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ヴィクトル
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驚いた顔のエウリーカ。怒った顔のエウリーカ。呆れた顔のエウリーカ。
少しだけ、なんて言っておきながらもっとたくさんのエウリーカを見たくて足が動かない。これ以上いたらダメだ。早くこの場から去らないと、いつ追手がここに来るかもわからないのに。でも足が動かない。
エウリーカが怒ってる。もっとその声を聞いていたい。村で暮らしていた時を思い出す。
エウリーカが泣いている。僕を心配してくれる。申し訳ないけどすごく嬉しい。
触れ合った部分が熱い。エウリーカの滑らかな肌の感触を堪能することも出来ないほど熱い。だけど心地いい。ずっとこうしていたい程。
これ以上は、だめだな。戻れなくなる。
そうわかっているのに、とても自分からその手を離すことなんてできなくて。
最期だから、最期だからと、心の中で言い訳ばっか溢して。自分から切り出すことなく別れを先延ばしにしていたら。
──ふ、と。
視線が交わって、鼻先が当たって、唇が触れ合った。
春と夏の間。新緑が生い茂る丘にエウリーカと二人で寝転がって見上げた青い空。肌に心地よい日差し。若草の香り。穏やかな風の音。
『きもちーね』
目を閉じたまま笑うエウリーカ。
頭の中をたくさんの映像が駆け巡る。あれも、これも。どれも全部、キラキラと輝いている。
思い出さないようにと、厳重に鍵をかけて宝箱に入れていた大切な思い出が全部。溢れて、流れだした。
ごめん。
ごめん、エウリーカ。
どうしようもなく僕は自分勝手で、臆病で。だめだと分かっていても、自分から君の手を離すことなんてできなくて。
ごめん。ごめん。
本当に僕は馬鹿で、愚かで。いけないと分かっているのに、最後に君とこうしていられることが、どうしようもなく嬉しいんだ。
少しだけ、なんて言っておきながらもっとたくさんのエウリーカを見たくて足が動かない。これ以上いたらダメだ。早くこの場から去らないと、いつ追手がここに来るかもわからないのに。でも足が動かない。
エウリーカが怒ってる。もっとその声を聞いていたい。村で暮らしていた時を思い出す。
エウリーカが泣いている。僕を心配してくれる。申し訳ないけどすごく嬉しい。
触れ合った部分が熱い。エウリーカの滑らかな肌の感触を堪能することも出来ないほど熱い。だけど心地いい。ずっとこうしていたい程。
これ以上は、だめだな。戻れなくなる。
そうわかっているのに、とても自分からその手を離すことなんてできなくて。
最期だから、最期だからと、心の中で言い訳ばっか溢して。自分から切り出すことなく別れを先延ばしにしていたら。
──ふ、と。
視線が交わって、鼻先が当たって、唇が触れ合った。
春と夏の間。新緑が生い茂る丘にエウリーカと二人で寝転がって見上げた青い空。肌に心地よい日差し。若草の香り。穏やかな風の音。
『きもちーね』
目を閉じたまま笑うエウリーカ。
頭の中をたくさんの映像が駆け巡る。あれも、これも。どれも全部、キラキラと輝いている。
思い出さないようにと、厳重に鍵をかけて宝箱に入れていた大切な思い出が全部。溢れて、流れだした。
ごめん。
ごめん、エウリーカ。
どうしようもなく僕は自分勝手で、臆病で。だめだと分かっていても、自分から君の手を離すことなんてできなくて。
ごめん。ごめん。
本当に僕は馬鹿で、愚かで。いけないと分かっているのに、最後に君とこうしていられることが、どうしようもなく嬉しいんだ。
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