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悠馬
気楽な関係
「お前も来るか?」
隣の席で楽しそうに今夜の飲み会の予定を組んでいた同僚に、唐突に投げかけられた。ディスプレイから視線を離し、横を見る。どうやら俺への誘いで間違いないらしい。数名の同僚達が皆こちらを向き、俺の反応を伺っていた。
「……いや、今夜は先約があるから」
「そっか。じゃあ、また今度行こうぜ」
それで会話は終わった。すぐ近くにいるのに誘わないと申し訳ないとでも思ったのだろう。そういう気の使い方を俺にしなくてもいいのにな、と思いつつ作業を再開する。でも、とすぐ手を止め、スマホを取り出した。
先約なんてものはないが、本当に予定を入れてしまおうか。そうすれば嘘で断ったことにはならない。
緑のアイコンをタップし、絵文字もスタンプも使わず、必要最低限だけを打ち込む。
今日の夜の誘いを今日の昼にするとか、急すぎる自覚はある。相手も仕事をしているのだ。下手するとこのメッセージ自体気付くことなく夜になる可能性だってある。まあ、駄目なら駄目で別に構わない。互いが暇な時、そして気が向いた時。最初からそういう約束なのだから。
スマホをデスクに置こうとした時、短いバイブと共にメッセージが表示された。
『私も暇。いーよ』
絵文字もスタンプもない、必要最低限のメッセージ。
駄目なら駄目で構わないと思ってたはずなのに、ホッと安堵する自分がいる。すかさず『じゃあ、また夜に』と打ち込むと、すぐに既読がついた。
弛みそうになる口角に力を籠め、今度こそ作業を再開させる。納期は来週だが、できるだけ進めてしまいたい。頭の中でスケジュールを調節し、一人頷く。この調子でいけば来週も前半残業するだけで何とかなりそうだ。
さらに下唇を噛みしめて、頭を仕事に切り替えた。
※ ※
最寄り駅の改札を出てすぐの場所。
白いノースリーブのブラウスに、ベージュのワイドパンツ。少し癖のある肩までの髪は結ぶことなく、耳にかけられていた。露わになったそこに、ブルートゥースのイヤホンがはめられている。
「うっす」
近づいて声をかけると、ぼんやりと前を向いていたかすみが振り向き、歯を見せてからりと笑った。
「お疲れ!」
イヤホンを外し、肩にかけていたバッグに仕舞う。いくつもの植物を配合し綿密に整えられただろう香りが、ふっと鼻をかすめる。
「……すまん。結構待たせたか?」
「ぜーんぜん。今来たとこ。行こ?」
蒸し暑い、息苦しい、騒がしい、主張の激しい光が乱雑する夜の街を並んで歩く。はっきり言って不快にしか感じない世界なのに、不思議と心は凪いだ海のように穏やかだ。
「飯は?」
「食べた。悠馬は?」
「俺はまだ」
「じゃあどっか入る?」
「いや、そこらへんで買って家で食おうかな」
「おっけー。私もお酒買ってこ!あと、おつまみも」
一週間を終え疲れもピークなはずなのに、かすみが楽しそうに笑う。多分俺も、笑ってる。
「さっき、聞いてたの何?」
「ん?曲?」
「そう」
かすみが、えーっとねぇと、いくつかのアーティストの名前を挙げる。
どれも、昔からかすみが好きだったやつだ。そしてもちろん、俺も好きなやつ。
「新しいアルバム、買った?」
そのうちの一つ、3ピースバンドの名前に反応すると、かすみの声が一際大きく弾んだ。
「もちろん買ったよ!もう最高すぎて何度も聞いてる!タイアップされてるドラマも見てる!」
「多分そろそろツアーすると思うんだよな」
かすみの勢いに、思わずふっと笑う。
最寄りのコンビニに入る。昼間以上に明るく感じる店内は、そこだけ切り取られたかのように冷やされていた。
「だよね!全国かはわかんないけど、主要都市は回りそうな気がする」
「生で聞きてえな」
かすみと付き合っていた当時から好きだったバンドだ。別れた後ももちろん好きで、発売されたばかりのアルバムを俺も何度も聞いている。ライブに行ったことはないが、こんなにも好きなのだから一度は行ってみたいと常々思っていた。
冷蔵庫のガラス戸を開き、適当にビールとチューハイを取り出す。俺の飲むやつと、かすみの好きそうなやつ。
「行く?」
「…へ?」
「多分取れるよ。私、会員だし」
白色LED照明が、かすみの顔をいつも以上に白く浮かび上がらせる。「行きたかったら教えて」と言い、かすみがバタンと戸を閉めた。
付き合ってた当時は確か会員ではなかったはずだが、別れた後に入ったということか。会員になるほど好きだったとは思わなかったから、少し意外だった。
適当に目についた弁当とかすみが選んだつまみをカゴに入れ、レジに持って行く。互いの財布から千円ずつ出し、足りない分は俺が支払った。
コンビニの外は、やはり別世界のようだった。不快な熱を含んだ外気が身体に張り付き、引いた汗が一気に噴き出す。
自然と速足で家に向かう。
お腹が減ったから、外が暑過ぎるから、早くシャワーを浴びてスッキリしたいから。だから早く家に帰りたいんだと、向かう間ずっと、そんな言い訳を自分に繰り返していた。
※ ※
缶を軽く合わせて、乾杯をする。俺は弁当を、かすみは菓子をつまみ、適当につけたテレビを見ながら何でもない話をする。音楽だったり、漫画だったり、軽く仕事の愚痴を言ったりして、盛り上がるとまではいかないが、会話が途切れることはなかった。
労働で疲れた身体は気怠く重いが、時間とともに心が軽くなっていくのが分かる。自分の部屋だからリラックスして当たり前というのももちろんあるが、かすみに対して変な気を使わなくていいというのも大きいと思う。
再会してからというもの、かすみは付き合ってた当時の話題をあまり振ってこない。言ってきたとしても当たり障りのないもので、別れる前の険呑な時期のことは一度も触れてきてはいない。
最初に言っていた『踏ん切りがついている』というのは本当なんだろう。過去は過去と完全に割り切っているようで、俺に対する態度も仲のいい友人といったサバサバとしたものだった。かすみから向けられる感情に昔感じていたような、ねちっこくて甘いものはない。
今の俺たちの間には、毎日メールしなきゃとか、事前に予定を教えなきゃとか、好きだと言葉にしなきゃとか。デートやプレゼントや記念日とか。付き合っていた時にしていた様々な気遣いも、もちろん必要ない。
そして、気付いた。
そういうものを一切取り払って過ごすかすみとの時間は、最高に楽だということに。
色恋沙汰を一切排除したかすみは、趣味や好みや価値観が合う気を張らなくてもいい存在で。つまり、以前俺が面倒だと思っていたもの以外で構成された、俺にとって最高に好ましく都合の良い相手だということに。
それだけじゃない。
食べ終わって少しして、「じゃ、先もらうね」とかすみがシャワーを浴びに行き、出てきたら交代で俺が入る。
頭からつま先まで丹念にかつ最速で洗い、必要最低限の水滴だけ拭いて寝室へと戻った。
かすみはベッドの上で寝転がって、漫画を読みふけっていた。表紙をみると、基本コメディでちょいちょいシリアスな描写が挟まれる少年漫画だ。今の俺が薦めるベスト3に入るほど面白いと思ってるので、読み始めたら止まらないのも頷ける。
が、それを承知の上で、漫画をさっとそれを取り上げる。俺が上がったことに気付いていなかったのか、かすみは「わあっ!」と大きな声を出し、急いで身体を起こした。
「っもー、びっくりしたぁって、あ!」
完全に身体を起こす前に、また押し倒す。そのまま覆い被さり、視線を合わせた。
化粧を落としどこか幼げなかすみが、驚いた様に目を丸くしている。それは記憶の中のそれと、何も変わっていない。
昔も今も、俺はこういうかすみを好ましく思っていた。
※ ※
「あっ、やっぁあ!ふ、ぅんんん」
後ろから覆い被さり、腰を大きくグラインドさせる。奥まで勢いよく突き刺すと、ばつんと肌のぶつかる音が響いた。
胸の下に手を回し、すぐに潰れる上半身を無理矢理起こす。かすみも俺のすることに応えようと両腕を突っ張ったが、幾度か抽送を繰り返すうちにまたすぐ潰れてしまう。身体に回した手をかすみの腰に当てると、支えを失った上半身がぺしゃりとベッドに埋まった。腰だけを高く突き出した格好で、また抽送を再開させる。
「あっああっ!」
奥の奥を目掛けて体重を乗せると、かすみが甘さを含んだ苦しげな声を漏らした。
セックスはいい。
やらなかった期間は、別に無理してヤラなくてもいいと思っていたが、やはりやれるならやった方が断然いい。自慰と性行為は全くの別物だ。久々にセックスをして、それを悟った。
だからといって、ヤレれば誰でもいい訳じゃない。
気心の知れた元カノの、馴染みのある身体でするセックスだからこそ、すごく気楽に、最高に気持ちいいセックスができるのだ。これが一夜限りとか、付き合い始めたばかりの相手だったら、こうはいかない。手探りで相手を気遣い、自分の快楽など後回しになってしまう。それが嫌なわけじゃないが、そこまでしてセックスをしたいとも思わなかった。
思えば、かすみと付き合ってる時もそんな時があった。暗黙の了解という訳ではないが、かすみを一回イカせてからじゃないと、なんとなく挿入はできなかった。
前戯が面倒臭いとかではない。かすみをイカせると俺も満たされたし、やはり気持ち良くなってくれると嬉しかった。でも、それを義務のように感じてしまうと、セックス自体億劫になり、形だけの行為となることも多かった。
お互いが暇な時、かつヤリたくなった時、気軽にセックスを誘える相手。それが俺たちの今の関係だ。
一回で終わると思った行為の後、それを提案してきたのはかすみだった。
『お互い、ちゃんとした相手ができるまでの期間限定。ってことで、どう?』
そう言うかすみの瞳は、情事後の生理的な涙で妖艶に濡れつつも、裏表のないカラッとしたものだった。過去のかすみを知る俺には、そう思えた。
だから深く考えることなく、その提案に乗った。
心地よい倦怠感と言葉にできない程の解放感。こんなにも気持ちいいかすみとのセックスを、一度で終わらせたくはなかった。
隣の席で楽しそうに今夜の飲み会の予定を組んでいた同僚に、唐突に投げかけられた。ディスプレイから視線を離し、横を見る。どうやら俺への誘いで間違いないらしい。数名の同僚達が皆こちらを向き、俺の反応を伺っていた。
「……いや、今夜は先約があるから」
「そっか。じゃあ、また今度行こうぜ」
それで会話は終わった。すぐ近くにいるのに誘わないと申し訳ないとでも思ったのだろう。そういう気の使い方を俺にしなくてもいいのにな、と思いつつ作業を再開する。でも、とすぐ手を止め、スマホを取り出した。
先約なんてものはないが、本当に予定を入れてしまおうか。そうすれば嘘で断ったことにはならない。
緑のアイコンをタップし、絵文字もスタンプも使わず、必要最低限だけを打ち込む。
今日の夜の誘いを今日の昼にするとか、急すぎる自覚はある。相手も仕事をしているのだ。下手するとこのメッセージ自体気付くことなく夜になる可能性だってある。まあ、駄目なら駄目で別に構わない。互いが暇な時、そして気が向いた時。最初からそういう約束なのだから。
スマホをデスクに置こうとした時、短いバイブと共にメッセージが表示された。
『私も暇。いーよ』
絵文字もスタンプもない、必要最低限のメッセージ。
駄目なら駄目で構わないと思ってたはずなのに、ホッと安堵する自分がいる。すかさず『じゃあ、また夜に』と打ち込むと、すぐに既読がついた。
弛みそうになる口角に力を籠め、今度こそ作業を再開させる。納期は来週だが、できるだけ進めてしまいたい。頭の中でスケジュールを調節し、一人頷く。この調子でいけば来週も前半残業するだけで何とかなりそうだ。
さらに下唇を噛みしめて、頭を仕事に切り替えた。
※ ※
最寄り駅の改札を出てすぐの場所。
白いノースリーブのブラウスに、ベージュのワイドパンツ。少し癖のある肩までの髪は結ぶことなく、耳にかけられていた。露わになったそこに、ブルートゥースのイヤホンがはめられている。
「うっす」
近づいて声をかけると、ぼんやりと前を向いていたかすみが振り向き、歯を見せてからりと笑った。
「お疲れ!」
イヤホンを外し、肩にかけていたバッグに仕舞う。いくつもの植物を配合し綿密に整えられただろう香りが、ふっと鼻をかすめる。
「……すまん。結構待たせたか?」
「ぜーんぜん。今来たとこ。行こ?」
蒸し暑い、息苦しい、騒がしい、主張の激しい光が乱雑する夜の街を並んで歩く。はっきり言って不快にしか感じない世界なのに、不思議と心は凪いだ海のように穏やかだ。
「飯は?」
「食べた。悠馬は?」
「俺はまだ」
「じゃあどっか入る?」
「いや、そこらへんで買って家で食おうかな」
「おっけー。私もお酒買ってこ!あと、おつまみも」
一週間を終え疲れもピークなはずなのに、かすみが楽しそうに笑う。多分俺も、笑ってる。
「さっき、聞いてたの何?」
「ん?曲?」
「そう」
かすみが、えーっとねぇと、いくつかのアーティストの名前を挙げる。
どれも、昔からかすみが好きだったやつだ。そしてもちろん、俺も好きなやつ。
「新しいアルバム、買った?」
そのうちの一つ、3ピースバンドの名前に反応すると、かすみの声が一際大きく弾んだ。
「もちろん買ったよ!もう最高すぎて何度も聞いてる!タイアップされてるドラマも見てる!」
「多分そろそろツアーすると思うんだよな」
かすみの勢いに、思わずふっと笑う。
最寄りのコンビニに入る。昼間以上に明るく感じる店内は、そこだけ切り取られたかのように冷やされていた。
「だよね!全国かはわかんないけど、主要都市は回りそうな気がする」
「生で聞きてえな」
かすみと付き合っていた当時から好きだったバンドだ。別れた後ももちろん好きで、発売されたばかりのアルバムを俺も何度も聞いている。ライブに行ったことはないが、こんなにも好きなのだから一度は行ってみたいと常々思っていた。
冷蔵庫のガラス戸を開き、適当にビールとチューハイを取り出す。俺の飲むやつと、かすみの好きそうなやつ。
「行く?」
「…へ?」
「多分取れるよ。私、会員だし」
白色LED照明が、かすみの顔をいつも以上に白く浮かび上がらせる。「行きたかったら教えて」と言い、かすみがバタンと戸を閉めた。
付き合ってた当時は確か会員ではなかったはずだが、別れた後に入ったということか。会員になるほど好きだったとは思わなかったから、少し意外だった。
適当に目についた弁当とかすみが選んだつまみをカゴに入れ、レジに持って行く。互いの財布から千円ずつ出し、足りない分は俺が支払った。
コンビニの外は、やはり別世界のようだった。不快な熱を含んだ外気が身体に張り付き、引いた汗が一気に噴き出す。
自然と速足で家に向かう。
お腹が減ったから、外が暑過ぎるから、早くシャワーを浴びてスッキリしたいから。だから早く家に帰りたいんだと、向かう間ずっと、そんな言い訳を自分に繰り返していた。
※ ※
缶を軽く合わせて、乾杯をする。俺は弁当を、かすみは菓子をつまみ、適当につけたテレビを見ながら何でもない話をする。音楽だったり、漫画だったり、軽く仕事の愚痴を言ったりして、盛り上がるとまではいかないが、会話が途切れることはなかった。
労働で疲れた身体は気怠く重いが、時間とともに心が軽くなっていくのが分かる。自分の部屋だからリラックスして当たり前というのももちろんあるが、かすみに対して変な気を使わなくていいというのも大きいと思う。
再会してからというもの、かすみは付き合ってた当時の話題をあまり振ってこない。言ってきたとしても当たり障りのないもので、別れる前の険呑な時期のことは一度も触れてきてはいない。
最初に言っていた『踏ん切りがついている』というのは本当なんだろう。過去は過去と完全に割り切っているようで、俺に対する態度も仲のいい友人といったサバサバとしたものだった。かすみから向けられる感情に昔感じていたような、ねちっこくて甘いものはない。
今の俺たちの間には、毎日メールしなきゃとか、事前に予定を教えなきゃとか、好きだと言葉にしなきゃとか。デートやプレゼントや記念日とか。付き合っていた時にしていた様々な気遣いも、もちろん必要ない。
そして、気付いた。
そういうものを一切取り払って過ごすかすみとの時間は、最高に楽だということに。
色恋沙汰を一切排除したかすみは、趣味や好みや価値観が合う気を張らなくてもいい存在で。つまり、以前俺が面倒だと思っていたもの以外で構成された、俺にとって最高に好ましく都合の良い相手だということに。
それだけじゃない。
食べ終わって少しして、「じゃ、先もらうね」とかすみがシャワーを浴びに行き、出てきたら交代で俺が入る。
頭からつま先まで丹念にかつ最速で洗い、必要最低限の水滴だけ拭いて寝室へと戻った。
かすみはベッドの上で寝転がって、漫画を読みふけっていた。表紙をみると、基本コメディでちょいちょいシリアスな描写が挟まれる少年漫画だ。今の俺が薦めるベスト3に入るほど面白いと思ってるので、読み始めたら止まらないのも頷ける。
が、それを承知の上で、漫画をさっとそれを取り上げる。俺が上がったことに気付いていなかったのか、かすみは「わあっ!」と大きな声を出し、急いで身体を起こした。
「っもー、びっくりしたぁって、あ!」
完全に身体を起こす前に、また押し倒す。そのまま覆い被さり、視線を合わせた。
化粧を落としどこか幼げなかすみが、驚いた様に目を丸くしている。それは記憶の中のそれと、何も変わっていない。
昔も今も、俺はこういうかすみを好ましく思っていた。
※ ※
「あっ、やっぁあ!ふ、ぅんんん」
後ろから覆い被さり、腰を大きくグラインドさせる。奥まで勢いよく突き刺すと、ばつんと肌のぶつかる音が響いた。
胸の下に手を回し、すぐに潰れる上半身を無理矢理起こす。かすみも俺のすることに応えようと両腕を突っ張ったが、幾度か抽送を繰り返すうちにまたすぐ潰れてしまう。身体に回した手をかすみの腰に当てると、支えを失った上半身がぺしゃりとベッドに埋まった。腰だけを高く突き出した格好で、また抽送を再開させる。
「あっああっ!」
奥の奥を目掛けて体重を乗せると、かすみが甘さを含んだ苦しげな声を漏らした。
セックスはいい。
やらなかった期間は、別に無理してヤラなくてもいいと思っていたが、やはりやれるならやった方が断然いい。自慰と性行為は全くの別物だ。久々にセックスをして、それを悟った。
だからといって、ヤレれば誰でもいい訳じゃない。
気心の知れた元カノの、馴染みのある身体でするセックスだからこそ、すごく気楽に、最高に気持ちいいセックスができるのだ。これが一夜限りとか、付き合い始めたばかりの相手だったら、こうはいかない。手探りで相手を気遣い、自分の快楽など後回しになってしまう。それが嫌なわけじゃないが、そこまでしてセックスをしたいとも思わなかった。
思えば、かすみと付き合ってる時もそんな時があった。暗黙の了解という訳ではないが、かすみを一回イカせてからじゃないと、なんとなく挿入はできなかった。
前戯が面倒臭いとかではない。かすみをイカせると俺も満たされたし、やはり気持ち良くなってくれると嬉しかった。でも、それを義務のように感じてしまうと、セックス自体億劫になり、形だけの行為となることも多かった。
お互いが暇な時、かつヤリたくなった時、気軽にセックスを誘える相手。それが俺たちの今の関係だ。
一回で終わると思った行為の後、それを提案してきたのはかすみだった。
『お互い、ちゃんとした相手ができるまでの期間限定。ってことで、どう?』
そう言うかすみの瞳は、情事後の生理的な涙で妖艶に濡れつつも、裏表のないカラッとしたものだった。過去のかすみを知る俺には、そう思えた。
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