俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

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第2章 勇者大戦

奴隷市場の亜人と1人の少年

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 俺はこの町の住民の影から影へと渡りながら、そこで話されている話を聞いていく。

 やはり1番の話題は隣国の首都が滅びたという話だ。

 この国とは特に問題はなかったようだが、次はこの国の何処かが滅びるのではないかと不安気な様子だ。

 亜人に関してはあまり話されておらず、この町でも亜人の魔力はそんなに感じられない。

 どうやら現在のこの町では労働力としての亜人はほとんどいないようだ……



 あらかた情報を集め終えた俺は、問題の亜人の魔力が集まっている建物へと向かう事にする。



 どうやら周りの建物とは少し趣が違う建物が俺の目的地のようだ。

 建物自体はそんなに汚れていない……いや、他の建物と比べると寧ろ綺麗なくらいだ。

 店の軒先には檻があるが中には番犬が入っている。

 見た所かなり躾けられているようで、こちらを見るだけで特に吠えたりはしない。



「いらっしゃい。お客さんかい? 」

 店の中から老婆の声が聞こえる。

「いや、何の店か分からなかったから考えていただけだ」

 俺はそう返すと、「クックックッ」と老婆の笑い声が聞こえてくる。

「あんたはどうやらこの町の者じゃないようだね。この町の人間ならここが奴隷売り場だって事は誰でも知っている事さ」

 その言葉で俺は亜人の奴隷がここにいる理由を知り、多少の興味を覚える。

「奴隷売り場か……働き手として使える奴隷は幾らぐらいになるんだ? 」

「そうだね……子供なら金貨5枚位から、大人なら10枚位から働ける奴隷が売られているね」

 金貨5枚か……あまり金銭感覚があるとは言えないのでどうとは言えないが一般市民が気軽に買えるような値段ではなさそうだな。

「そうか……出来れば実物を見てから買うのが俺の主義なんだが、ここでは見せてくれるのか? 」

 俺の言葉に対して「カッカッカッ」という笑い声の後に、中に入るよう促された俺は建物の中に入り、思った以上の光景に驚いてしまう。



 建物の中に入ると左右に白い装束を着た男や女達がずらりと並んで仕事をしている。

 子ど達もいるようだが、あまり多くはなく奥の部屋で遊んでいるようだ。

 左右に並んだ男や女達はどうやら事務をしているようで、男達は主に書き物を確認し女達は金貨や銀貨を数えている。



「ここは両替所か何かなのか?」

 俺の口から自然と漏れた言葉に少し老婆の動きが止まるが、その後ニヤリと笑う老婆に俺は言いようのない悪寒を感じた。

「へぇ……この光景を見てそう思えるのなら、かなりの学はあるようだね。ここでの仕事は主に書き物に間違いがないかの確認と、贋金がないかの確認をさせている所なんだが……坊や。あんたは一体どんな奴隷を欲しいんだい? 」

 思ったより高度な仕事をしているの奴隷達に驚きながら、俺は目の前の老婆が何を考えてここまで呼んだのかを考えてしまう。

「こんな高度な事をするような奴隷を見に来た訳じゃ無いんだが……この町では奴隷はこんな事が出来るのは当たり前なのか? 」

 俺は頭の中で老婆の事を考えながら、目の前の奴隷に対しての話を進めていく。

「いや、世界中探してもこんな酔狂な奴隷売り場は無いと思うよ。何せここは私が作り上げた特別製の奴隷売り場だからねぇ……」

 俺の全てを見通すかのような目でじっと見つめる老婆に俺は内心言い知れぬ恐怖を感じながら話を進めていく。

「なるほど……読み書きや計算を教えて奴隷としての付加価値を高めているのか……その考えはあんた自身が生み出したものなのか? 」

 俺の問いに老婆は一瞬口を噤むが、ため息をつくと俺を奥の部屋へと連れていく。

「何なんだ? 俺はそこまで暇じゃないんだ。俺の求める奴隷がいないなら別に長居をするつもりはない。さっさとこの手を離してくれ」

 俺の手を握る老婆の手は骨と皮でしか出来ていないような細い腕だが、思ったよりも力強さを感じる。

「あんな所でこれ以上詳しい話なんて出来ないさ『落ち人』ってのはどいつもこいつも融通が利かなくて困っちまうよ」

 その言葉を聞いた瞬間、俺はミスリルの糸を懐から放ち、老婆を拘束しようとする。

 しかし、いつの間にか現れた子供の短剣が俺のミスリル糸を絡め取るように突き出され、俺は邪魔な短剣を切断する事を優先する。

「およし! ティルト。こいつは本物の人殺しさ。お前が頑張っても時間稼ぎぐらいにしかならないよ。お前は別に戦うためにここにいるんじゃないんだから元の場所で遊んでな」

 老婆の言葉で、目の前の少年が奥で遊んでいた子供の1人である事を知ってしまう。

 しかし、あそこからここまでかなりの距離があったはずだ……この少年もまさか勇者なのか?

「悪いな……その名称で呼ばれると、そいつを殺したくなるんだ。俺のことなら魔王とでも呼んでくれ。三大魔王からのお墨付きだ」

 俺も興味が出てきたこの老婆達に、俺の本性を教えてやる。

 思ったよりも人間もどきと会った時の不快な感じを受けないこの2人に、俺もかなり浮かれていたのだろう。

 青褪める2人を見ながら俺はどうやってこの老婆を取り込もうかと考え始めたのだった。
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