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20.義理でも家族
しおりを挟む翌日、レオリスと一緒に私の実家に行き、応接室では父のファシアスや母のアリスンが待っていた。
「フォレスター侯爵様、アリスン夫人、只今帰りました。」
「早めに帰って来たのだな。リアンナの心は掴めたか?」
「はい。しっかり掴めました。爵位を授かり次第、海辺の地で仮住まいし、並行して邸を建て、そこで暮らしたいと思います。」
「リアンナは、本当にそれでいいのか?今までの貴族の生活とは、環境ががらりと変わるぞ?」
「レオリスとなら、きっと大丈夫です。海辺の村での暮らしも、私が決めました。自分らしく過ごせるんじゃないかと思います。だから、レオリスとの結婚を認めてください。私からプロポーズしてしまいました。」
「はっ!?リアンナからだと?」
「はい、私から。」
ファシアスが驚きのあまり、あんぐりと口を開けている。
「あらあら、リアンナ、随分と惚れ込んだわね。レオリスったら、どんな手を使ったのかしら?」
アリスンは何だか楽しそうだ。
「どんな手と言われましても…旅行の承諾を得る際にお話しした目標が達成出来ただけです。」
「そうなのね。リアンナの感情を解放したいって言ってくれたけど、泣いたり笑ったり出来るようになったのね…良かったわ。」
「それに、リアは食いしん坊になりました。あははは!」
両親を説得出来た理由がこれなのかと、今更気付いた。
「お母様、私、そんなに変だった?」
アリスンは少し悲しげに笑う。
「勝手に決めてしまった婚約で、リアンナが頑張ってる姿を見て、これでいいのかと思ってたの…ジュリウスのことは嫌いではなさそうだったけど、リアンナがあまりにも淑女を目指して頑張り過ぎる姿を見て、母としては、もっと楽に生きて欲しいって思ったりもしたわ。それなのに、婚約破棄となってしまって、泣くことも笑うことも忘れてしまった娘を見るのはつらかった…だから、レオリスに賭けたの。凄く真剣な眼差しで『リアンナを本来の姿に戻してきます!』って言ってくれたから。」
目に涙を浮かべるアリスンの隣で、ファシアスも泣いていた。
「娘が幸せなら、親としては何でもいいんだよ。公爵夫人じゃなくてもな。娘が弱音も吐けない環境にしてしまって、すまない……レオリスの提案は、娘を持つ父からすれば、婚前旅行なんてけしからん!て話だが、リアンナが自分らしさを取り戻せるならば、それが一番だと思ってな。」
私は親にこんなに心配をかけていたのだと思うと、情けなかった。
「お父様、お母様、ごめんなさい。心配かけたわね…でも、もう大丈夫よ?」
「そうね。レオリスは、ちゃんとリアンナの心に寄り添ってくれたのね。」
「レオリス、リアンナを任せるぞ。大事にしてくれるか?」
「もちろんです!絶対に手が届かないと諦めていた女性でしたが、俺はこの幸運に感謝して、生涯リアンナだけを愛していきます。リアンナに相応しい男になれるよう、努力し続けます!」
「レオリス、固いわ!もっと気楽に、あなたも幸せにならなきゃね。私達の息子にもなるんだから。」
「息子…」
「義理でも家族になるんだから、レオリスは息子だろ?」
「義父上…義母上…本当にありがとうございます。」
そこに弟のライナーが飛び込んで来た。
「レオリス様は義兄上になるのですね!結婚式はいつですか!?」
勢い余って転んで膝をついたライナーに、私は笑ってしまう。
何故ライナーが一番興奮しているのか。
「ライナー、落ち着きなさい!」
「だって、義兄上がレオリス様なんて、カッコいいじゃん!レオリス様って何でも出来るし、すげぇ人って、姉上は知らないのですか?」
「えっ!?し、知らない…」
「これだから、勉強しかしない人は…」
レオリスは、片手で顔を覆って、そっぽを向いている。
「え?何が凄いの!?」
「姉上…周りに興味なさ過ぎ…文武両道で、事業も立ち上げて、投資したり、保護施設に寄付したり、若いのに既に実業家としても活躍してるって言われてる人なのに!知らないの!?」
「知らない…レオにも聞いてない…お父様やお母様も知ってたの?」
ファシアスもアリスンも笑いを堪えている。
「余計な事前情報は要らないだろう?リアンナが見たレオリスのそのままの姿に惚れたんだろうから。金持ちに嫁ぎたいなら、いくらでも探してやるが、リアンナが求めている人生は、レオリスと歩むんだろう?」
「義父上!今更探さないでください…」
レオリスが不安げに見るので、手を繋いで落ち着かせる。
「逆に、前以て聞いていなくて良かったわ。レオとなら、田舎で狩りをして暮らしてもいいって思ったもの。例え、事業家でお金持ちでも、レオに甘えて贅沢に暮らそうとは思わないわ。一緒に頑張るから。ねっ?レオ。」
レオリスが私を見て笑い、姿勢を正す。
「義父上、義母上、ライナー、リアって凄い女性なんです。俺を叱って励まして…寄り添ってくれて…共に生きていくのはリアしかいません。どうかリアの夫に、この家の家族にしてください。」
「もちろんだ。爵位も結婚式も新居も、全面的に協力する。皆で力を合わせよう。」
「ありがとうございます。事業面でも義父上のお力をお借りしたく思います。よろしくお願いします。」
(レオリスは、すっかりお父様に気に入られたわね。良かった!)
こうして、私の家族には許可が得られた。
次は、レオリスの方だ。
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