【完結】嫌われ悪女は俺の最愛 〜グレイシアとサイファの恋物語〜

紬あおい

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7.充実の二年間と別れ

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それから二年間、グレイシアは気付けば近隣諸国の言葉を五カ国語も習得し、国賓待遇の来客を迎える時は通訳として活躍した。
その際には、各国の情勢も学び、デルーミア王国だけでなく、レイグラント帝国の宣伝もし、外交にも遺憾なく力を発揮した。

ガイヤ国王もカナリー王妃も、グレイシアの急成長と活躍振りに目を見張る日々だった。

「サイファ!グレイシアを絶対に逃すなよ?」

グレイシアが留学して一年も経たないのに、ガイヤ国王は俺に言い、二年間の留学を終えて帰国する際は、国王自らグレイシアを引き留めた。
うっかり王太子に求婚した筈の帝国の公爵令嬢は、気付けばデルーミア王国にとって、なくてはならない存在となっていたのだ。

「グレイシア、すぐにでもサイファと結婚しないか?我が国はグレイシアを喜んで迎えるぞ?」

「国王陛下、この二年間、有意義な時間を過ごさせていただきまして、ありがとうございました。
兄のエミリオンに何一つ敵わないと思っていた私が、兄とは違ってもいいのだと思えた時間でした。
しかし、お気持ちは嬉しいのですが、私の一存で即答出来る立場ではございません。
私は、エヴァンス公爵家の人間です。
ここは一度帰国し、両親とも相談したいと思います。」

「そうか…分かった。」

「グレイシア、良いお返事を期待していますよ。」

グレイシアは、美しいデルーミア語とカーテシーでガイヤ国王とカナリー王妃に別れの挨拶をした。
俺は口を挟まず、グレイシアをただ見つめていた。

「荷物の整理するね。」

「送って行くよ。」

俺は学生寮までグレイシアを送り、話がしたかった。

「グレイシアは、俺と結婚したくないの?」

俺は痛む胸を我慢し、グレイシアに問い掛けた。
そして、グレイシアからは予想通りの答えが返ってきた。

エヴァンス公爵令嬢としての立場、次期公爵となるエミリオンの不毛の恋、捨てられないお互いの立場。
どれも、グレイシアの言う通りだ。

「サイファのことは、たぶん愛していると思う。
だけど…ごめんなさい…」

そして、グレイシアは十六歳、俺は十七歳。
触れるだけの口付けを残し、俺の心を掴んだまま、グレイシアは帰国した。

それから一年、グレイシアからは手紙が一通来ただけだった。
『兄の恋は叶わないかもしれません』と。
それは、グレイシアがエヴァンス公爵家を継がねばならないことを意味している。

そろそろ諦めろと周りに言われ、王太子妃候補選びは白熱したが、グレイシア以外に心が動かない。

そんなことよりも、グレイシアが来た時、次期国王として相応しい自分を見せたくて、俺は政務と外交に没頭した。
それでもグレイシアを待てず、悩みに悩んで、俺はガイヤ国王に直訴した。

「グレイシアを迎えに行ってきます。」

「この一年、私の想像を上回る程にお前も成長した。
だから、一年待とう。一年経ってもグレイシアの気持ちが変わらなければ諦めろ。
ジェスティン皇帝陛下には、私から連絡しておく。」

「御意。」

「サイファ、頑張るのよ!」

「はい、母上。」

国王と王妃という立場よりも、俺の幸せを願う親心を優先してくれる両親に感謝し、俺はグレイシアを奪いに行った。
必ずグレイシアを連れて戻ると心に決めて。
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