俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

infinitey009

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第1章 鮮血の旅路

俺の旅にお供が1匹増えたのだが。

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 闇が深くなる道を首都に向かって進んで行く。首都までは凡そ200km程だ。急ぐ旅でもないので歩いて行く。問題は首都に着いた時の事だ。いくら国際冒険者ギルドが犯罪に加担すると処刑するとは言え、俺が自らの手でやったのだ。首都に入る時に犯罪者扱いされても仕方がない。どうやって首都に入る時に問題なく入れるようにすればいいのか………考えるだけ無駄か。

 ある程度歩いたら腹が減ってきた。ローブの中のスライムも若干不機嫌のようだ。

…ん?違う?いつまでたっても名前をくれないからだ?

…成る程[名付け]と呼ばれる工程をしないと正式な契約にならないのか。スライムが俺に謎の意思表示をするのは問題ないとして名前は確かに大切だな。………よし、お前の名前はスラ吉だ!

 痛い?痛い!暴力的だぞ?スラ吉。

…何?女の名前にしろ?お前メスなのか?

…精神的に女だから問題ない?

………分かった。お前の名前はゼラだ!

…反応ないな?え、いいのか?じゃあそれで。

…何でこの名前にしたかって?確か深紅の色の花でゼラニウムってのがあったからな。今のお前の色にぴったりだ。………喜び過ぎだ。さっさとどこかで野宿するぞ。

 さらに1時間ほど歩いて野宿出来そうな場所に着く。多分多くの人間もどきが此処を野宿の場所として使ったのだろう。彼方此方に焚き火の跡がある。逆に言うと野盗に襲われる場所にもなるんだが今の俺には丁度いい遊び相手だ。

 枯れ木を探し集める。火は何故かスライムがつけていた。本当にスライムなんだよな?左目で確認するとブロックされるんだ。

…乙女の秘密を見るなって?悪かったよ。この干し肉でも食っとけ。
 俺も干し肉を齧りながら周りに糸を張る。魔力操作に慣れてきたせいか魔力を通すと手足のように使える。糸を黒色の猛毒でカモフラージュして木々の間に通して行く。ついでにダークストリングスを張り警戒と防御の2段重ねだ。
 研究所にあった毛布で体を包み就寝だ。こら、ゼラ。入ってくんな。………静かにするんだぞ?お休みなさい。

 朝になり目を覚ます。周りに魔獣の骨がいくつかあるが問題ない。ダークストリングスの警戒音が何度か鳴ったがその度にゼラが毛布から出て対処していたので問題ない。…問題ないよな?

 顔を洗い干し肉を食べ首都へと向かう。何度か馬車とすれ違ったり追い抜かれたりしながら進んでいるとそばの森から微かな魔力を感じる。人間もどきとも少し違う感じだ。気になったので森に入っていくと子供のような姿の生き物が穴を掘っている。頭の上に垂れた犬のような耳がついており毛の多そうな尻尾まである。首輪がかなり無骨なので左目でしっかり見ると


(獣人)
獣の一部分を受け継いだ亜人。犬や猫、鳥や熊など様々である。五感が優れており身体能力も高いが魔法は無属性魔法以外を習得できない。この娘は奴隷である。



 何故か一部誰かの主観が入っている気がするが仕方がない。穴を手で掘っている獣人は既に指が血塗れである。

「おい、娘。そこで何をしている?」

 俺が声を掛けるが、此方を見ずに端的に答えられる。

「お墓を作っている。」

 成る程、確かに側に死体が2個ある。最近死んだのか死臭はそれほどでもない。

「その死体はお前の関係者か?」

 人間の男と獣人の女なので夫婦かと思っていたが想像以上の答えが返ってきた。

「主人と母親。主人が私を殺そうとしたので母さんが殺した。主人殺しは本来なら出来ないが母さんは呪いに耐えて殺した。でも殺した後に呪いで死んだ。」

 中々壮絶な話だ。娘は10歳ぐらいに見えるんだがどういう状況だったのか?それにしては穴が大きすぎる気がするんだが。

「何でそんなに大きな穴を掘るんだ?母親だけなら充分だろう?」

 そう言うと少し考えていたのか間が空いて答えが返ってくる。

「これは2人分だから。」

 訳がわからない。殺し殺された2人を一緒に埋めるのか?

「その2人を一緒に埋めるのか?男はほっとけばいいだろう?」

 少しイラついた感じの言葉になったが娘は淡々と答えてくる。

「死んでしまえば一緒。ただの死体に変わりはない。」

 流石に言葉に詰まる。俺以上に壊れている。怒りや悲しみなどを置き忘れたかのようにただ穴を手で掘る少女に近づきそれを止める。

「邪魔しないで。」

 その子の目は死んではいなかった。意志の強さを感じる。壊れていたのではなく、自分の意思によって2人の墓を作っていたのだ。

「手を見せろ。[クリーン][ヒーリング]」

 クリーンという生活魔法で汚れを全て落とし下級聖魔法ヒーリングにより傷を癒す。そこまでしても驚かずまだ穴を掘ろうとする。

「少し待ってろ。ゼラこの子を止めとけ。絶対に食べるな。」

 そう言うとゼラが俺の懐から出て少女を優しく包み込む。流石に少女も驚くがゼラは優しく包み込んだ後は何もしない。

「さて、生活魔法の穴掘りの魔法でいけるか?」

 生活魔法のディグにより30cm程地面が下がる。それを10回ほど使い穴を掘りその中に死体を目を組ませて入れる。自分の両親を思い出してしまうが涙は出ない。穴の上から土を入れ平に慣らす。適当に石を見繕い左手から魔力の刃を出し墓石に見えるように切り揃える。

「2人の名前は?」

 少し震えるような声で名前を告げる。

「ギャランとメニーシャ。」

 何故か覚えている異世界の言葉を蠱毒の溶解液で名前を掘る。適当に花を見繕い、ゼラの拘束を解かせ花を渡す。

「その花を添えてやれ。それで供養も終わりだ。穴は深めに掘ったから荒らされることは無いだろう。」

 そう言うと少し離れて背中を向ける。花を添える音と声を殺して嗚咽する少女に昔の自分を重ね見て地球での出来事を思い出す。

「ありがとうございました。」

何事もなかったように振る舞う少女が俺に声をかけてくる。少し目が充血しているぐらいだ。

「他に行くあてはあるのか?」

分かっていても聞いてしまう。

「ありません。町に戻っても奴隷として売られるだけなので。」

首輪を触りながら少女は言う。

「ならその枷を外そう。」

 中級聖魔法リムーブカース、破呪の魔法である。呪いを解くためにかなりの魔力が奪われるが俺にとってはどうと言うことはない。首輪はヒビ割れ砕け落ちる。

「さて、これでお前は自由だ。どうする?」

 何をするのか興味深い少女を見ながら尋ねる。少女は少し考えながらも此方の目を見て答える。

「借りは必ず返す。私はあなたについて行く。」

「俺は復讐の旅の途中だ。ついてくれば死ぬぞ?」

 俺の言葉を聞いても目を背けない。本当に心が強い。

「借りを返す。」

それだけを言い黙ってこちらを見る少女。」

「名前は何と言う?」

「アヤハ。」

俺とアヤハの旅は今から始まる。






…痛い!ゼラのことは忘れてないから!
 

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