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6.馬車の戯れ
しおりを挟むのらりくらりとレリウスの誘いを断り続けていたが、父からの命令のパーティの日がやって来てしまった。
公爵家から贈られたドレスは、ご丁寧にもブルーで、アクセサリーもブルーだ。
(レリウス様一色ですかぃ!よその令嬢の反感を買うだけなのに…)
気分が上がらないまま、支度をして、レリウスの迎えを待った。
「リリンス、久しぶりだね。体調はもういいのかい?」
王子様のようなレリウスが登場した。
基本はお揃いみたいなデザインだが、クラバットの装飾やカフスは、私の瞳の色のヘーゼルだ。
格好だけは、どこから見ても婚約者同士だ。
「もう大丈夫です。ご心配をお掛けしました。」
父や母が居るので、私もレリウスも借りてきた猫のように振る舞う。
腕を組んで、早速パーティに向かう為、馬車に乗り込む。
「隣に来ない?」
「遠慮します。」
レリウスがふわっと笑い掛け、私がピシッと断る。
この前みたいに、急に口付けられたら、この後、平常心を保てる気がしない。
「つれないなぁ、婚約者なのに。」
レリウスの心が分からない。
戸惑う気持ちを私は上手く隠せない。
もう暗いのに、窓の外ばかり見ている。
「君は横顔も綺麗だな。」
「はぁ?い、いきなり何を…ついこの間まで無視に近かったのに、急に変なこと言って…」
「だから言ったじゃないか。興味を唆るって。」
「あーそうですか。勝手にしてください。」
「じゃあ、勝手にする!」
レリウスは、私の手を引っ張り、ふわりて膝の上に乗せて、じっと見つめてくる。
私だけドキドキするのは癪なので、じっと見返してみる。
微妙な空気に耐えられず、口の端が歪み、遂には二人して笑い出す。
「あはははっ!何なんですか、これ?」
「ぷっ、はははっ!何だろうね?俺は楽しい!!」
笑い過ぎて落ちそうになった私を、レリウスはしっかり抱き止める。
「うん、やっぱり君は可愛くて面白いな。」
(何を言ってるの、この人は?)
自分の顔がかぁーっと真っ赤になるのを感じて、レリウスの胸に顔を埋めた。
レリウスは、私の耳朶を指でくにくに弄びながら、パーティ会場に到着した。
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