【R18】大好きな幼馴染が勇者になったので

遙くるみ

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大好きな幼馴染が勇者になったので

アン(9)

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「……好きだよ。ずっと、ずっと前から」

 耳元で囁かれた言葉を理解するまでに、少し時間がかかった。

 好き?ヒューゴが、私を?
 ずっとずっと前から?

 信じられない。そんなの急に言われたって信じられる訳がない。
 そう強く思うのに、後から後から涙が溢れて止まらない。

 それは単なるその場しのぎで、言いくるめられているだけかもしれない。ヒューゴの言う好きと、私のヒューゴに対する好きは、全然違うものかもしれない。

 だけどさっきから、ヒューゴの心臓がバクバクとすごい音を鳴らしているのが伝わってきて、私に触れるヒューゴの身体が僅かに震えていて。
 そんなヒューゴは初めてで。だから、すんなりとその言葉を受け止めることができたんだ。

「アン、好きだから。俺から離れないで」

 ヒューゴのことなんて、もう好きじゃない。

 そう自分に言い聞かせていたけど、物心ついた頃からの想いは、そう簡単に消えてくれないらしい。ヒューゴに抱き締められただけで、簡単に完全に、ヒューゴに恋していた時の自分に引き戻されてしまった。
 私の頭に、身体に、懐かしくも心地良い熱がこみ上げてる。

 嘘つき、口ばっかり、信じない。
 そう心の中で罵倒して、実際に口に出してやろうと思っていたのに、私はヒューゴの腕の中で何度も何度も頷いていた。

 顎をクイっと上げられ優しく唇を重ねる。
 ヒューゴの唇は少し震えていた。そんなことは今までに何回も何回もしてきた中で、多分初めてだ。

 何だか、ヒューゴの方が私に捨てられるのを恐れているみたい。大丈夫だよって伝えたくて、そっと背中に手をまわし、抱き締めてあげる。
 キスがどんどんと深くなり熱を帯びる。
 私の中がヒューゴで満たされていく。

 そのまま後ろのソファに倒され、物凄いスピードで服を脱がされた。

「っえ!?ちょ、ちょっと待って…」

「待てない」

 そう言いながらキスがどんどん下に降りていき、剥き出しになった乳首をパクリと食まれる。

「っぁ、あ」

 ここは私の家のリビングで、いつ両親が帰ってくるか分からないのに。そんなことお構いなしにヒューゴが愛撫を続ける。ヒューゴによって快楽を教え込まれた身体は簡単に高められ、太股の間からはもうすでに、はしたなくも愛液が溢れていた。

「もう2ヶ月もアンの中に入ってない。限界なんだ」

 そう言うとヒューゴはお腹につきそうな位雄々しく反り返ったものをとりだし、ゆっくりと私にあてがった。
 私をじっと射抜く瞳が、本気だと、後戻りはできないんだと訴えている。

「っあ!あっ、んんー!!」

 久し振りに浸入してきたものを追い出すように、私の中がぎゅうぎゅうとヒューゴを締め付ける。
 いきなり入れるなんてやっぱりただやりたいだけだったのかと一瞬思ったけど、今までで一番優しく丁寧に挿入され、歓喜の涙が溢れた。

 私のことを大切にしてくれてる。
 
 ゆっくりと私の反応を見ながらヒューゴが腰を動かす。最初は解すように静かに、私の様子を伺いながら次第にペースが上げて激しくなっていった。
 私の感じるところを執拗に攻められ、声が抑えられない。快感が電流となって全身に駆け巡る。

「あっあっ、あー!」

「アン、っはぁ、気持ちいい?」

 不安げな表情で私を見つめる瞳は僅かに揺れていた。
 いつも自分本意なセックスで、私のことなんてお構いなしだったのに、そんなこと初めて言われた。単純な私はすぐ嬉しくなっちゃって、それがそのまま身体の反応へと変わる。嬉しいよ、好きだよ、と言うかのように、お腹の奥がぎゅうぎゅう締まる。

「っぁ!好き、ヒューゴが好き。っん、ぁ、ずっと、好きっ」

 感情の波が抑えられず溢れて、こぼれる。気がつけば何度も何度も、飽きられるくらい、言葉にしていた。

「俺も。好き。ずっと一緒にいてよ」

「っん、っあっや、もうっ、イクっ!」

 ヒューゴが激しく腰を突き動かし、奥を攻められ、二人で同時に果てた。

 果てた後もしばらく身体を重ね、ヒューゴは私の頭を優しく撫で、抱き締めてくれた。

 気持ちよかった。

 こんなに心も身体も気持ちいいと思えたセックスは初めてだった。


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