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妹だと思っていた幼馴染が無理矢理ついてきたので
ヒューゴ(5)
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凱旋祝賀パーティは散々だった。
第二王女のヘレナは確かに顔は可愛かったが、化粧が濃く我が儘で気が強い女だった。
俺が結婚を断ったことに腹を立て、散々文句を言われ無茶ぶりさせられた。
ヘレナといるのは精神的に凄く辛く、一刻も早くアンの元に帰りたかった。
女の機嫌を取るのがこんなに疲れるなんて知らなかった。
やっぱり俺にはアンが一番だ。早くアンに癒されたい。アンといる時が一番落ち着く。
そう再確認し部屋に戻ると、そこにアンはいなかった。
サラの所にでも行っているのかと思い、疲れていたがそのままサラの所へ行く。しかし、アンはいなかった。
思い付くところ全て探したが、どこにもいない。
まさか事件や事故に巻き込まれたのでは、と青くなった所にライオスが近付いてきた。
「ヒューゴ。アンなら探してももう王都にはいない。村へ帰ったみたいだ」
「何だと?村へ、帰った?それ本当か、ライオス!村までどんだけ離れてると思ってんだよ!あいつ一人じゃすぐに魔物に襲われちまう!!くそっ!」
一体何が起こったのか理解できないまま、思い付く限りの言葉をぶつける。
アンが一人で帰った?何で俺と行かないんだ。何で俺に何も言わないんだ。いや、そんなことよりも道中魔物にでも襲われたら。魔物だけじゃない、悪いヤツらに目つけられでもしたらーー
「俺も帰る!後は頼んだ!」
「待て。さっき護衛を向かわせた。彼らならすぐに追いつき、無事にアンを村まで送り届けるだろう。それにお前はまだこの王都でやることがある。勝手に帰られては困る」
護衛がついていると聞き、ひとまず安心する。
確かにこの後も毎日のように晩餐会やら何やらが予定されている。でも、そんなこと知ったこっちゃない。
俺は今すぐ帰る支度を始めた。
「まあ、アンが帰るのも無理はないさ。恋人が自分を棄てて第二王女と結婚するなんて聞けばな」
ライオスの言葉に頭が真っ白になる。この堅物筋肉馬鹿は、今、なんつった?
「……そんなこと、アンには言ってない。それに結婚もしない!誰だ!そんな出鱈目なことアンに吹き込んだやつは!」
「さあな。でも全くの出鱈目ではないだろう。一度そういう話はあったんだから。そんな出鱈目な話をアンに信じさせてしまう、お前がいけないんじゃないのか?」
ブチッと頭の中で何かが切れ、気づけば俺はライオスを殴り倒していた。
「何だと!?俺がいけないって言うのか!?」
ライオスに馬乗りになって殴り付ける。が、ライオスに逆に投げられて床に強く身体を打った。
「そうだ!お前がいつもアンのことを大切に扱わないから!だから彼女はいつも不安げだったんだ!だから彼女はいつも隠れて涙を流していたんだ!全部お前のせいだ!」
言われて頭にかぁっと血が上る。
ライオスに再び殴りかかり、二人で取っ組み合いになる。
すぐにエルヴィスが現れて二人とも拘束の術をかけられた。
「……全く。二人ともちょっとは頭を冷やしな。とりあえず、アンは俺が遠視の術で逐一無事を確認するから安心しろ。ヒューゴ。お前がアンに対してどう思っていようと、それがアンに伝わってなきゃ何も意味はない。ちゃんと反省して、それからアンを迎えに行け。とりあえず、予定の組まれた2ヶ月は我慢しろ。……ライオスも、気持ちは分かるがヒューゴに当たるな。二人とも、二度と問題を起こすなよ、いいな」
エルヴィスの言葉が胸に突き刺さる。正論すぎて、何も言えねえ。
アンのことを好きだと自覚した後も、俺は今まで通りの態度を変えなかった。好きだとも伝えなかった。
こっ恥ずかしい気持ちもあったし、好きだなんて認めたらアンが調子に乗るんじゃないかと思って。
そんなガキ臭い理由で、アンを失いそうになっている。
第二王女との結婚のことだって、実際にするわけではないし、言わなくてもいいと思っていた。
全部、俺の言動のせいだった。
俺のせいでアンが離れていってしまう。
そう思うと過去の自分を殺してやりたかった。
第二王女のヘレナは確かに顔は可愛かったが、化粧が濃く我が儘で気が強い女だった。
俺が結婚を断ったことに腹を立て、散々文句を言われ無茶ぶりさせられた。
ヘレナといるのは精神的に凄く辛く、一刻も早くアンの元に帰りたかった。
女の機嫌を取るのがこんなに疲れるなんて知らなかった。
やっぱり俺にはアンが一番だ。早くアンに癒されたい。アンといる時が一番落ち着く。
そう再確認し部屋に戻ると、そこにアンはいなかった。
サラの所にでも行っているのかと思い、疲れていたがそのままサラの所へ行く。しかし、アンはいなかった。
思い付くところ全て探したが、どこにもいない。
まさか事件や事故に巻き込まれたのでは、と青くなった所にライオスが近付いてきた。
「ヒューゴ。アンなら探してももう王都にはいない。村へ帰ったみたいだ」
「何だと?村へ、帰った?それ本当か、ライオス!村までどんだけ離れてると思ってんだよ!あいつ一人じゃすぐに魔物に襲われちまう!!くそっ!」
一体何が起こったのか理解できないまま、思い付く限りの言葉をぶつける。
アンが一人で帰った?何で俺と行かないんだ。何で俺に何も言わないんだ。いや、そんなことよりも道中魔物にでも襲われたら。魔物だけじゃない、悪いヤツらに目つけられでもしたらーー
「俺も帰る!後は頼んだ!」
「待て。さっき護衛を向かわせた。彼らならすぐに追いつき、無事にアンを村まで送り届けるだろう。それにお前はまだこの王都でやることがある。勝手に帰られては困る」
護衛がついていると聞き、ひとまず安心する。
確かにこの後も毎日のように晩餐会やら何やらが予定されている。でも、そんなこと知ったこっちゃない。
俺は今すぐ帰る支度を始めた。
「まあ、アンが帰るのも無理はないさ。恋人が自分を棄てて第二王女と結婚するなんて聞けばな」
ライオスの言葉に頭が真っ白になる。この堅物筋肉馬鹿は、今、なんつった?
「……そんなこと、アンには言ってない。それに結婚もしない!誰だ!そんな出鱈目なことアンに吹き込んだやつは!」
「さあな。でも全くの出鱈目ではないだろう。一度そういう話はあったんだから。そんな出鱈目な話をアンに信じさせてしまう、お前がいけないんじゃないのか?」
ブチッと頭の中で何かが切れ、気づけば俺はライオスを殴り倒していた。
「何だと!?俺がいけないって言うのか!?」
ライオスに馬乗りになって殴り付ける。が、ライオスに逆に投げられて床に強く身体を打った。
「そうだ!お前がいつもアンのことを大切に扱わないから!だから彼女はいつも不安げだったんだ!だから彼女はいつも隠れて涙を流していたんだ!全部お前のせいだ!」
言われて頭にかぁっと血が上る。
ライオスに再び殴りかかり、二人で取っ組み合いになる。
すぐにエルヴィスが現れて二人とも拘束の術をかけられた。
「……全く。二人ともちょっとは頭を冷やしな。とりあえず、アンは俺が遠視の術で逐一無事を確認するから安心しろ。ヒューゴ。お前がアンに対してどう思っていようと、それがアンに伝わってなきゃ何も意味はない。ちゃんと反省して、それからアンを迎えに行け。とりあえず、予定の組まれた2ヶ月は我慢しろ。……ライオスも、気持ちは分かるがヒューゴに当たるな。二人とも、二度と問題を起こすなよ、いいな」
エルヴィスの言葉が胸に突き刺さる。正論すぎて、何も言えねえ。
アンのことを好きだと自覚した後も、俺は今まで通りの態度を変えなかった。好きだとも伝えなかった。
こっ恥ずかしい気持ちもあったし、好きだなんて認めたらアンが調子に乗るんじゃないかと思って。
そんなガキ臭い理由で、アンを失いそうになっている。
第二王女との結婚のことだって、実際にするわけではないし、言わなくてもいいと思っていた。
全部、俺の言動のせいだった。
俺のせいでアンが離れていってしまう。
そう思うと過去の自分を殺してやりたかった。
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