黄金の檻 〜高慢な貴族連中を裏から支配するんでよろしく〜

とんでもニャー太

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蜘蛛の糸②

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その夜、俺はローレン当主と長時間話し込んだ。
政治、経済、そして他の貴族家との力関係について。

俺は下層で仕入れた情報を元に導き出したローレン家にとって有益な助言をしつつ、同時に彼らの内部事情を探っていった。

夜が更けるにつれ、酔いが回った貴族たちの舌も緩んでいった。
俺は彼らの間を巧みに泳ぎ回り、次々と情報を集めていく。

ガリウス家の後継者争い。
マーキュリー家の隣国との密約。
そして、ローレン家内部の権力闘争。

全てが俺の頭の中で、巨大なパズルのピースとなっていった。

「――カイン、もう帰りましょう」

セリアが俺の腕を引いた。
彼女の頬は赤く、どうやら飲みすぎたようだ。

「はい、お嬢様。では、ローレン公爵、皆様方、とても光栄な時間を過ごさせていただきました。これにて失礼をいたします――」

俺たちは邸宅を後にした。
馬車の中で、セリアは俺の肩に寄りかかっていた。

「カイン、あなた本当にすごいわ……。父があんなに誰かの話を熱心に聞くなんて珍しいわ」

俺は優しく微笑んだ。

「お褒めに預かり光栄です」

セリアは俺をじっと見つめた。

「ねえ、カイン……。あなたの本当は誰なの?」

俺は一瞬、息を呑んだ。
だが、すぐに平静を装った。

「どういう意味でしょう?」
「だって、ただの下層街の情報屋が、あそこまで貴族たちと渡り合えるわけないでしょう?」

俺は黙っていた。
セリアは続けた。

「でも、いいの。私、あなたを信じているから」

彼女はそう言って、俺の手を握る。
俺はセリアの手に自分の手を重ねた。

「セリア様のお気持ちに応えるべく努力いたします」
「カイン……」

俺は内心で冷笑した。
愚かな女だ……。

セリアの信頼は俺にとって最大の武器となる。
この女を通じて、俺はローレン家の中枢にまで食い込む。

そして、いずれはこの帝国そのものを――。

馬車は静かに夜の街を進んでいった。
俺の野望は、着実に形となりつつあった。


 * * *


翌日、俺は早朝から動き出していた。
昨夜の晩餐会で得た情報を整理し、次の一手を考える。

まず、ガリウス家の後継者争いを利用する。
俺は密かに、有力候補の一人と接触を図った。
彼にライバルの弱みを教える見返りとして、将来の協力を取り付けた。

次に、マーキュリー家の密約について。
この情報を、ローレン当主の耳に入れる。
だが、直接は言わない。噂として広めるのだ。

そうすることで、ローレン家はマーキュリー家を警戒し始める。
そして、その隙に俺が入り込む。

全ては蜘蛛の糸のように繊細に張りめぐらされる。
この俺の手によって――。
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