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【フィリーネ編】 夫の『二番目』から『唯一』になった妻 〜優しい夫が嫉妬に狂うと絶倫なんて聞いてません〜
2.今までと違う日常
しおりを挟むようやく体調が戻り、日常生活が送れるようになった。
アレクシスとの関係も今まで通りだ。
寝食を共にしているし、夜の生活も頻度は変わらない。
アレクシスはあたたかく抱き締め、愛の言葉を囁いてくれる。
今までと変わったのは『変わっていないように気を付けている自分』だけだ。
私のアレクシスへの愛は日々深まるばかりだが、アレクシスの気持ちを思うと、その重さの違いに胸が苦しくなる。
私は、軽率な言葉で、アレクシスの人生を台無しにしてしまったかもしれない。
成就しなかった恋を、ゆっくりと時間を掛けて癒し、また別の人と恋に落ちて『一番』を見つけられたかもしれないアレクシス。
しかし、愚かな私のせいで『二番目』と暮らさなければならなくなってしまった。
申し訳なくて、せめて公爵家の執務はしっかり熟し、夫婦生活も今まで通り、穏やかに過ごせたらと思う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「フィリーネ、陛下の誕生パーティは行けそうかい?出席で返事は出してあるが、まだ体調が良くないなら行かなくてもいいぞ?」
「体調は大丈夫です。大切なパーティですもの!行きますわ。」
公爵家としては夫婦で出席した方がいいだろう。
ただ、そのパーティには皇子妃となったソフィアも当然居る筈だ。
二人が視線を合わせたら、若しくはアレクシスがソフィアを熱く見つめたらと考えたら気が重いが、私は行くことにした。
パーティ当日、陛下のお言葉の後、アレクシスと会場で挨拶回りをしていたら、セルジュ第二皇子がソフィア皇子妃を連れ立ち、話し掛けてきた。
「アレクシス、フィリーネ夫人、息災であったか?」
「殿下、ご無沙汰しております。妻は少し体調を崩しておりましたが、今は大丈夫です。」
「そうか。体は大事にしないとな。今は体調が良いなら、ちょっと夫人を借りていいかな?話をしてみたいんだ。」
セルジュは何を考えているか分からないが、穏やかな微笑みで話している。
「え…妻にですか?どのようなお話でしょうか…いや、妻は体調が…」
アレクシスは、しどろもどろになってしまったが、断ろうとしている。
隣にいる私を更に引き寄せ、腰に回した手に力が加わる。
体調が戻ったばかりの私を気遣う夫の姿としては完璧だ。
それに比べ、ソフィアはセルジュの隣で穏やかに微笑むだけで、何を考えているか分からない。
私が殿下と話しに行けば、アレクシスはソフィアと二人になれる。
嫌だという気持ちと、二人になりたいのだろうかという気持ちが交錯する。
セルジュの意図することは、直接聞けばいいだろう。
「殿下、私でよろしければ、お話し相手になりますわ。」
「そうか。では、参ろうか。夫人は後ほど返すから、パーティが終わる頃、庭園の四阿に来い。」
どこに行くのかは分からないまま、私はセルジュと歩き出した。
後ろでアレクシスが何か言っていたが、セルジュがどんどん歩いていってしまうので、そのままにしてみた。
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