【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい

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41.矢継ぎ早に

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昼食の会場に駆け込むと、その場で食事をしていた全員が床に倒れ込み、呻き声を上げていた。

「リースハルト様、これを皆様に!」

準備していた解毒剤を騎士達に渡し、リンネが辺りを見回すとアンジェリーナ王女が苦しんでいるのが見えた。

「王女殿下、解毒剤をお飲みください!」

「お前は…うっ、ううっ…」

「失礼します!」

リンネはアンジェリーナ王女の顎を掴み、ゆっくりと解毒剤を口に流し込んでいく。

「ごほっ、ごほっっ!」

「王女殿下、しっかりなさってください!」

涙目でリンネを見つめるアンジェリーナ王女は、微かに頷いた。

「その調子です!もう少し!!」

薬瓶が空になると、リンネはアンジェリーナ王女を抱き締め、背中を摩った。

「大丈夫!大丈夫!!」

リンネの声にアンジェリーナ王女は僅かに微笑み、意識を失った。

「リースハルト様!陛下達は!?」

「こちらは意識もあり、大丈夫だ!!」
 
視界の先にリースハルトを見つけたリンネは、リースハルトに叫ぶと、どうやらザカリー陛下もシルヴェスタ殿下も落ち着いてきたようだ。

「リンネ、助かったよ!」

ジルフリード殿下がリンネに近寄って来ると、リースハルトも駆け寄った。

「殿下、一体何が起こったのですか!?」

リースハルトが詰め寄ると、ジルフリードが経緯を語り始めた。

「エルネスト帝国側はザカリー陛下とシルヴェスタ殿下、グレシャム国側はベントレット国王とアンジェリーナ王女、お互いの国の宰相なども交えての昼食会で、乾杯のワインを口にしたところ、一斉倒れたのだ。」

「ジルフリード殿下は出席しなかったのですか?」

「陛下と兄上で充分だと思って、私は護衛として近くに居たのだ。まさか真っ昼間から仕掛ける者が居るとは…考えが及ばなかった…」

リースハルトは、ジルフリード殿下の顔を見つめて言った。

「昨夜はリンネを陥れようとし、今日は陛下達…
こんなに矢継ぎ早に仕掛けてくるには、きっと別の意図があるのでしょう。これは慎重に動かなくてはなりませんね。」

「確かに…あまりにも続き過ぎるな。」

「問題は皇宮ではなく、周りでも起こっているかもしれません。貴族達の動向を調査した方がいいでしょう。
あと、リンネの薬師としての力量が知られてしまいます。今は医師の診察と処方ということにしましょう。
何だか分からない毒薬を解毒する薬師の存在は、とても貴重です。
警護や調査は、アーサーを筆頭に近衛騎士団に任せ、俺とグラッドはリンネの護衛にあたります。」

ジルフリード殿下は、くすりと笑った。

「そうだな。しかし、リースハルト、さっきから凄くカッコいいこと言ってるけど…
要はリンネ夫人から離れたくないんだな?」

「えっ…」

黙って二人の話を聞いていたリンネは、急に恥ずかしくなってきたが、リースハルトは全く動じない。

「バレましたか。」

「はあ…ブレない奴め。しかし、解毒剤の効果は証明出来たから、温室で大量に調合してもらうのも防護策の一つだな。
あの場所は公にしていないから、一番安全かもしれない。」

「では、しばらく籠ります。」

「嬉しそうに言うな。医師も居るが、定期的にリンネ夫人と陛下や兄上を見に来てくれ。」

「御意。」

騒然としていた会場は、人がまばらになり、漸く落ち着いてきたので、リースハルトとリンネは温室に向かった。

「リンネ、頼りにしてるぞ。ただ、体を休めながら調合にあたってくれ。」

「お任せください。ワインの残りがあれば、成分を確認したいです。温室に毒に反応して色が変わる花がありました。」

「そんなことまで調べていたのか。後でグラッドに持たせよう。」

「早くそこに気付けば…申し訳ありません。」

リンネは深々と頭を下げだが、リースハルトはすぐにリンネの姿勢を正した。

「リンネが居たから、この程度で済んだのだ。死者は出ていないし、皇室にはよくある話だ。」

「そんなことが、よくある出来事になってはいけません!」

リンネは、己の考えの甘さを悔やんでいた。
リースハルトのように先を見据えて動くことの大切さを思い知ったのだった。


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