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1.子うさぎ令嬢の一目惚れ
しおりを挟む私、クラリスには、皇帝直属の騎士団員の婚約者が居る。
ジェスティン・バウワー卿だ。
二つ年上の十八歳で、若くして副団長を務めている。
黒髪とグレーの瞳が印象的で、一般的にも眉目秀麗と言われる部類だろう。
落ち着いた立ち居振る舞いと、耳心地の良い低い声も魅力的だ。
出会いは、皇室主催の狩猟大会で暴走した馬の進行方向に私が居て、既の所で助けてもらったという状況だ。
突然現れて、命を救ってくれた美丈夫に一目惚れした私は、父に頼んで婚約を取り付けた。
半年後には結婚の予定だ。
ジェスティンは子爵家の三男、私はリットン伯爵家の長女なので、結婚に際しては婿入りが必須条件ということになっていた。
突然の婚約の申し入れにだったが、ジェスティンは特に異議を唱えず、円満に承諾したと思っていた。
現に、数日おきに伯爵邸を訪れて、一緒にお茶を飲んだり、庭園を散歩してたくさん話したり、私達の仲はどんどん親密さを増していった。
ある日、庭園の四阿でずっと気になっていたことを聞いてみた。
「ジェスティン様は、恋人はいらっしゃらなかったのですか?」
ジェスティンは少し考えて口を開いた。
「恋人と呼べるかどうか、微妙な間柄の人は居ました。でも、彼女は別の男性と結婚します。」
「それならば、まだお気持ちはその方に…」
当然だろう。
別れました、はい、次!とはいかないのが人の心。
「正直、よく分かりません。でも、忘れるきっかけになるのではないかと、この話を受けました。金髪と薄紫の瞳の美しいクラリス嬢の印象は、とても好ましいものでしたから。小さくて、目がクリクリした子うさぎみたいで可愛いなとも思いました。」
誤魔化さず、真っ直ぐに私の目を見て話す姿に、どこまでも正直な人なんだろうと感じた。
「見た目が好ましい印象も嬉しいですが、私自身を好きとか愛してるに変えられるように頑張りますね。」
やる気満々の私を見て、くすりと笑ったジェスティンに、また恋に堕ちた。
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