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2.近付く距離と離れゆく心
しおりを挟む騎士団から伯爵邸は、そんなに離れていないからと、仕事の合間にジェスティンはマメに会いに来てくれた。
私とジェスティンは、雨が降らない限り、庭園を散歩して四阿でお茶を飲むことが多かった。
「会えない日は何をしていましたか?」
ジェスティンは、私の行動を知りたがった。
「昨日は、護衛のカーリーと本屋に行きました。」
「護衛は男性ですよね?二人で?」
「あら、嫉妬ですか?カーリーは女性ですよ。男性並みに強いけど。ふふ。」
「いや、嫉妬では…」
嫉妬してくれたらいいのにと思ったけど、違うらしい。
ちょっとがっかりしていたら、手を握られた。
「嫉妬だったかも…しれません…」
嬉しくなって微笑んだら、引き寄せられてそっと口付けられた。
「すまない…笑顔が可愛くて…」
その日を境に、ジェスティンは口付けをするようになった。
軽く啄むような口付けだけど、初めての私には頭がクラクラするほど刺激的だった。
口付けた後、お互いに顔を赤らめ見つめ合う瞬間、幸せだなと感じる。
このまま順調に愛を育めればいいなと思っていた。
しかし、幸せは儚いものだ。
継続的にジェスティンの行動を密偵に探らせていたら、元恋人と会っていることが分かった。
探らせていた私は、ジェスティンを心からは信用していなかったのかもしれない。
ただ伯爵家だけでなく、貴族としては常套手段ではあるが。
「お嬢様、ジェスティン様の元恋人のアリーという女性は、頻繁に騎士団の近くのカフェに訪れているようです。そこで二人で過ごしていることもあります。」
「訪れているようです、というのは会えない日もあるってことかしら?何れにしろ、騎士団の仕事にカフェに我が家に、ジェスティン様はお忙しい方なのね…アリーという方については、もっと調べてみて。」
密偵に指示を出した後、一人考える。
一目惚れは、こういう危険を孕んでいるんだなと私は少し反省した。
ジェスティンの態度次第では婚約解消も有り得るので、冷静になって考える時間を設けよう。
逢瀬を続けていれば、何れ二人は結ばれるかもしれない。
私は邪魔者にはなりたくないし、私の傷も今なら最小限で済むだろう。
そうとでも思わないと、この胸の痛みに押し潰されそうだった。
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