【完結】嫌われ悪女は俺の最愛 〜グレイシアとサイファの恋物語〜

紬あおい

文字の大きさ
5 / 22

4.グレイシアとの出会い ②

しおりを挟む

謝罪をする学生達から離れて、俺はグレイシアと庭のベンチに座った。
ぴったり隣に座ると、グレイシアは顔を赤くして、少し離れようとしていた。

「何故、距離を?」

「だって、サイファ殿下は私を助けてくれようとしただけでしょう?」

「はっ!?」

グレイシアは、皆の前での求婚をあの場を収める為の演技と勘違いしていた。
俺の一世一代の告白を演技とは聞き捨てならない。

「本気なんだけど?」

「へっ!?」

「だから、真面目に求婚したんだってば!グレイシアは『喜んで!』って承諾したからな?」

「あ……」

「俺のこと、好きになれそうにない?」

グレイシアは、赤い顔のまま、俺をじっと見た。

「お顔が好き…」

「顔か…まあ、顔からでもいい。絶対本気で惚れさせるから!」

「はい…」

「そう言えば、父上達は仲が良いのに、何で俺達は今日が初見なんだろうか…
グレイシアが名乗らなければ、エヴァンス公爵令嬢が留学しているとだけしか知らなかった…」

「私、お兄様を超えようと、これでも勉強ばかりしていて、あまり外の世界を知らなかったからかしら…
まあ、それに限界を感じで、単身乗り込んで来ちゃったのだけど。ふふふ。」

「そんなに思い詰める程、プレッシャーだったのか?」

グレイシアは、少し悲しそうな顔をした。

「皆、私を可愛い可愛いって、家族は甘やかしてくれたけど、他人の目は厳しくて…
お兄様は十歳で皇立学園の特別試験に断トツ一位で合格したけど、私はそれさえも受けられなかったわ。
一度目を通せば頭に入るお兄様と違って、私は夜通し勉強してやっと理解出来るボンクラなの。
それが悔しくて、でも、お兄様はいつも優しくて。
どう足掻いても、人としても敵わない。
だから、お兄様を追いかけるのはやめたわ。」

家族愛にも恵まれ、どうしたらこんなふうに育つのだろう。
今でも充分才能溢れる人なのにと、俺は思った。

「グレイシア、今のままでいい。俺は、そんなグレイシアがもっと好きになった。」

グレイシアは、はっとして俺を見た。

「今のままでいい…?」

「そう、今のままでいい。現状から逃げてきたようで、未だに努力し続けているグレイシア。
さっきのデルーミア語は完璧だったよ。
確かにエミリオン殿は天才かもしれないけど、たまたま家族に稀な存在が居ただけで、多くの人は努力しなければならない。
その努力をし続けることも才能じゃないか。
それが出来ない人もたくさん居るのだから。」

「そっかぁ…努力し続ける、か。でも、出来ればお兄様みたいに大した努力もしない天才が良かったわ!」

そして、ふと何かに気付き、グレイシアはげらげら笑い出した。

「あはははっ、やだっ、あはははははっ!!」

「何!?どうした?」

「あったわ!天才エミリオンお兄様が唯一出来ないこと!!」

「ん!?」

「 れ  ん  あ  い !!」

「恋愛!?」

「そう、恋よ!」

俺は、目の前に咲き誇るチューリップを見て、ふと思った。
花言葉は、黄色いチューリップは『望みのない恋』、白いチューリップは『失恋』だったなと。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

十歳の花嫁

アキナヌカ
恋愛
アルフは王太子だった、二十五歳の彼は花嫁を探していた。最初は私の姉が花嫁になると思っていたのに、彼が選んだのは十歳の私だった。彼の私に対する執着はおかしかった。

私の意地悪な旦那様

柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。 ――《嗜虐趣味》って、なんですの? ※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話 ※ムーンライトノベルズからの転載です

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

最強魔術師の歪んだ初恋

黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。 けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい

隙間ちほ
恋愛
◼︎無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫 ◼︎辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。姫がノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。 ◼︎筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。 ◼︎超高速展開、サクッと読めます。

認知しろとは言ってない〜ヤンデレ化した元カレに溺愛されちゃいました〜

鳴宮鶉子
恋愛
認知しろとは言ってない〜ヤンデレ化した元カレに溺愛されちゃいました〜

処理中です...