【R18】二人は元恋人、現セフレ

遙くるみ

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悠馬

※episode ー 1

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 ※ ※ ※


「あ、それ俺も好き」

「え、本当?この人達あんまりメジャーじゃないのによく知ってるね」

「この前車のCMに曲使われてたじゃん?あれ聞いていいなーって思ってアルバム借りてハマった」

「ああ、それ!いい曲だよねー。私も好き」

「アルバムのジャケットもさ、なんつーか独特で。ああいうカオスっぽいんだけど虚無って感じの、俺好き」

「ぷぷ、何それ。でもなんか分かるかも。そうなんだよねー、彼らは曲だけじゃなくてそういう所も格好良くて、全部ひっくるめた世界観が、もう好き」

「歌詞もいい」

「うん。声もいい」

「わかる。腹に響くよな」

「ちなみに音楽に対する考え方とか生き方も好き」

「ちょっとぶっ飛んでる感じのな」

「そうそう。あっすいませーん!次、何頼む?」

「俺ウーロンハイ、濃いめで」

「おっけ。じゃあ、生中とウーロンハイの濃いめ、お願いします」

「あ、あとお茶漬けの鮭、一つ」

「もう〆頼むの?」

「〆じゃない。俺腹減ってんだよ。すきっ腹にあんま飲むと悪酔いするし」

「弱かったっけ?」

「弱くないけど、お前とだといつもより飲みすぎる傾向にあるから」

「何それ、私のせい?」

「そう。ただし、悪い意味ではなく」

「つまり?」

「あー、楽しい?」

「……楽しいんだ」

「……何だよ。お前は楽しくねーのかよ」

「すいません、私も楽しいです」

「ふっ、なんで謝んだよ。それにしても、音楽の好みまで一緒だとはな。お前、俺の好きなやつ、大抵好きだな」

「そうだね。不思議なことに」

「服のブランドとかさ、コーディネートとか、配色とか」

「シンプルかつスタイリッシュかつモノトーンな感じね」

「読んでる漫画も」

「歴史系、特に戦国時代の各武将の知略部分が大好物でございます」

「ピンポイントに合致してんだよな。映画だと、邦画の緩い感じのやつ」

「山も谷もオチもない、何を言いたいのかも伝わってこないやつ。大好き」

「くくっ、そうそれ。でも、なんでか頭から離れなくなるやつな。ラーメンだったら」

「豚骨醤油」

「おにぎりの具は」

「明太子」

「犬より」

「猫派。でも」

「「コーギーは尊い」」

「……ぷ、ふふ。あはは」

「もうここまできたらさ、俺が好きなやつイコールかすみの好きなやつで間違いないだろ」

「断言はできないけど、その可能性は高いよね。本当に不思議なことに」

「こんなに趣味とか合うやつなんていなかったから、そりゃ喋ってたら楽しいの当たり前じゃん?」

「なるほど。納得です」

「つーことは、好きなやつも多分一緒だと思うんだよな」

「……芸能人?」

「もだけど」

「歴史上の?」

「それもだけど」

「じゃあ、創造上の?」

「わざとか?」

「あははっ、ごめん。ちょっと調子に乗った」

「で?」

「へ?」

「お前は?」

「私?」

「好きなやつ。いるだろ?」

「……うん、いるよ。いっぱいいる」

「いっぱいね。じゃあ、そんな中で現実に存在して、かつ恋愛感情抱いてるやつは?」

「……いるね。一人」

「俺もいるんだよ。一人」

「でもさ、さすがに一緒じゃないと思うよ?」

「一緒だろ。目の前にいるっていうとこが」

「……」

「違った?」

「……違わない」

「ほら、やっぱりな。じゃあ、そう言うことで」

「どういうことで?」

「言わせる気かよ」

「言わせるでしょ、そりゃ」

「わかってるくせに」

「わかってるけど、こういう大事なことは、ちゃんと言葉にして言って欲しい」

「……」

「……だめ?」

「だからさ、えーと。あれだよ、うん。わかるだろ?つまり、俺と付き合って欲しい、ってことだよ……かすみのことが、好きだから」

「……ぷっ、ふふ、あはっ。はははっ!」

「おい、なんで笑うんだよ」

「ごめ、変な意味じゃなくて。ふふ、嬉しくて、笑いが止まらない」

「なんだそれ。で?」

「へ?」

「かすみは?同じなわけ?」

「……私も、同じかな」

「じゃあ、言葉にして言ってみ?」

「うわ、反撃だ。やられたらやり返す主義」

「そうそう、よくわかってんじゃん。やられっぱなしは性に合わないんだ。でも、そーいうんじゃなくて、普通に聞きたい。かすみの言葉で。だめか?」

「……ずるいなぁ」

「ずるいか?」

「ずるいよ。急に直球でこられたら、誤魔化せないじゃん。つまりね、私も……悠馬が好き。私と付き合ってください」

「ほら、一緒だった」

「仰る通りで」

「じゃあ、そういうことで」

「そういうことで?」

「この後、俺んち来る?」

「そういうことで、お邪魔しようかな」


 ※ ※ ※

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