海ぼうずさんは俺を愛でたいらしい

キルキ

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本編

10 クラゲさんの好きなものその②

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今日の晩御飯は、久しぶりのお寿司だ。回転寿司も良いが、このスーパーに売ってる寿司は大ぶりでお腹にたまる。普段は祝い事がない限り自分で買ったりしないのだが、サーモン寿司が急に食べたくなった。サーモンが好きというと子供舌と笑われるが、その認識は間違ってないためいつも反論できない。因みにわさびは付けない派。


「ただいまぁ」


部屋に入ると、机の上のコップの中でクラゲさんがくるくる泳いでいた。寿司のお陰で、いつもよりテンション高めのまま近づけば、普段と違う俺の表情を見たクラゲさんが、首をかしげた。

「クラゲさんはこれ、知ってるかな。お寿司だよ。お魚の切り身が酢飯の上に乗ってる食べ物。醤油につけて食べるんだよ」

最初出会った時クラゲさんは海にいたから、魚くらいは見たことあるだろうな。どの切り身がどの魚とかわかったりするんだろうか。

袋からパックを取り出してクラゲさんが見えるように置くと、コップから身を乗り出していたクラゲさんがペタッと机に落ちた。

スライムのように転がりながら寿司に近づいてくる。珍しい。こんなに興味を示すなんて

「気になるの?」

感情がよくわからない2つの目が、寿司を見つめている。ずいぶんとご熱心なご様子だ。いつもは俺のことを見てるのに、なんてメンヘラっぽいことを思ってしまう。

本当に珍しいな。もしかして、この反応は。

「……いる?」

パックを開けて差し出すが、クラゲさんは微動だにしない。試しに箸でマグロの刺身だけ持ち上げて見ると、クラゲさんの視線がマグロに集中した。もしかして魚に興味があるんだろうか。元々は海に住んでいたんだし、魚を食料にしててもおかしくない。見た目的には、海藻とか食べてそうだけど。

刺身を見つめるクラゲさんにそれを近づける。嫌がる素振りを見せないため、そのまま頭にそれを乗せる。暫くすると刺身はクラゲさんの体に飲み込まれて、3秒ほどでクラゲさんの体の中からも消えていった。消化するところまでばっちり見てしまった。

「おいしい?」
「………」

きょろり、と目が動いた。正直何考えてるのか分からないが、そう悪くない反応だろう。

初めてクラゲさんに餌付けみたいなことをできてる気がする。気持ち的にはさながらペットの餌やりである。静かに黙々と食事をするその様子が面白くて、半数の寿司をクラゲさんに食べさせた。

食事をしなくても大丈夫ってクラゲさんは言っていたけど、こういう反応を見てしまうとたくさん食べさせてあげたくなる。これが母性…?

刺身、たまには買ってこようかな。



(大昔は魚が主食だった。肉食なクラゲさん。因みに昔は、裕也に食べさせてもらったものとは比にならないくらいたくさんの魚を暴食してた)
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