【完結】 夫の『二番目』から『唯一』になった妻 〜優しい夫が嫉妬に狂うと絶倫なんて聞いてません〜

紬あおい

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【フィリーネ編】 夫の『二番目』から『唯一』になった妻 〜優しい夫が嫉妬に狂うと絶倫なんて聞いてません〜

4.カオスな四人

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私とセルジュが庭園の四阿に向かうと、アレクシスとソフィアが居た。
何やら話しているようなので、セルジュとこっそり近付いて、様子を伺うことにした。

「妃殿下は幸せですか?」

「はい。セルジュ様に大切にしていただいております。アレクシス様は?」

「名前ではなく、今はクレセント公爵とお呼びください。私は幸せです。妻は少し変わったところがありますが、可愛らしい女性です。」

「あっ!そうでしたわね。クレセント公爵がお幸せで良かったです。セルジュ様は可愛らしいところがあって…でも、心配性でなかなか信用されないというか…そこを何とかしたいのです。」

「殿下を愛していらっしゃるのですね。」

「はい。もちろんです。クレセント公爵の時は、恋に恋してる淡い想いだったかもしれません。今となっては、楽しい思い出です。でも、セルジュ様はあたたかくて、笑顔が可愛らしくて、全てが愛おしいというか…とにかく気遣いが素晴らしくて、お傍にいると、穏やかであたたかい気持ちになるし、時にはドキドキして…もう、大好きっ!って気持ちが止まらなくて!!」

 「ちょっと待ってください。何か二回振られたような気になるんですが…妃殿下がそのようなお顔をするところは、初めて拝見しました。でも!可愛さならうちのフィリーネは負けませんよ?美味しそうに食べるところとか、寝顔とか、家の者にも慕われているところとか。今では『あーん』なんて菓子を差し出されたら、思わず口を開けてしまいますよ!本当に食べたいのは、菓子じゃなくてフィリーネなんですけどね?可愛すぎて即死しそうな日があります!」

「「ちょっと待って!!」」

私とセルジュは、あまりの恥ずかしさに腕を組んだまま、アレクシスとソフィアの前に飛び出した。

「君達は、一体何の自慢をしてるんだ!?」

「寝顔とか『あーん』とか即死とか、恥ずかしいからやめてっっっ!!」

それを見たアレクシスは激怒した表情を浮かべ、ソフィアも厳しい目付きで仁王立ちだ。

「おいっ、何で腕組んでんだよっ!フィリーネ、殿下から離れろっっ!!」

「セルジュ様は私の夫でしょう?何をなさっていらっしゃるの!?」

アレクシスとソフィアの顔は、明らかに嫉妬に狂ったそれだった。
もうカオスな状態に、私はおかしくて笑ってしまった。

「あはははっ、おっ、お腹、痛いっ!ちょっ、殿下、ちゃんと愛されてますよ!!」

「くっくっくっ!フィリーネ、君もな!!」

私はアレクシスに、セルジュはソフィアに、ガシッと抱き付かれる。

「アレクシス様、苦しいわっ!」

「フィリーネ、ちゃんと愛されてるって何だ?当たり前だろ??」

「ちょっと待て。続きは二人でやれ。部屋を準備させるから、夜通し話すなり何なり好きにしろ。」

ここで喧嘩が始まると思ったのか、セルジュは皇宮の客間を準備し、そこに泊まるように言ってくれた。

「ソフィア、君は俺と熱い夜を過ごさなくてはな!」

「えっ!?セルジュさまっ?」

セルジュは、私達を客間に送ると、物凄く良い笑顔でソフィアを横抱きにして、足早に去って行った。
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