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4.結婚生活は見た目順調
結婚して数日。
文官のアヴィスは、毎日仕事に行き、真っ直ぐ帰宅する生活を送っている。
私は、ペリゴール公爵家の仕事を執事のグレゴリーに少しずつ教えてもらっている。
いつものように朝食を共にしていると、アヴィスが申し訳なさそうに伝えてきた。
「三日程、留守にする。何かあれば、グレゴリーに言ってくれ。」
その表情で私は理解した。
タチアナ様の元に行くのだと。
「承知致しました。」
努めて冷静を装い、食事に集中する。
(動揺したところなど見せられない。そういう結婚なのだから、しっかりしないと。)
アヴィスは、じっと私を見つめていたが、何も言わずに出勤して行った。
朝食後、グレゴリーを訪ねて、今日の分の仕事を始める。
ごちゃごちゃに積み重なった書類を日付け順、優先順に並べ替え、ひとつひとつ処理していく。
分からないところは、グレゴリーが即対応してくれるので、とても助かる。
「奥様、そろそろ休憩になさってください。メアリーにお茶を淹れさせます。」
「ありがとうございます。もう、そんな時間なんですね。」
公爵夫妻は少し離れた執務室なので、大抵グレゴリーとメアリーとお茶を飲む。
最初二人は遠慮したのだが、私一人では寂しいので、無理矢理付き合ってもらっている。
「奥様、私達に敬語はおやめください。」
「あぁ…直す方が難しいの。でも、頑張るわね?」
「ご結婚されたばかりなのに、奥様は頑張り過ぎですっ!侍女達もびっくりしてますよ?旦那様はあんななのに、真面目で一途って!」
「こら!メアリー!!」
メアリーは口にしてから「まずい!」という顔をし、グレゴリーはすぐに叱った。
「大丈夫よ。グレゴリー、メアリーを叱らないで。私を思ってのことだもの。皆の気持ちは嬉しいわ。でも、旦那様はお優しいし、とても素晴らしい方よ。だから、大丈夫。決して旦那様を悪く言ってはいけませんよ?」
「申し訳ございません。気を付けます!」
使用人達にもタチアナは公認のようになっているんだなと改めて実感する。
アヴィスは、まだ離れに連れて来ないが、時間の問題だろう。
その時、私はどうしたらいいか、まだ考えがまとまらない。
今は公爵家にずっと居られるように、仕事を早く覚えて独り立ちしよう。
離縁された伯爵家の二女なんて、もう誰も相手にしてくれないだろうから、帰る場所もない。
アヴィスは、予想外に私にいろいろ任せてくれるので、期待に応えられるよう、私は日々頑張るつもりだ。
アヴィスが居ない日も、そのうち慣れるだろう。
タチアナが離れに移り住んだら、ずっと会えないのかという不安はあるけれど。
今から考えても仕方ない。
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