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17.一時帰国
しおりを挟むヴェリティ様の妊娠が発覚して、グレイシアはレイグラント帝国に居たがったが、俺の傷害事件の後始末や結婚の準備の為と言い包めて、一旦デルーミア王国へと連れて行った。
グレイシアは、珍しく気弱になっていたエミリオン殿に喝を入れてから、デルーミア王国へと向かったのだ。
デルーミア王宮に到着すると、俺の両親は笑顔で迎えてくれた。
「グレイシア、待っていたわ!サイファが取り逃したら、王命で捕獲に行かなきゃと思っていたの!!」
「はっ!?ほかくっ?えっ、サイファ、何!?」
母であるカナリー王妃に謎の歓迎をされ、グレイシアはドン引いていたが、父のガイヤ国王は満足そうに俺を見ていた。
「サイファ、滞在中は貴族達との顔合わせや、結婚式の準備もあるから、グレイシアの部屋はお前の部屋と続き部屋にしてある。
ちゃんと話し合って、いろいろ決めなさい。」
(父上、グッジョブ!!)
俺は澄まし顔で、内心は父に感謝していた。
これで一日中グレイシアと一緒に居られるからだ。
しかし、デルーミアに到着した翌日、グレイシアの歓迎とお披露目を兼ねたパーティで、このグレイシアの訪問が一部の高位貴族にはあまり歓迎されていないと実感した。
中でも、王太子妃を狙っていたイジリヤ・スウィフト公爵令嬢は、なかなかの糞女だった。
王宮で開かれたパーティの夜、ワインレッドのドレスを見に纏うグレイシアに、まずワインをかけるところから始まった嫌がらせ。
「申し訳ありません!ワインが!!」
「あら、いろいろ想定して選んだドレスと同じ色ですから、お気になさらず?」
次は、ドレスの裾を踏んで転ばせようとするも、グレイシアはジャンプして回避。
「申し訳ありません!つい踏んでしまいまして…お小さい方なので、ドレスが長いのでは?」
「あら、いろいろ想定して選んだローヒールを履いてましたの。私、運動神経は抜群に良いのです。ふふふ!」
全く意に介さないグレイシアに、嫌味の応酬が始まる。
「帝国の公爵令嬢様には、デルーミアの情勢や他国との外交は難しいのでは?」
「あら、私、二年間の留学中、通訳を兼ねて外交もお供させていただきましたの。
イジリヤ嬢はご存知かしら?
隣のハムスタン国王は、小動物にもふもふにされると、大抵の交渉はOKしてしまうとか。
その隣のティウォミル国王は、血を見る争いが苦手だから、交渉時は豊潤な穀倉地帯を褒めちぎると、帰りは荷馬車十台のお土産を持たせてくださるとか。
あと…」
「外交のお話は、もう結構です!!!
でも、色事に関しては如何かしら?サイファ殿下の隣に立つだけでなく、夜もご満足いただかないと、王位継承者の問題もありますし。」
イジリヤは、プロポーションに自信があるのだろう。
小さな体のグレイシアを上から見下ろし、胸を強調してみせる。
「あっ、こんな場所で、そのようなお話を?
閨での相性もバッチリですから、王位継承者につきましてはご心配なく。
もうサイファったら、昼間も可愛らしい人なんですけど、夜は夜で私にしか見せない可愛らしさがございますの。
湯浴みの後のふわふわした髪とか、もう赤ちゃんかしら!?位に可愛らしくて、同じソープを使っているのにサイファの体臭と混ざると、夜だけは何故か甘い香りがして、ついクンクンクンクンしてしまいますの。
それから…」
「もう結構です!!」
「えっ!?ここからが面白いのに…」
残念がるグレイシアを尻目に、イジリヤはプンプン怒って行ってしまった。
それ以来、話の通じないグレイシアとして有名になりつつも、好意的な令嬢にはとことん人たらしを発揮し、更には、外交戦略には欠かせない存在としての立場を確執したのだった。
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