7 / 22
6.意図せず求婚
しおりを挟むあっという間にデルーミア語を習得したグレイシアの噂は、すぐに俺の父であるガイヤ国王の耳に届き、晩餐に招待するように言い付かった。
「グレイシア、国王陛下が会いたがってるんだけど、晩餐に招待してもいい?」
「えっ!?いいけど、私はどの立場で参加するの?ドレスも普段着しかないわ。」
「ドレスは俺が今から準備するから大丈夫!恋人の立場で来てくれないか?」
「大丈夫かな…」
「大丈夫、俺が傍に居る。」
少し不安そうなグレイシアだったが、了承してくれた。
そして、挑んだ晩餐で、ガイヤ国王とカナリー王妃は、流暢にデルーミア語で受け応えするグレイシアに好感を持ったようだ。
「流石、皇族の血筋だな。」
笑顔で褒めた国王にグレイシアは、まさかの反論をした。
「グラナードとファビオラの血筋でございます。
私はエヴァンス公爵家の者です。
それには、グラナードとファビオラの二人が居るからこそのエミリオンと私ですから。」
「なるほど。エヴァンス公爵家の者は家族愛が深いと皇帝陛下は言っていたが、その通りだな。
では、グレイシア嬢がデルーミア王国の王妃になったとしたら?
それでもエヴァンス公爵家が一番なのか?」
「その場合は、サイファ殿下が一番で、デルーミア王国の民が二番、エヴァンス公爵家は三番目となりましょう。
優先順位は、その時その時で変化するものですから。」
ガイヤ国王は、グレイシアをじっと見据えた。
「民が一番ではないのか?」
「はい、サイファ殿下が一番です。この王国の制度に王政がある限り、国を統べる存在は絶対必要です。
ですから、サイファ殿下と添い遂げるなら、サイファ殿下を護ることが、私の中の一番です。」
「はっはっは!サイファ、ここで求婚する令嬢が居るとは!!凄い令嬢を連れて来たな。」
「えっ!?はっ???求婚!?」
サイファは立ち上がり、慌てるグレイシアを抱き締めた。
「陛下!いえ、父上、私はグレイシアと結婚します。」
「いいだろう。ちょっと破天荒な令嬢だが、そなたにはちょうどいい。ただ、二年は我慢しなさい。留学生として預かっているのだからな。」
「分かりました。その二年、グレイシアと他国の言葉やデルーミアの情勢を学び、王子妃に相応しい女性になってもらいます。」
そんな中、カナリー王妃がグレイシアに微笑みかけた。
「グレイシア嬢、サイファは甘ったれな子だから、しっかり面倒を見てあげてね?」
「は、は、はいっ!お任せください!!」
グレイシアは、ガイヤ国王とカナリー王妃を目の前に、サイファに求婚したことになってしまった。
(あれっ!?私がサイファに求婚されたんじゃなかったっけ?何でこんなことに…?)
サイファは、くるくる変わるグレイシアの考えが手に取るように分かり、一人ほくそ笑んだ。
346
あなたにおすすめの小説
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
最強魔術師の歪んだ初恋
黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。
けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい
隙間ちほ
恋愛
◼︎無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫
◼︎辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。姫がノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。
◼︎筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。
◼︎超高速展開、サクッと読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる