愛を見つけた!)
心が踊る日だった。
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