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15.家族旅行 ②
しおりを挟むエルドランド殿下のざっくりとした説明で、この別荘はジェスティン皇帝陛下とグラナード公爵の夢が詰まった遊び場だということは分かった。
それぞれ着替えて遊びに行くことになったが、濃いめのベージュのパンツに白シャツの女性陣は、シンプルな服装なのに、着飾った時に引けを取らない位、美しかった。
「グレイシアのポニーテール、初めて見た!可愛いね。」
「やだ、サイファったら!」
べしっと背中を叩かれて一瞬怯む俺。
しかし、グレイシアに気を遣わせるのは可哀想なのでグッと堪えた。
エミリオン殿には気付かれたが、ちら見して顔を背けた。
(エミリオン殿、絶対笑ってるな?)
「サイファは、まだ完全に治っていないのだから、私とのんびりしましょう?」
(ーーっ!?叩いといて気遣う俺の悪女!)
俺の腕を取り、グレイシアはブランコへと歩き出した。
俺は、笑いを堪えるのに必死だった。
ちょっと頓珍漢なグレイシアだが、ブランコに乗って風を受けるグレイシアは、とても美しかった。
エミリオン殿に似ているが、女性らしい体付きや長い睫毛、さらさらと靡くショコラ色の髪。
どれを取っても美しい。
俺が見惚れていることに気付けば、頬を染めて笑うグレイシア。
このまま無邪気なグレイシアで居て欲しい気持ちと、すぐにでも深く深く抱き合いたい気持ちが俺の中で鬩ぎ合う。
「グレイシア、本当に俺と結婚してくれる?」
小さな声で呟いた。
「もちろん!サイファ以外には考えられないわ。」
きっぱり言い切るグレイシアに、またときめく。
「ぎゃーーーっっっ!!」
叫び声の方を見ると、リオラ嬢やリディア嬢と滑り台で遊んでいたグラナード公爵が、でんぐり返しをしながら芝へと転がっていた。
「あはははっ!義父上、ごろごろ転がって大破したな!!」
「やだっ、お父様ったら何をなさってるの!?
あれで公爵とか、うそみたいだわっっっ!!」
呆れるグレイシアを見ながら、グレイシアの無邪気さは、絶対にグラナード公爵似だと思った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして、あっという間に家族旅行最終日。
食堂には、鹿肉や猪肉、きのこ料理が並び、最後の夜は晩餐会だった。
初めて食べる料理に満足した後は、皆、思い思いに夜を過ごす。
俺とグレイシアも、客間でのんびりだ。
「グレイシア、本格的に結婚の話を進めようと思う。
今回、国王陛下の立場じゃなく、俺の父上として一年待ってくれたんだ。グレイシアを必ず妃にしろって。」
俺は、グレイシアへに改めて結婚の話をした。
以前、二人きりでの確約は取ったが、傷害事件の所為で国と国の諍いになると、グレイシアに気にされると困るからだ。
グレイシアは俺の怪我をとても心配し、心を痛めていた。
あの時、直前に閃いた策だとしても、俺はグレイシアに悲しみを与えてしまった。
もう二度とそんな想いはさせない。
こんなに愛せる人を見つけたのだから。
「サイファ、愛してる。私をお嫁さんにしてください。」
グレイシアからの求婚に胸が熱くなる。
「こちらこそ、俺を生涯唯一の伴侶にしてください。」
俺はグレイシアに口付け、グレイシアもそれを受け止めてくれた。
「グレイシア、傷はもう大丈夫だから、この先に進んでいい?」
「優しくしてね?初めてだから。」
「俺も初めてだ。怖かったら、すぐ言って?止めてあげられるか、分かんないけど。」
「サイファなら怖くないよ。」
俺はグレイシアを抱えて、ベッドに歩き出した。
ーーーーーーー
本日6時同時公開
『大切な人と愛する人』
もしもの世界~エミリオンとヴェリティのもう一つの恋物語~
そちらもよろしければ、ご覧ください(°▽°)
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