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再び悠馬
一期一会
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作業効率が悪くなったのを自覚して、一息入れようと席を立つ。一服して頭をリセットさせるため喫煙所へ向かうと、そこにはすでに先客がいた。
「うっす。お疲れ」
「ああ、狭山も。お前んとこも納期近いんだっけ?」
煙草を取り出し、並んで立つ。
「いや、まだ余裕あるんだけど。顧客が変更案出して来そうな雰囲気醸し出してるから、その他の部分はやっちゃえる内にやっちゃおうかなって」
「そりゃ大変だな」
「変更するなら早く言えって感じだよね。するかもしれませんって言われたって、ああそうですか、で?としか言えないじゃん。そういう宙ぶらりんなのが一番イライラするー!ああ、もう最悪。早く終わらせて次行きたーい!」
確か狭山のとこのクライアントは大手通信会社だったか。そちら様ののっぴきならない事情もあるんだろうけど、仕事を受けるこちら側としてはそんなもの関係ないし、いい迷惑だ、としか言えない。
この仕事をしていれば大なり小なり、よくあることだ。俺の取り掛かってる案件も今はまだスムーズに進行しているが、いつそうなってもおかしくはない。だからこそ、現段階では余裕があるにも関わらず、できるところまで進めておこうと残業なんかをしている訳で。かすみが先輩と飲みに行くと言わなければ、とっくの昔に帰っている。
「終わったら絶対飲みに行く!飲んでリミッター外してフィーバーする!!わかった!?」
「仲間内ならいいけど、前みたいのはもう勘弁してくれ」
「前?ああ、あの時ね。まあ、あんたあからさまにつまんなさそうにしてたもんねー。本当に主催者の顔を立てるどころかぺしゃんこにつぶしてくれる気の利かないやつだなって思ってたよ」
狭山が電子タバコを咥えたまま、オーバーに肩を落とす。申し訳ないとは思うが、特に反省はしていない。
「でも、だめ。だってあんた無理やりにでもああいう場に連れてかないと彼女出来ないでしょ?こんな毎日仕事仕事ばっかでさ、出会いなんてそうそうないし、あってもあんたは面倒だって言ってスルーしそうだし。そんなこと言ってたらあっという間に三十路になって、四十路になって!次は、なんだっけ。いそじ?になっちゃうよ?一回り離れてる若くて可愛い女の子と結婚できるかも、なんて淡すぎる願望抱いてるとしたら大間違いだからね!それができるのは上流階級のイケオジだけで、一般人おじさんには無理だから。そんなんなっても独り身なんて可哀想だから、せめて出会いだけでもって、私が気を利かせてあげてるんじゃん!そりゃ、彼女がいるって言うならわざわざ来いなんていわないけど、どーせできてな」
「彼女できた」
「ああそうなんだ、って――え!?はぁっ!?」
「彼女。できたから、わざわざ呼んでくれなくていい。気ぃ利かせてくれてありがとうな」
穴という穴を最大限に広げてリアクション芸人のように驚く狭山の顔が面白くて、つい噴き出す。
「嘘!嘘でしょ!?また、来たくないからって適当なデタラメ言って!」
「嘘じゃない」
「あ!もしかして、彼女って柏木ちゃん!?そうだ!この前の飲み会の時二人でなんかコソコソしてたもんね!私見てたんだから」
「全然違うし、何もしてないから変な噂が立ちそうなこと言わないでくれ」
「いや、わかってる。あの後柏木ちゃんにそれとなく聞いてみたら、連絡先すら教えてくれない脈ナシ男に費やす時間はないですぅって小指立てて言われたし。今は同じチームの庄田さん狙ってるって言ってたし」
庄田さん。エダナナフシに似てると評判の三十五歳独身、庄田さんか。
「あっ、もしかして。前言ってた子?ほら、飲み会抜けた時の」
パッと表情を明るくする狭山に、煙草の箱を揺らして「そう。それ」と答える。
「うっそ!本当にそういう理由だったの!?二次元じゃないよね、リアルに実在する人物だよね!?なぁんだ、またてっきり適当についた嘘だとばっかり思ってたよ。ま、本当に予定はあったんだろうけど、しょうもない理由なんだろうなーって」
二次元の彼女とか、庄田さんじゃあるまいし勘弁してくれ。嘘だって、これといってついた覚えはない。まあ確かに、面倒臭いのは隠しもしていないが。狭山の中の俺は一体どういうイメージなのか、怖くてとても聞けそうにない。
「よかったねえ、それはよかった!」
そう言って狭山が笑みを深める。自分のことの様に喜んでくれるのは、普通に嬉しい。
「だったら今回は逃げられる前に指輪の一つでもプレゼントしなさい。ていうかあんたもつけて、『自分、彼女いるんで』アピールしなさい」
「なんだそれ」
前回別れた時の経緯を話したことはないが、狭山の中では俺が振られたことになっている。詳細を話したくはなかったから訂正もしてこなかったが、なるほど確かに、今思い返してみると、別れを切り出したのは俺だというだけで実際はかすみに逃げられたようなものだった。いや、手を離された、というべきか。
あの時はそんなかすみをすんなりと受け入れた。受け入れはしたものの、ずっと胸の奥で突っかかっていて、燻っていて、だからこそ無意識にかすみと付き合っていた頃のことをあまり思い出したいとは思わなかったのだ。再会する日まで、ずっと。
「普段無愛想で取っつきにくい男が不意に見せる笑顔にドキュンしちゃう可哀想な女子が一定数いるからねえ。そういう被害者を減らすための予防策。それに、指輪してればあんたを飲み会に呼んでほしい、なんて言われないだろーし」
また変なことを言い出す、と思ったが。そうか、指輪をしていないということは、交際相手がいないと捉えられることもあるのか。いや、俺が意識したこともなかっただけで、そう捉える人の方がむしろ一般的なのかもしれない。
狭山に言われて、初めてその事実に気付いた。
俺なんて周りからどう思われようと別に構わない。でも、俺をかすみに置き換えて考えてみると、話は全く別のものになる。
指輪をしていないかすみを見て、フリーだと認識する男がいるとして。それきっかけでかすみに好意を抱いたり、はたまたフリーなら頑張ってみようかと無駄にやる気にさせてしまったり。更には、距離を縮めようと下心満載で飲みや食事、デートに誘ってみたりして。
……なんだそれ。すげえ嫌だな。
生まれたばかりのモヤモヤは簡単にイライラへと変わる。
指輪は独占欲の表れなんて言われてるけど、本当それだ。自分のいない所でかすみを自分のものだと示すには、確かに指輪が一番手っ取り早い。早速買おうと心に決める。
俺に対する恋愛アドバイスと言う名の狭山の過去の恋愛話(何度も聞いている)に適当に相槌を打ち、キリの良い所で喫煙所を後にする。
「今度私にも紹介してね」
去り際にそう言われ、左手を軽く上げる。
狭山はそう口にしただけで本気で紹介してほしいなんて思っちゃいないだろうが、機会があればそれもいいかもしれない。
狭山は普通にいい奴だし、今後も何かと絡む機会は多いだろう。カラッとしたあけすけな性格は、多分かすみとも合う。それとは別に思う所もあるし。
デスクに戻り、大体の目処をつけて、作業を再開させる。作業効率が上がったかどうかは分からないが、頭も心も、どこかすっきりとしていた。
金曜の夜の電車内は、平日と言えどどこか浮ついているように感じる。
かすみにメッセージを送り、返事が来る前に途中下車する。二つの路線が交わるその駅はとても大きく、たくさんの人で賑わっていた。
壁にもたれかかりながら、本当にたくさんの人がいるんだなあ、とそんな当たり前のことをしみじみと思う。
これだけいれば、かすみよりも俺と相性や条件が抜群に合う相手もいるのかもしれない。それは俺だけでなく、かすみにとってもだ。
でも、俺はかすみがいいし、かすみもそうであってほしい。そうだと思えるように頑張りたい。互いにそういう関係でありたい。
一期一会というけれど、出会えたことも奇跡だが一緒に過ごす時間が互いをより特別なものにするんじゃないかなと思う。
だから、かすみの代わりは誰もいない。
だから、かすみのことを、もう二度と諦めない。
「うっす。お疲れ」
「ああ、狭山も。お前んとこも納期近いんだっけ?」
煙草を取り出し、並んで立つ。
「いや、まだ余裕あるんだけど。顧客が変更案出して来そうな雰囲気醸し出してるから、その他の部分はやっちゃえる内にやっちゃおうかなって」
「そりゃ大変だな」
「変更するなら早く言えって感じだよね。するかもしれませんって言われたって、ああそうですか、で?としか言えないじゃん。そういう宙ぶらりんなのが一番イライラするー!ああ、もう最悪。早く終わらせて次行きたーい!」
確か狭山のとこのクライアントは大手通信会社だったか。そちら様ののっぴきならない事情もあるんだろうけど、仕事を受けるこちら側としてはそんなもの関係ないし、いい迷惑だ、としか言えない。
この仕事をしていれば大なり小なり、よくあることだ。俺の取り掛かってる案件も今はまだスムーズに進行しているが、いつそうなってもおかしくはない。だからこそ、現段階では余裕があるにも関わらず、できるところまで進めておこうと残業なんかをしている訳で。かすみが先輩と飲みに行くと言わなければ、とっくの昔に帰っている。
「終わったら絶対飲みに行く!飲んでリミッター外してフィーバーする!!わかった!?」
「仲間内ならいいけど、前みたいのはもう勘弁してくれ」
「前?ああ、あの時ね。まあ、あんたあからさまにつまんなさそうにしてたもんねー。本当に主催者の顔を立てるどころかぺしゃんこにつぶしてくれる気の利かないやつだなって思ってたよ」
狭山が電子タバコを咥えたまま、オーバーに肩を落とす。申し訳ないとは思うが、特に反省はしていない。
「でも、だめ。だってあんた無理やりにでもああいう場に連れてかないと彼女出来ないでしょ?こんな毎日仕事仕事ばっかでさ、出会いなんてそうそうないし、あってもあんたは面倒だって言ってスルーしそうだし。そんなこと言ってたらあっという間に三十路になって、四十路になって!次は、なんだっけ。いそじ?になっちゃうよ?一回り離れてる若くて可愛い女の子と結婚できるかも、なんて淡すぎる願望抱いてるとしたら大間違いだからね!それができるのは上流階級のイケオジだけで、一般人おじさんには無理だから。そんなんなっても独り身なんて可哀想だから、せめて出会いだけでもって、私が気を利かせてあげてるんじゃん!そりゃ、彼女がいるって言うならわざわざ来いなんていわないけど、どーせできてな」
「彼女できた」
「ああそうなんだ、って――え!?はぁっ!?」
「彼女。できたから、わざわざ呼んでくれなくていい。気ぃ利かせてくれてありがとうな」
穴という穴を最大限に広げてリアクション芸人のように驚く狭山の顔が面白くて、つい噴き出す。
「嘘!嘘でしょ!?また、来たくないからって適当なデタラメ言って!」
「嘘じゃない」
「あ!もしかして、彼女って柏木ちゃん!?そうだ!この前の飲み会の時二人でなんかコソコソしてたもんね!私見てたんだから」
「全然違うし、何もしてないから変な噂が立ちそうなこと言わないでくれ」
「いや、わかってる。あの後柏木ちゃんにそれとなく聞いてみたら、連絡先すら教えてくれない脈ナシ男に費やす時間はないですぅって小指立てて言われたし。今は同じチームの庄田さん狙ってるって言ってたし」
庄田さん。エダナナフシに似てると評判の三十五歳独身、庄田さんか。
「あっ、もしかして。前言ってた子?ほら、飲み会抜けた時の」
パッと表情を明るくする狭山に、煙草の箱を揺らして「そう。それ」と答える。
「うっそ!本当にそういう理由だったの!?二次元じゃないよね、リアルに実在する人物だよね!?なぁんだ、またてっきり適当についた嘘だとばっかり思ってたよ。ま、本当に予定はあったんだろうけど、しょうもない理由なんだろうなーって」
二次元の彼女とか、庄田さんじゃあるまいし勘弁してくれ。嘘だって、これといってついた覚えはない。まあ確かに、面倒臭いのは隠しもしていないが。狭山の中の俺は一体どういうイメージなのか、怖くてとても聞けそうにない。
「よかったねえ、それはよかった!」
そう言って狭山が笑みを深める。自分のことの様に喜んでくれるのは、普通に嬉しい。
「だったら今回は逃げられる前に指輪の一つでもプレゼントしなさい。ていうかあんたもつけて、『自分、彼女いるんで』アピールしなさい」
「なんだそれ」
前回別れた時の経緯を話したことはないが、狭山の中では俺が振られたことになっている。詳細を話したくはなかったから訂正もしてこなかったが、なるほど確かに、今思い返してみると、別れを切り出したのは俺だというだけで実際はかすみに逃げられたようなものだった。いや、手を離された、というべきか。
あの時はそんなかすみをすんなりと受け入れた。受け入れはしたものの、ずっと胸の奥で突っかかっていて、燻っていて、だからこそ無意識にかすみと付き合っていた頃のことをあまり思い出したいとは思わなかったのだ。再会する日まで、ずっと。
「普段無愛想で取っつきにくい男が不意に見せる笑顔にドキュンしちゃう可哀想な女子が一定数いるからねえ。そういう被害者を減らすための予防策。それに、指輪してればあんたを飲み会に呼んでほしい、なんて言われないだろーし」
また変なことを言い出す、と思ったが。そうか、指輪をしていないということは、交際相手がいないと捉えられることもあるのか。いや、俺が意識したこともなかっただけで、そう捉える人の方がむしろ一般的なのかもしれない。
狭山に言われて、初めてその事実に気付いた。
俺なんて周りからどう思われようと別に構わない。でも、俺をかすみに置き換えて考えてみると、話は全く別のものになる。
指輪をしていないかすみを見て、フリーだと認識する男がいるとして。それきっかけでかすみに好意を抱いたり、はたまたフリーなら頑張ってみようかと無駄にやる気にさせてしまったり。更には、距離を縮めようと下心満載で飲みや食事、デートに誘ってみたりして。
……なんだそれ。すげえ嫌だな。
生まれたばかりのモヤモヤは簡単にイライラへと変わる。
指輪は独占欲の表れなんて言われてるけど、本当それだ。自分のいない所でかすみを自分のものだと示すには、確かに指輪が一番手っ取り早い。早速買おうと心に決める。
俺に対する恋愛アドバイスと言う名の狭山の過去の恋愛話(何度も聞いている)に適当に相槌を打ち、キリの良い所で喫煙所を後にする。
「今度私にも紹介してね」
去り際にそう言われ、左手を軽く上げる。
狭山はそう口にしただけで本気で紹介してほしいなんて思っちゃいないだろうが、機会があればそれもいいかもしれない。
狭山は普通にいい奴だし、今後も何かと絡む機会は多いだろう。カラッとしたあけすけな性格は、多分かすみとも合う。それとは別に思う所もあるし。
デスクに戻り、大体の目処をつけて、作業を再開させる。作業効率が上がったかどうかは分からないが、頭も心も、どこかすっきりとしていた。
金曜の夜の電車内は、平日と言えどどこか浮ついているように感じる。
かすみにメッセージを送り、返事が来る前に途中下車する。二つの路線が交わるその駅はとても大きく、たくさんの人で賑わっていた。
壁にもたれかかりながら、本当にたくさんの人がいるんだなあ、とそんな当たり前のことをしみじみと思う。
これだけいれば、かすみよりも俺と相性や条件が抜群に合う相手もいるのかもしれない。それは俺だけでなく、かすみにとってもだ。
でも、俺はかすみがいいし、かすみもそうであってほしい。そうだと思えるように頑張りたい。互いにそういう関係でありたい。
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