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188.【まさかの展開】
しおりを挟む夕太「リオピのラスソン取れて良かった!リオピ、アフターよろしく!!」
柊は俺を見て指差しながら蓮池より訳の分からないことを言っているが、桂樹先輩の腕に自分の手を絡めてピッタリ寄り添い離れずにいる。
ラスソンもアフターも何の意味も分からないが何故か柊のその姿を見て皆爆笑していた。
こんなに素敵な曲を披露してくれたのに急に蓮池が〝ラスソン〟とか変なことを言い出すから桂樹先輩が困惑しているじゃないか。
梓蘭世が大きなため息をついて立ち上がった。
蘭世「ホストじゃねぇんだから……それっぽいけど」
雅臣「ほ、ホスト!?」
楓「ラストソング、1番金使った女に捧げる歌のことな。にしても鬼枕してそうなホストだな」
___ら、ラスソンってそんな意味だったのか!?
この名曲と桂樹先輩をホストに例えていたなんてもっと言い方があるだろうが!
何て失礼な奴らだと焦るがどうも周りの様子を見ていると当たっているのか合唱部まで大ウケしている。
桂樹「めっちゃ頑張って作ったのにラスソンとか言うなよ!!」
舞台上から叫ぶ桂樹先輩を全く気にする様子がない柊はサッと離れて俺の隣に戻ってきたが、
夕太「雅子……オリシャンいけるか?」
今度は俺を見つめて変な寸劇を開始した。
楓「こいつは親金なんだからロイヤルバカラにしなよ」
夕太「ジュリオン先輩にロイバカ入れたら雅子と関係切れちゃうよ?」
雅臣「だから何の話だよ!!」
多分俺をホストに通う女に見立てて何かそれらしい会話をしているのだろうけど全く内容が分からなくてついていけない。
せっかく桂樹先輩が最高の曲を披露してくれたというのにこいつらは物事を台無しにする天才なのか。
三木「ハハ、リオンはタワー飛ばれるタイプだな」
桂樹「三木ぃ!!聞こえてんだよ!!」
三木「目立つのが好きなお前にぴったりの曲だった。あとお前のEラインは反対の方がいいな」
桂樹「当日歌うのは三木だしピアノの位置は変えらんねぇだろ!!」
今度は3年2人が大声で揉め始めるが、何となく久しぶりに2人が話している姿を見て安心した。
先程の言い合いが嘘のように誰もが笑っていて、三木先輩と桂樹先輩が不仲になったりしないで良かったと胸を撫で下ろした。
蘭世「桂樹さん目立ちたがりだし良かったじゃん、最後にソロで歌えてさ」
夕太「え、それじゃこれマジのラスソン?」
桂樹「文化祭!!合唱部で歌うからまだ最後じゃねーよ!なぁ?」
桂樹先輩は舞台から降りてくると、中田さんの肩を組む。
桂樹先輩の歌を聞いていた時に生き生きしていた表情はどこへやら、中田さんは無表情で頷くだけだった。
桂樹「てなわけで、俺らは帰る___」
夕太「さてさてさて、俺ら1年も歌いますか」
これで仕事を終えたとばかりに桂樹先輩は合唱部の人達と一緒に退場しようとしていたが柊がそれを遮った。
楓「そうだね、ああいう辛気臭いのは3年だからいいんだよ、1年は盛り上げてかないと」
夕太「しみったれた歌の後はめっちゃ盛り上げないと……聞いてく?」
柊は中田さんや合唱部の周りをウロチョロとカナリアみたいな顔をして笑いかけている。
……。
…………え!?
も、もしかして俺達1年の歌を今やるつもりか!?
この名曲の後に、あのテンションの曲を皆の前で披露するのか!?
蘭世「おー、いいじゃん。1年も聴かせてくれんの?」
梅生「ノリがいいんだっけ?楽しみだな」
梓蘭世と一条先輩が調子よく俺達3人に向かって拍手するので、何となく流れで合唱部も帰るタイミングを失ってしまったみたいだ。
「へぇー…聴いてくか?リオどうする?」
よりにもよって現部長の短髪の先輩がそんな事を言うもんだから、合唱部員全員が足を止めている。
桂樹「……そうだな、せっかくだから1年の歌聴いてってやるか」
いやいやいやいや。
桂樹先輩と目が合って微笑まれるが、そのまま俺達の歌を皆で聞いていく流れが確定してしまい俺は恥ずかしくて死にそうだった。
夕太「よし、雅臣行くぞ!ギャラリーの皆様ちょっと着替えてくるんで少々お待ちください!」
断る暇もなく柊に手を引っ張られて舞台横の階段を上らされるが、これはもう嫌だと断れない状況だ。
袖幕に引き込まれるとそこには蓮池が袋に入れて持ってきたの謎の毛皮とサングラスが置いてあって、まさか本当にこれを着るのかと目で訴える。
ラップは厳つさが必要、そして形から入らないと余計に恥をかくとさっき練習中に蓮池が部室にこれを取りに戻ったのだ。
まだ一度も俺達3人で合わせたことはないが、柊が作ってくれたこの曲は正直合わせる必要も無い程ノリだけで何とかなるといえば何とかなる。
しかし!!でも!!
雅臣「ほ、本当にやるのか?」
楓「当たり前だろ練習なんだから。それにてめぇにもFONDIの毛皮をわざわざ貸してやるんだから気合い入れろよ」
〝練習〟と至極真っ当なことを蓮池に言われてしまうとその通りすぎて何も言い返すことが出来ない。
蓮池は茶色のセーブルのロングコートを羽織って目をギラギラ輝かせているが、俺の方はベージュのミンクで総額いくらするのか分からない最高級品を学校なんかに持ってくるなよ!!
しかしこんな派手なものをと恥ずかしがっていようが結局文化祭で発表するのは避けられない運命だ。
今覚悟を決めて振り切ってやるしかないのか……!?
夕太「あのしみったれたラスソンより上手いことを証明してやる」
楓「そうだね、負けられないよ」
変に火がついている2人に、早く着ろと俺も無理やり毛皮とサングラスを装着させられてもうどうにでもなれとスタンバイした。
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