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神々に魅入られし淑女《タイムレス ラヴ》
仲間と共に《Bet my soul》4
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目覚めの挨拶にしては粗暴で煩雑な声が降りかかる。
一瞬またベルフェゴールが話しかけてきたのかと思ったが……
────俺様はこんなに粗暴じゃねーよ。
本人からも直々に否定があった通り、どうやら違うらしい。
じゃあ誰だ?と、俺が声のした方へ振り向くと。
「……ベルゼ・ラング?」
「よ、冥府からの帰りにしちゃぁ結構元気そうじゃねーか」
まるで旧知の仲であるかのように……いや、実際は旧知であることは事実なんだが……敵であるはずのベルゼ・ラングが俺の前で不良座りをしていた。
だが戦闘時に見せる剥き出しの闘争本能は、今はあまり感じられずにいた。
どうやら敵意は無いらしい。
「そういうお前はボロボロだな……一体誰にやられたんだその服は?」
外傷こそ少なかったが、まるで猛獣にでも襲われたかのようにベルゼの服装は傷だらけ、ダメージジーンズに至ってはダメージを受けすぎて膝下から無くなっていたいる始末だ。
「おいおい、幾ら意識が無かったからってそりゃねぇだろ?それともしらばっくれて喧嘩売ってんのかぁ?」
額に青筋を立てながらベルゼは苛立ちを露わにする。
なんだ?なんで急に怒り出してんだコイツ?
────貴方がやったからよ……正確には貴方に乗っ取ったベルフェがね。
────おいおい、俺はちーとばかり身体を借りただけだぜ?
あぁ、そういうことか。
こめかみを引くつかせるベルゼを前に一人得心する。
どうやら暴走した俺が迷惑をかけたのか……
「って、ちょっと待て。なんでお前達俺の中で話ししてやがる」
────何でと言われても……
────てめぇの中にいるんだから当たり前だろ。
魔眼達はさぞ当たり前であるかのように疑問を呈する。
いや、確かに言っていることは一理あるんだが……
「違う、そうじゃねぇ。なんでお前達の声が聞こえるんだ?」
「お、遂にお前も共振が使えるようになったのか」
お前もだと?
ベルゼの言葉に眉を顰める。
「お前にこんな可笑しな体質が備わっているなんて初耳だな」
「別におかしなことじゃない。寧ろ黙示録の瞳持ちで使えなかったのはてめぇだけだぜ?」
────まぁ、フォルテはね……
────クッソ鈍感野郎だからな。
「うるせぇ、言ってろ。つーか、何でお前がここにいる?それにここは────」
立ち上がった俺は周囲を見渡す。
視界の先にはピンと澄んだ清水が張られた泉らしきものが広がっていた。
らしき……という曖昧さは、その異様ともいえる光景からだろう。
光源も無いのに菫色に光る泉の周辺には視界を塞ぐように水靄が掛かっており、先を見通すことができない。
自分の立っている場所が浅瀬であるということは分かるが、そこから先に何があるのか見当もつかない光景。
だが不思議なことに不気味さは感じられず、それどころか感じたことの無い魅惑に思わず身体が引き込まれそうになってしまう。
「あまり覗かない方がいいぞ。コイツに慣れちまったら二度と冥府から帰ってこれなくなるぞ」
「……らしいな。この感じ……ただの泉じゃないだろ?」
あぁ、とベルゼは肯定する。
「こいつが冥府の入口、神殿『戦死者の館』であり、戦艦の動力源の正体だ」
冥府の入口。
つまり水靄の向こう側に行くということは『死』と同義であるのだろう。
恐らくは体内の魔力を泉が吸収し、そのまま糧としてしまうといったところか。
確かにこれほど濃密で禍々しい魔力を湯水のように供給できれば、あのバカデカい戦艦を飛ばすくらい何てことないはずだ。
しかし、一つだけ引っかかることがある。
「なんで傭兵風情のお前がそんなこと知っている?アルシェは動力源の正体なんて知らなかったぞ?」
「そりゃあそうだろうな。ここを知っているのは限られた連中と、お前と同じようにくたばった俺様だけだからな」
「同じように……?」
「あれ、話してなかったか?オスカーに喧嘩吹っ掛けた時に俺は殺されたんだ。今のお前と同じように」
『ヨルムンガンド』の長に喧嘩を吹っ掛けた話しは知っていたが、殺されたという事実は初耳だった。
っていうかあれはお前だったのかよ。
「俺がこうして五体満足で生き返れたのも、この泉のおかげってことか?」
「五体満足?って、フォルテてめぇ!左腕と左眼が元通りになってやがるじゃねーかぁ!!」
「今更かよ!?そんなことはどうでもいいから教えろ。この泉と俺の身体の関係性を」
この男のガサツさにいちいち反応していては日が暮れてしまいそうだ。
ベルゼは「なんだ、まだわかんねーのか」とボヤキつつ、紫髪の頭をガシガシと描きながら、
「さっきも言っただろ。『戦死者の館』。要は黄泉世界への通用門。死んだ者の魂がここに集約し分解され、また世界に魔力として散りばめられる。だが俺達には|黙示録の瞳《コイツがある。魔眼に魅入られた者は身も心も固定化されて歳を取らなくなる。つまりそれは構成する魔力を記憶していると言い換えることもできる」
「そうか、俺もお前も死んでこの泉に魔力として集約されたが、魔眼が俺達の情報をバックアップしていたおかげで修繕されたというわけか」
確かにそれならば五体満足であることも納得がいく。
俺が初めてこの魔眼を継承した時はまだ肉体のどの部位も欠落していなかったからな。
「まぁそんなところだ。ただ何度も同じことしようとして上手くいくとは限らねぇからな。下手に死んで修繕ミスった時には俺もお前も別の何かになっちまうってことだ。死ぬのはこれで最後にしておけよ。俺が殺す機会がなくなっちまうからなぁ……」
ベルゼが俺の新しい左腕を見ながら興奮を表すように舌なめずりする。
ゾワリっと表皮を走る悪寒。
まさかコイツ……このタイミングで殺り合うつもりじゃないだろうな?
正気とは思えない突然の殺気に、武器など持っていない身体で身構えた瞬間だった。
遠くで鳴り響いた巨大な爆発と砲声。
激しい縦揺れや横揺れに態勢が崩れそうになる。
「ちっ……もう時間切れかよ」
「時間切れ?それにこの衝撃は一体?」
パラパラと舞い散る細かな瓦礫。
今にも落ちてきそうな天井の方をベルゼは顎で指し示す。
「上でバチバチ暴れてんのさ。王女様と……その父親がな」
「セイナとオスカーが!?クソッ……逃げろって言ったのにアイツ」
「待て」
居ても立っても居られず駆けだそうとした俺をベルゼが呼び止める。
「一つ話し忘れていたことがあった。この戦艦を覆う魔術防壁がさっき解除されたらしい。お前の仲間によってな」
「……何故そんなことを教える?お前にメリットがあるとは思えないが」
それに信憑性も無い。
「まぁ聞け。とにかくあと数分もしないうちに北朝鮮や韓国、そして中国からの爆撃が開始される。だが艦橋を制圧されたっちゅーことは反撃することはできない。魔術防壁も無いとなればこの戦艦はもうただの空飛ぶ鉄塊だ。あと一時間もしないうちに沈むだろう」
「その割には随分とお気楽な様子だな。つまりはお前も俺も、あと一時間後には海の藻屑になっているってことだろ。それにアメリカや日本政府だって向こうには攻撃しないようギリギリまで要請を掛けるはずだ。どうして爆撃が始まると断言ができる」
「うちのザイア……っつっても覚えてねーか。見た目はデブだが元中国特殊部隊『国家安全部』に所属してたやつがコネで仕入れた情報だ。ほらよ」
本来の服の機能としては完全に皆無となったボロボロのジャンバーの内より、ベルゼは電子端末を取り出した。
『アニキィッ!!脱出の準備は整ってます!聞こえているなら返事してくださいぃ!!中国と韓国はは数分待ってくれてますが、北朝鮮はもう爆撃を開始してます!これ以上長居できませんよぉ~!!』
「ほらな?」
「……返事くらい返してやれよ」
「生憎音声部分が壊れちまってんだ。どっかの誰かさんのせいでな」
そいつは悪かったな……
と思ったが、絶対コイツだけは言いたくなかったので軽い咳払いで話しを戻す。
「お前の脱出方法や今の状況については理解できたが、それにしてもだ。どうしてそんな情報を俺に洩らす?」
「決まってんだろ……お前に、死んでほしくないからだ」
耳を疑うようなしんみりとした言葉。
それに薄ら寒いものを覚えた俺がゆっくりと振り返ると、ベルゼは顔を片手で覆って俯いていた。
「なぜならお前は……」
ふっふっふっ……
ベルゼが何か堪えきれなくなったように肩を上下させる。
「お前は俺様の獲物だからなぁぁ!!こんなところで二度も死なれちゃ困るんだよ!!」
思っていた通りの満面の殺意。
それをまざまざと見せつけられ俺は大きく溜息をつく。
コイツ、ホントに戦うことが好きなんだな……と。
「とまあそういうことだからよ、もう俺以外の奴に殺されるんじゃねーぞ」
「脱出するのか?」
踵を返して泉を後にしようとしていたベルゼが脚を止める。
「おう、この泉のおかげで傷も癒えたことだし、もうここにいる意味はねーしな」
「それでもお前は組織の人間だろ」
「あーそれなんだけどよぉ。お前からオスカーに言っておいてくれ。『ベルゼ・ラング様の契約はただいまをもって終了しました』ってな」
まるで子供遊びのような気安さでそう告げたベルゼは、緊張感の欠片も無い大あくびをしながら崩落しかけている泉から出ていった。
一瞬またベルフェゴールが話しかけてきたのかと思ったが……
────俺様はこんなに粗暴じゃねーよ。
本人からも直々に否定があった通り、どうやら違うらしい。
じゃあ誰だ?と、俺が声のした方へ振り向くと。
「……ベルゼ・ラング?」
「よ、冥府からの帰りにしちゃぁ結構元気そうじゃねーか」
まるで旧知の仲であるかのように……いや、実際は旧知であることは事実なんだが……敵であるはずのベルゼ・ラングが俺の前で不良座りをしていた。
だが戦闘時に見せる剥き出しの闘争本能は、今はあまり感じられずにいた。
どうやら敵意は無いらしい。
「そういうお前はボロボロだな……一体誰にやられたんだその服は?」
外傷こそ少なかったが、まるで猛獣にでも襲われたかのようにベルゼの服装は傷だらけ、ダメージジーンズに至ってはダメージを受けすぎて膝下から無くなっていたいる始末だ。
「おいおい、幾ら意識が無かったからってそりゃねぇだろ?それともしらばっくれて喧嘩売ってんのかぁ?」
額に青筋を立てながらベルゼは苛立ちを露わにする。
なんだ?なんで急に怒り出してんだコイツ?
────貴方がやったからよ……正確には貴方に乗っ取ったベルフェがね。
────おいおい、俺はちーとばかり身体を借りただけだぜ?
あぁ、そういうことか。
こめかみを引くつかせるベルゼを前に一人得心する。
どうやら暴走した俺が迷惑をかけたのか……
「って、ちょっと待て。なんでお前達俺の中で話ししてやがる」
────何でと言われても……
────てめぇの中にいるんだから当たり前だろ。
魔眼達はさぞ当たり前であるかのように疑問を呈する。
いや、確かに言っていることは一理あるんだが……
「違う、そうじゃねぇ。なんでお前達の声が聞こえるんだ?」
「お、遂にお前も共振が使えるようになったのか」
お前もだと?
ベルゼの言葉に眉を顰める。
「お前にこんな可笑しな体質が備わっているなんて初耳だな」
「別におかしなことじゃない。寧ろ黙示録の瞳持ちで使えなかったのはてめぇだけだぜ?」
────まぁ、フォルテはね……
────クッソ鈍感野郎だからな。
「うるせぇ、言ってろ。つーか、何でお前がここにいる?それにここは────」
立ち上がった俺は周囲を見渡す。
視界の先にはピンと澄んだ清水が張られた泉らしきものが広がっていた。
らしき……という曖昧さは、その異様ともいえる光景からだろう。
光源も無いのに菫色に光る泉の周辺には視界を塞ぐように水靄が掛かっており、先を見通すことができない。
自分の立っている場所が浅瀬であるということは分かるが、そこから先に何があるのか見当もつかない光景。
だが不思議なことに不気味さは感じられず、それどころか感じたことの無い魅惑に思わず身体が引き込まれそうになってしまう。
「あまり覗かない方がいいぞ。コイツに慣れちまったら二度と冥府から帰ってこれなくなるぞ」
「……らしいな。この感じ……ただの泉じゃないだろ?」
あぁ、とベルゼは肯定する。
「こいつが冥府の入口、神殿『戦死者の館』であり、戦艦の動力源の正体だ」
冥府の入口。
つまり水靄の向こう側に行くということは『死』と同義であるのだろう。
恐らくは体内の魔力を泉が吸収し、そのまま糧としてしまうといったところか。
確かにこれほど濃密で禍々しい魔力を湯水のように供給できれば、あのバカデカい戦艦を飛ばすくらい何てことないはずだ。
しかし、一つだけ引っかかることがある。
「なんで傭兵風情のお前がそんなこと知っている?アルシェは動力源の正体なんて知らなかったぞ?」
「そりゃあそうだろうな。ここを知っているのは限られた連中と、お前と同じようにくたばった俺様だけだからな」
「同じように……?」
「あれ、話してなかったか?オスカーに喧嘩吹っ掛けた時に俺は殺されたんだ。今のお前と同じように」
『ヨルムンガンド』の長に喧嘩を吹っ掛けた話しは知っていたが、殺されたという事実は初耳だった。
っていうかあれはお前だったのかよ。
「俺がこうして五体満足で生き返れたのも、この泉のおかげってことか?」
「五体満足?って、フォルテてめぇ!左腕と左眼が元通りになってやがるじゃねーかぁ!!」
「今更かよ!?そんなことはどうでもいいから教えろ。この泉と俺の身体の関係性を」
この男のガサツさにいちいち反応していては日が暮れてしまいそうだ。
ベルゼは「なんだ、まだわかんねーのか」とボヤキつつ、紫髪の頭をガシガシと描きながら、
「さっきも言っただろ。『戦死者の館』。要は黄泉世界への通用門。死んだ者の魂がここに集約し分解され、また世界に魔力として散りばめられる。だが俺達には|黙示録の瞳《コイツがある。魔眼に魅入られた者は身も心も固定化されて歳を取らなくなる。つまりそれは構成する魔力を記憶していると言い換えることもできる」
「そうか、俺もお前も死んでこの泉に魔力として集約されたが、魔眼が俺達の情報をバックアップしていたおかげで修繕されたというわけか」
確かにそれならば五体満足であることも納得がいく。
俺が初めてこの魔眼を継承した時はまだ肉体のどの部位も欠落していなかったからな。
「まぁそんなところだ。ただ何度も同じことしようとして上手くいくとは限らねぇからな。下手に死んで修繕ミスった時には俺もお前も別の何かになっちまうってことだ。死ぬのはこれで最後にしておけよ。俺が殺す機会がなくなっちまうからなぁ……」
ベルゼが俺の新しい左腕を見ながら興奮を表すように舌なめずりする。
ゾワリっと表皮を走る悪寒。
まさかコイツ……このタイミングで殺り合うつもりじゃないだろうな?
正気とは思えない突然の殺気に、武器など持っていない身体で身構えた瞬間だった。
遠くで鳴り響いた巨大な爆発と砲声。
激しい縦揺れや横揺れに態勢が崩れそうになる。
「ちっ……もう時間切れかよ」
「時間切れ?それにこの衝撃は一体?」
パラパラと舞い散る細かな瓦礫。
今にも落ちてきそうな天井の方をベルゼは顎で指し示す。
「上でバチバチ暴れてんのさ。王女様と……その父親がな」
「セイナとオスカーが!?クソッ……逃げろって言ったのにアイツ」
「待て」
居ても立っても居られず駆けだそうとした俺をベルゼが呼び止める。
「一つ話し忘れていたことがあった。この戦艦を覆う魔術防壁がさっき解除されたらしい。お前の仲間によってな」
「……何故そんなことを教える?お前にメリットがあるとは思えないが」
それに信憑性も無い。
「まぁ聞け。とにかくあと数分もしないうちに北朝鮮や韓国、そして中国からの爆撃が開始される。だが艦橋を制圧されたっちゅーことは反撃することはできない。魔術防壁も無いとなればこの戦艦はもうただの空飛ぶ鉄塊だ。あと一時間もしないうちに沈むだろう」
「その割には随分とお気楽な様子だな。つまりはお前も俺も、あと一時間後には海の藻屑になっているってことだろ。それにアメリカや日本政府だって向こうには攻撃しないようギリギリまで要請を掛けるはずだ。どうして爆撃が始まると断言ができる」
「うちのザイア……っつっても覚えてねーか。見た目はデブだが元中国特殊部隊『国家安全部』に所属してたやつがコネで仕入れた情報だ。ほらよ」
本来の服の機能としては完全に皆無となったボロボロのジャンバーの内より、ベルゼは電子端末を取り出した。
『アニキィッ!!脱出の準備は整ってます!聞こえているなら返事してくださいぃ!!中国と韓国はは数分待ってくれてますが、北朝鮮はもう爆撃を開始してます!これ以上長居できませんよぉ~!!』
「ほらな?」
「……返事くらい返してやれよ」
「生憎音声部分が壊れちまってんだ。どっかの誰かさんのせいでな」
そいつは悪かったな……
と思ったが、絶対コイツだけは言いたくなかったので軽い咳払いで話しを戻す。
「お前の脱出方法や今の状況については理解できたが、それにしてもだ。どうしてそんな情報を俺に洩らす?」
「決まってんだろ……お前に、死んでほしくないからだ」
耳を疑うようなしんみりとした言葉。
それに薄ら寒いものを覚えた俺がゆっくりと振り返ると、ベルゼは顔を片手で覆って俯いていた。
「なぜならお前は……」
ふっふっふっ……
ベルゼが何か堪えきれなくなったように肩を上下させる。
「お前は俺様の獲物だからなぁぁ!!こんなところで二度も死なれちゃ困るんだよ!!」
思っていた通りの満面の殺意。
それをまざまざと見せつけられ俺は大きく溜息をつく。
コイツ、ホントに戦うことが好きなんだな……と。
「とまあそういうことだからよ、もう俺以外の奴に殺されるんじゃねーぞ」
「脱出するのか?」
踵を返して泉を後にしようとしていたベルゼが脚を止める。
「おう、この泉のおかげで傷も癒えたことだし、もうここにいる意味はねーしな」
「それでもお前は組織の人間だろ」
「あーそれなんだけどよぉ。お前からオスカーに言っておいてくれ。『ベルゼ・ラング様の契約はただいまをもって終了しました』ってな」
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