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6 授業中
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室内は書類とダンボールでいっぱいになっていて、狭く感じた。文化祭や体育祭で使うものがちらほら目に入った。半ば物置のようになっている教室であるらしい。
「あ、そっちのプリントは捲くるなよ。相談室のやつだから」
「はぁ……」
そういうところはきっちりしているんだな。だったら最初から俺を入れなきゃいいのに。
「何か俺に話したいことでもあるんですか?あんなことしておいて、なんで俺と二人っきりに……」
「確かに、話したいことは山ほどあるな」
軽薄な笑みが俺に向けられる。それにどこか圧のようなものを感じて、思わず後ずさった。え、なに。俺が悪いのか?
あれ以上何を話すというのか。最後に突き飛ばしたときに怪我をさせてしまったのだろうか?……そもそも、この教師があんな淫行を働かなければ、何事もなかったわけで、やっぱり俺は悪くない。
「ち、近寄らないでください。この淫行教師」
「えー、ちょっと触っただけだろ」
「あれが"ちょっと"……?」
この教師、どれだけ淫らな生活をしているんだ。
「……っ、あの、先生がそういうのを好きなことに対して否定はしませんけど、ああいうことは生徒にしないほうがいいと思います。あと、いくらここが男子ばっかりで欲求不満だからって、男に手を出すのもどうかと思います」
「なんで」
「え?」
「何で男に手を出したらいけないんだ?」
鋭い視線にまっすぐ貫かれる。俺の腕をつかんでいる手の力が強くなった気がした。思いもよらない真剣な反応だ。シモ系の話ははぐらかされるか、笑い飛ばされるかのどっちかだと思ったのに。
「というか、人をヤリチンみたいに言うな。俺は我慢強いほうなんだぞ!だいたい、お前が……」
「……?」
俺が、なんだって?先が気になって聞き返してみるが、先生はその言葉を続きを教えてくれなかった。
気になるところで口を噤まないでくれ。
つまりは、俺のせいでああなったって言いたいのだろう。その理由は教えてくれないからわからないし、どんな理由であれ生徒を襲っていいわけないし。非常に遺憾だ。不満げに口を尖らせていると、先生の片手が頭の後ろに回った。
「ん…、」
そのまま瞬きをする猶予もなく、唇に軽いキスが落とされる。触れるだけのそれに抵抗できなくて、先生の目を凝視することしかできない。
いま、先生の口が俺のに……?
「この前は逃しちゃったけど、今回は絶対離さねぇから」
「なにを……っ」
「俺のこと散々避けたお仕置き。……この前の続きをするぞ」
続きって、尻穴を触られた後の、次に進むっていうこと?
───なあ、お前のここに入れてもいい?
欲情して上擦っていた先生の声が頭の中に蘇る。続きって、そういうこと……だよな。
その瞬間、原口先生がなぜこの教室に俺を引き入れたのかが分かった。手を振り解こうとしながら"変態"と言い放つものの、先生は悦に入った笑みを浮かべていた。
「お前だって、授業中ずっとえっとなこと考えてたくせに。せんせのこと見ながら何考えてたんだ。ん?」
顎を強引に掴まれて、上を向かされる。その乱暴さに、何故か背筋がぞくりとした。
「先生のことばっかり考えてたせいで、勉強に手がつかなかった?……悪い子だな」
「そ、んな……、考えてないです」
「あんなにエロい目で見られたらそう思うって」
「……っ」
そんなにわかりやすい顔をしていたのだろうか。自分では隠せているつもりだったのに。
「ほら、後ろ向け。また乳首マッサージしてやるから」
「結構です、俺はもう教室に戻ります」
「お前のことだからどうせ、自分で乳首弄れてないんだろ」
なんでわかったんだ。
自分で弄るのは本格的におかしくなりそうで、怖かった。だって自分でするようにまでなったら、……部屋で一人喘ぎながら胸に夢中になったりしたら、変態は俺の方じゃないか。
それに、自分でしたら先生としたときのような快感が生まれない可能性があった。だって俺は、オナニーとかセックスとかに今まで無関心だったから、経験や知識がほぼないのだ。
「あ、そっちのプリントは捲くるなよ。相談室のやつだから」
「はぁ……」
そういうところはきっちりしているんだな。だったら最初から俺を入れなきゃいいのに。
「何か俺に話したいことでもあるんですか?あんなことしておいて、なんで俺と二人っきりに……」
「確かに、話したいことは山ほどあるな」
軽薄な笑みが俺に向けられる。それにどこか圧のようなものを感じて、思わず後ずさった。え、なに。俺が悪いのか?
あれ以上何を話すというのか。最後に突き飛ばしたときに怪我をさせてしまったのだろうか?……そもそも、この教師があんな淫行を働かなければ、何事もなかったわけで、やっぱり俺は悪くない。
「ち、近寄らないでください。この淫行教師」
「えー、ちょっと触っただけだろ」
「あれが"ちょっと"……?」
この教師、どれだけ淫らな生活をしているんだ。
「……っ、あの、先生がそういうのを好きなことに対して否定はしませんけど、ああいうことは生徒にしないほうがいいと思います。あと、いくらここが男子ばっかりで欲求不満だからって、男に手を出すのもどうかと思います」
「なんで」
「え?」
「何で男に手を出したらいけないんだ?」
鋭い視線にまっすぐ貫かれる。俺の腕をつかんでいる手の力が強くなった気がした。思いもよらない真剣な反応だ。シモ系の話ははぐらかされるか、笑い飛ばされるかのどっちかだと思ったのに。
「というか、人をヤリチンみたいに言うな。俺は我慢強いほうなんだぞ!だいたい、お前が……」
「……?」
俺が、なんだって?先が気になって聞き返してみるが、先生はその言葉を続きを教えてくれなかった。
気になるところで口を噤まないでくれ。
つまりは、俺のせいでああなったって言いたいのだろう。その理由は教えてくれないからわからないし、どんな理由であれ生徒を襲っていいわけないし。非常に遺憾だ。不満げに口を尖らせていると、先生の片手が頭の後ろに回った。
「ん…、」
そのまま瞬きをする猶予もなく、唇に軽いキスが落とされる。触れるだけのそれに抵抗できなくて、先生の目を凝視することしかできない。
いま、先生の口が俺のに……?
「この前は逃しちゃったけど、今回は絶対離さねぇから」
「なにを……っ」
「俺のこと散々避けたお仕置き。……この前の続きをするぞ」
続きって、尻穴を触られた後の、次に進むっていうこと?
───なあ、お前のここに入れてもいい?
欲情して上擦っていた先生の声が頭の中に蘇る。続きって、そういうこと……だよな。
その瞬間、原口先生がなぜこの教室に俺を引き入れたのかが分かった。手を振り解こうとしながら"変態"と言い放つものの、先生は悦に入った笑みを浮かべていた。
「お前だって、授業中ずっとえっとなこと考えてたくせに。せんせのこと見ながら何考えてたんだ。ん?」
顎を強引に掴まれて、上を向かされる。その乱暴さに、何故か背筋がぞくりとした。
「先生のことばっかり考えてたせいで、勉強に手がつかなかった?……悪い子だな」
「そ、んな……、考えてないです」
「あんなにエロい目で見られたらそう思うって」
「……っ」
そんなにわかりやすい顔をしていたのだろうか。自分では隠せているつもりだったのに。
「ほら、後ろ向け。また乳首マッサージしてやるから」
「結構です、俺はもう教室に戻ります」
「お前のことだからどうせ、自分で乳首弄れてないんだろ」
なんでわかったんだ。
自分で弄るのは本格的におかしくなりそうで、怖かった。だって自分でするようにまでなったら、……部屋で一人喘ぎながら胸に夢中になったりしたら、変態は俺の方じゃないか。
それに、自分でしたら先生としたときのような快感が生まれない可能性があった。だって俺は、オナニーとかセックスとかに今まで無関心だったから、経験や知識がほぼないのだ。
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