【完結】 私の全てを狂わせた暴君

紬あおい

文字の大きさ
10 / 43

10.笑う女

しおりを挟む

応接室で待つと、レオン陛下とミレイユ王女が入って来た。
私はカーテシーで迎える。

「そんなに堅苦しくなくていいわ。ノエルと呼んでいいかしら?」

「はい。」

「ノエル、緊張してるのか?今日は『へいくぁ』って言わないんだな。あははは!」

レオン陛下は、こんな時でも私を揶揄う。
しかし、ムスッとする訳にもいかず微笑む。

「ちょっと、レオン陛下、止めなさいよ。ノエルが困ってるでしょ!ノエル、ごめんなさいね?レオン陛下ったら失礼な奴でしょう?昔から、気を許した相手にはこうなのよ…幼い頃から知ってるけど、大事な場面で私もよく揶揄われたわ。」

ミレイユ王女の気さくさに、私はほっこりする。

「おい、ミレイユ!失礼な奴とは言い過ぎだぞ?ノエルは猫被ってるから、たまに剥がしてやるんだ。」

「あらまぁ、随分お気に入りみたいね。ノエル、大変な人に目を付けられたわねぇ…」

いたずらっ子のように笑うミレイユ王女に、私が恋に落ちそうだ。

「ところで、この後の日程だが、殆どがキースハルトと同行になるからな。ちなみに、キースハルトとクラリスは夫婦で、ミレイユと同い年の十九歳、セドリックとノエルも夫婦で、十七歳だ。今回は歳の近い者で対応することにしたんだ。ミレイユもジジイ相手は嫌だろう?」

「そうね、若い方の方が楽しいし。レオン陛下だけオジサンね?」

「はっ!?俺だってまだ二十二歳だが?」

「一国の皇帝が二十二歳で独身、恋人なしとか…あっ…でも…ふぅん。そういうことか!レオン陛下、協力しますわ。私も気に入ったし!!」

「流石、ミレイユ!勘がいいな。」

レオン陛下とミレイユ王女は、物凄く良い顔で微笑み合うが、私には悪巧みをするいたずらっ子に見えていた。

「あ、ノエル、一人にして悪かった。早速、本題に入ろう。」

そうは言っても、特に通訳が必要とも思えない位に会話が成り立っている。
私がこの場にいる意味があるのか、疑問に思えてきた。

「ノエル、通訳なしでもいいのでは?って思ってるでしょう?」

ミレイユ王女が笑いながら言った。

「はい…」

「私がこの日の為に、日常会話位はと勉強してきたのよ。特にキースハルトと会話が通じないようじゃ困るしね。それに交渉にあたる他の者達は、込み入った話の時は通訳が必要だし、ノエルに傍にいてもらわないと!あとノエルは、レオン陛下のお相手もちゃんとしてあげて?」

「はぁ…陛下のお相手ですか…私に通訳が必要かもしれません…」

「おい!ノエル!?」

つい本音が出てしまい、レオン陛下は慌て、ミレイユ王女は大笑いした。

「レオン陛下、この子、面白いわ!気に入った!!」

いつかのデジャヴのような光景に、私は頭が痛くなってきた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~

marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」 「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」 私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。 暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。 彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。 それなのに……。 やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。 ※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。 ※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

処理中です...