山王学園シリーズ〜カサブランカの君へ〜

七海セレナ

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277.【体育祭も部活対抗?】

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雅臣「桂樹先輩、何か飲みます?」

桂樹「まじ?アイスティーいい?てか何の話してたん」

夕太「今、ミルキー先輩の初恋の話してたんだよね!」

桂樹「初恋ぃ?」


桂樹先輩のおかげでそれまでの気まずい空気も消えたが、柊はさっきまでの密な内容を来たばかりの先輩に
ざっくり纏めて伝えている。

それはあまりにも端折りすぎではと思うが、まぁおおよそ合っているからそれで良しとしよう。

三木先輩と仲の良い桂樹先輩はすでにこの話を知って
いるかもしれないし……。


しかし桂樹先輩は俺のいれたアイスティーを飲み干すと、


桂樹「え、それゆみこのこと?」


……ゆみこ?

美咲とは全く別の名前を出すので俺は目が点になった。

その人はどこの誰で三木先輩の何なのかが気になるが、桂樹先輩は呆れたように肩を竦めた。


桂樹「てか三木の初恋なんてどーでもいいわ。大体お前は巨乳だったら誰でもいいしどうせ今話題のれいあ
とかもドタイプだろ?」

三木「あれを巨乳と捕らえるなんてリオンは本当に
見る目がないな。それはナナミの尻がでかいって言ってるようなもんだぞ」

桂樹「ナナミは程よいだろうがよ!!」


れいあは分かるがナナミは誰なんだ!?

急にいつもの〝胸か尻か〟論争が始まるとすぐにゆみこの存在は有耶無耶になってしまう。

しかもれいあでその、……大きくないだなんて三木先輩の理想が高すぎる。

2人の口から次から次へと新しい名前が飛び交い、その人たちはグラドルなのか女優かそれとも元カノなのかさっぱり分からない。

それだけならまだしも、身近な女の子の名前までポン
ポン出てくるのだから2人の人付き合いの広さに脱帽した。

……まるで別世界の住人を見ているようだ。

俺も3年生になればもっと人付き合いも増えて、こんな風に女の子の名前をサラッと出して軽やかに話せるようになるのだろうか。

そんな事を考えているとなんとなく蓮池と目が合うが、それはもうバカにしたように鼻で笑われた。


楓「お前に彼女なんてできないから安心しろよ陰キャ」

雅臣「はぁ!?」

楓「れいあみたいなんがタイプか。陰キャの派手好きはこれだから……」

雅臣「や、やめろよ!!言ってないだろそんなこと!?」


___ど、どどどうして分かったんだ!?


咄嗟に否定したが、俺がれいあのことをいいなと思っていたのがバレているなんて!!!

こいつの前で認めるわけにはいかず絶対口が裂けても
言わないと目を逸らすが、俺の好みのタイプをよく知る一条先輩はクスクス笑っている。


蘭世「どしたよ、梅ちゃん?」

梅生「ううん、何も」


ここで梓蘭世にまで俺の好みが知られたら一巻の終わりだ。

肩を揺らして笑う一条先輩に頼むから言わないでくれと目で訴えていると、


桂樹「あ、そうだ」


焦る俺の前でマフィンを豪快に頬張る桂樹先輩はポンと手を打った。


桂樹「お前ら体育祭どうすんだよ」

梅生「体育祭ですか?」

蘭世「どうするって何が?」


ピンとこない俺たちに桂樹先輩は呆れたように笑って
いるが、そう言えば9月末に体育祭があったな。

今朝担任が次のホームルームで種目決めをすると話していたのをぼんやりと思い出す。


……まさか体育祭も部活で何かやることがあるのか!?


部活熱心なこの学校の校風をすっかり忘れていた俺は
慌てて背筋を伸ばした。


雅臣「あの!もしかして部活で何かやることとか……」

桂樹「いや、やることっていうか部活対抗騎馬戦のことでさ」

夕太「部活対抗騎馬戦?」


柊がオウム返しに聞き直すと、順に先輩たちが説明してくれる。


梅生「その名の通り、騎馬戦で各部ごとに戦うんだよ」

三木「運動部も文化部も関係なし、相手のハチマキを
奪い合って優勝を狙う」


更には優勝すれば恒例の賞品で来年度の部費アップ+
学食1週間食べ放題券がついてくるらしい。

実に部活に熱心な山王らしい競技だな。

生徒会が公平に試合をジャッジするそうだが、男子校の騎馬戦なんてどう考えても大乱戦になる予感しかしない。


夕太「え!!そんなん運動部有利じゃんかよ!!」

雅臣「そうだよな。かなり体格差あるもんな……」


負けず嫌いの柊がゲーミングチェアをガタッと揺らしながら立ち上がった。

野球部やサッカー部、柔道部に剣道部やレスリング部
など、体格のいい奴らがゴロゴロいる運動部に俺たち
文化部が勝てるわけがない。

俺らSSCを含めて文化部は見るからに非力揃いで、屈強な運動部に一瞬でハチマキを取られて終わりじゃないか?


三木「心配しなくてもいい。そこまで文化部が集中的に狙われることはないからな」

桂樹「何てったって教師陣の騎馬も参戦!そっちの
ハチマキはかなり高ポイントだからさ」

雅臣「そういうゲーム的要素もあるんですね。それなら工夫さえすれば……」


一攫千金を狙う運動部は例年教師陣に突撃するらしく、その隙に俺たちみたいな文化部がコソコソポイントを稼ぐって手もあるのか。

運動部に瞬殺されておしまい、とはならなさそうで少しだけ安心した。


蘭世「各部活4人で1騎、そんで勝ちを狙うってわけ。完全に忘れてたわ」

桂樹「そゆこと。それでさ、俺は合唱部の方で騎馬組むことになったからこっちに出れないって言いに来たんだよ」

夕太「ええー!!!!ジュリオン先輩合唱部の方なの!?」


悪いなと手を合わせる桂樹先輩だが柊が残念がる理由もわかる。

体格的には桂樹先輩、三木先輩、蓮池もしくは俺が騎馬になれば安定しそうだもんな。

でも掛け持ちしている合唱部も文化部で、もちろん
あちらも本気で戦うのだから背の高い桂樹先輩の存在は必要だろう。

そうなるとうちの頼みの綱は三木先輩で、俺たちSSCは頭を使って戦略を立てるしかない。


桂樹「申請来週までだから頼むな。また文化祭練習の
こととかあったら連絡くれよ」

雅臣「あ、はい!また連絡します!」

桂樹「じゃーな。ちゃんとやれよ」


要件だけ伝えに来た桂樹先輩は長居するつもりもないのかさっと部室を後にした。

桂樹先輩が扉を閉めた瞬間、


夕太「第1回!!SSC騎馬戦組み合わせ考えよう会を
開始します!!」


久しぶりに気合いの入った柊の声が響き渡った。



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