【R18】二人は元恋人、現セフレ

遙くるみ

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悠馬

※episodeー4

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 ※ ※


美味うまかった?」

「うん、すっごく美味しかった!人気なの納得。ここ、予約取るのとか大変だったでしょ?」

「早めに電話したのに結局当日は取れなくて平日になっちゃったけどな」

「ううん、そんなの全然いい。悠馬がそうしようとしてくれた気持ちだけで嬉しい。本当にありがとう」

「そか、なら良かった。いつも安いとこしか連れてけないからな」

「悠馬と行くいつものラーメン屋も定食屋も大好きだよ。安くて美味しいの、最高じゃん!あー、思い出したら食べたくなってきた。こってり濃厚な豚骨醤油ラーメン。次はそこ行こう!あ、やっぱり悠馬のつくった麻婆豆腐が食べたい。ニンニクと生姜たっぷりの、くっさいやつ」

「ふっ、褒められてんのか貶されてんのか、わかんねーよ」

「すっごい美味しいって、褒めてるに決まってるでしょ。回鍋肉でも青椒肉絲でもいーな。悠馬のつくる中華は何でも美味しいから。ね、明日食べたい。つくってよ」

「はいはい。じゃあ、かすみ好みのニンニク増し増しの臭いやつな。それより、サングリア気に入ったならもう一回頼めば?」

「え、いいの?うーん、でも流石に飲みすぎたし、やめておこうかな。お腹いっぱいだよ」

「そう?遠慮しないで頼めよ。誕生日なんだしさ、っと。そーだ、忘れるとこだった。はい、これ」

「これ……プレゼント?開けてもいいの?」

「もちろん」

「……お財布だ。可愛い」

「ネイビーとブラックで悩んだんだけど、俺だったらブラックかなーと思って。当たってる?」

「え?う、うん。そうだね、私もブラックかな」

「ん、良かった。かすみが好きそうなのってほぼ俺の好きなもんだから、選ぶ時楽で助かるよ」

「お財布選んだのは?」

「前財布欲しいって言ってたじゃん。だから。あれ、違った?」

「ううん、違くないよ。ありがとう、大事にするね」

「うん、まあ。それなりに使ってくれると嬉しいかな。っと、そろそろ行くか?何かデザートとか食べる?」

「あ、うん。もう何も頼んでないんだよね?じゃあ、出る?」

「そだな。出るか」

「悠馬、ご馳走様でした。素敵なディナーをありがとう」

「どーいたしまして。はあー、来週から社会人とか、憂鬱だなー」

「もう、やめてよー。今すっごく気持ちよく余韻に浸ってたのに、一気に現実に引き戻されちゃった。はあ、本当だよね。上手くやってけるか、不安しかないよ」

「かすみは大丈夫だろ。人当たりいいし、皆に可愛がられるタイプじゃん」

「そんなことないよ。仮にそうだとしても、そう思われるように振る舞ってるだけで、本当は人見知りだもん。悠馬ほどじゃないけど」

「確かに。俺は人見知りっていうより、人付き合いが苦手っていう方が近いけど。今まではさ、関わりたくないやつは無視してればよかったのに、社会人はそうもいかないもんなー。めんどくせ」

「おおー、悠馬がそんなこと言うなんて!てっきり会社に入っても同じスタンスでいくものだと」

「俺だってそん位の分別はついてるわ。ま、あんまりにもダメそうなら転職してもいーし。最初位は俺らしくなく頑張ってみようかと」

「やる気の悠馬なんて、珍しい」

「うっせ」

「そうだよね。頑張るしかないよね。うん」

「だから、かすみはそんなん心配しなくても普通にしてりゃ大丈夫だって。なにがそんなに不安なんだ?」

「不安だよ。仕事もだけど、悠馬と会えなくなっちゃったりとか。悠馬のとこ、可愛い女の子多そうだし」

「……は?そんなこと?」

「そんなこと、って。悠馬は不安じゃないの?」

「全然」

「ふーん。じゃあさ、私の周りに同僚のイケメンがいて、教育係にイケメンの先輩がついて、取引先の相手がイケメンだとしても、不安にならない?」

「ならないよ」

「なら、そのイケメンが皆私を口説いてきたとしても?」

「なんだそりゃ。つーかそもそも、かすみイケメン好きじゃないじゃん」

「そういうことを言ってるんじゃないの。悠馬はどう思うかって聞いてるの」

「別に気にならないけど。かすみは俺と付き合ってんのに他の男になびく様なこと、ないだろ?」

「……それは、まあ、そうだけど」

「俺も」

「え?」

「周りの人間がどうであれ、俺が付き合ってんのはかすみだし、好きなのもかすみなんだから。仮にすっごい可愛い子が同僚で、万が一俺に好意を寄せてきたとしても、どうこうなることなんてない。つまり、不安になることなんてないってこと。俺の言ってる事、信じられない?」

「悠馬のこと、信じられないとかじゃないよ。ただ、やっぱ不安なの」

「不安になったら、すぐに会いに来るから。とりあえず、最初の週末は俺んちでゆっくりだらだらして過ごそうぜ。仕事の愚痴をつまみに飲んだくれてもいーし。な?」

「うん……そうだね。ありがとう、悠馬。はあ、いつもこんなことばっか言ってごめん。いい加減面倒臭いよね、呆れるよね」

「呆れねーよ。不安なことは溜め込まずに言えっていつも言ってんじゃん。ほら、帰ろーぜ。帰って早くエッチしよ」

「……ばか。外でそういうこと大っぴらに言わないで」

「うん、ごめん。でもしたい。だめ?」

「……いーよ。でも、今日はいっぱいキスしたり、ぎゅってしながらゆっくりしたい。だめ?」

「ふっ、もちろん。いーよ」


 ※ ※ ※


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