妹に婚約者を奪われた公爵令嬢は只今辺境伯に溺愛されています

紬あおい

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24.今更ながらの秘密




久しぶりの夫婦の営みは、回数よりも快感の大きさや深さで満足したのか、ヴェルシスが二度果てたところで私達は眠りに就いた。

初めての頃は足りないものを補うかのように朝まで、若しくは昼まで激しく求められ、子鹿のようなファーン夫人と、乱暴な獣ブリュット伯と皆に呼ばれていたのが嘘のようだ。

ヴェルシスよりも早く目覚めた私は、長い睫毛や整った顔立ちをじっくりと見つめ、にやにやしていた。

「俺の妻は変態か?」

ぱちりと目を開いたヴェルシスは、私を見つめ微笑んだ。

「えっ…起きてたの?てか、その言い方!?」

「いや、じっと見られている気配がしたから…」

寝ていても僅かな気配を感じ取るヴェルシスは、騎士として緊張感のある日々を過ごしていたからだろうか。

「ごめんなさい…ヴェルシスのお顔が綺麗だったから…」

「謝ることではない。寧ろ、もっと見ていていいぞ?リルアの視線が俺だけを捉えているなんて、朝から至福のひと時だ。」

頬を染めて私を抱き締めるヴェルシスに、私の方こそ至福の時間だと思うのだ。

「ねぇ、ヴェルシス、昨夜はリシャール殿下と遅くまで何を話していたの?」

「兄上、フェリスに一目惚れしたみたいなんだ。」

「やっぱり!!!」

「こら、落ち着け。」

がばっと起き上がり、興奮する私をヴェルシスはまた胸の中に閉じ込めた。

「そうだと思ったの!だって、赤くなったお顔がヴェルシスの反応とそっくりだったもの。」

「そうなのか!?俺はリルアを見て、あのような小っ恥ずかしい顔をするのか?」

「うん!あなたも真っ赤だったわ。」

「はぁ…兄弟で恥ずかしい…めろめろじゃないか…」

「今も真っ赤よ?」

「うるさいっ!」

私の顔を胸に押し付け、ヴェルシスが照れている。
そんな時は、アルカロイド辺境伯ではなく、ただの夫であり恋しい人だ。

「フェリスって、平民?それにお歳はおいくつなの?」

「確か…伯爵家生まれの五女だったし、二十二歳かな?兄上よりも二つ上だ。」

「フェリスは伯爵家生まれで、殿下は二十歳なのね?………!?待って!!」

私は今更ながらの事実に驚愕した。

「ちょっと、待って!!!」

再び起き上がり、ヴェルシスを見下ろす。

「な、何!?リルア、どうした?」

「フェリスは年上で殿下って私と同い年!?
えっ?じゃあヴェルシスっていくつなの!?」

「俺は十八だが?」

「えーーーっ!私よりも年下だったの!?」

愕然とする私に、ヴェルシスの方が驚く。

「今更?それって驚くことか?」

「だって……聞いてない…」

「聞かれなかったから、言ってない…
しかし、今重要なのは、俺達が夫婦で愛し合うことだけじゃないか?」

「そ、そ、そ、それはそうなんだけど…」

「歳なんて大したことじゃない。それに男の方が早死にするんだから、年下の方が長く一緒に居られるだろう?」

「うーん………そっか!ならいいや!!」

「あはははっ、納得すんの早っ!!!
全く…どれだけ俺に興味がなかったんだか…
皇子の歳位、貴族なら把握しているかと思ってたよ…」

類を見ない最速婚の皇子と公爵令嬢。
手続きはヴェルシス任せで辺境伯夫人になった私は、皇族との結婚などあの日まで夢にも思わなかったし、婚姻証明書を見ていなかった。

「たまに子どもっぽくて可愛らしいと感じたのは、全くの勘違いではなかったのね?
ねぇ、まだヴェルシスには秘密があるの?」

「えっ…これって秘密か?リルアの確認不足では!?」

「あっ…そうなの!?えっ…そっか……」

穏やかな朝と今更の事実に、私達はまだまだお互いを知るべきだと思うのであった。



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