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本編
ジョセフ(2)
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サトゥは今日も朝早くに食堂へ来て、隅のテーブルに一人で座っていた。
目の前には山盛りのプレートがあり、それを黙々と口に運んでいる。
この国の一般的な女性よりも小柄な彼女には多すぎる量だが、一口一口ゆっくりと、でも確実に食べている。
今日はマブロウ鳥の丸焼きとサラダだった。
丸ごと一羽の鳥を前にどう食べていいのか分からないようで、かなり苦戦しているようだ。さっきからそのままかぶりついたり、小さく切り分けたりと試行錯誤しているのが見て取れる。
そんな彼女の様子を、俺は少し離れた席からそっと伺っていた。
マブロウ鳥は骨が細いので簡単に折れる。先に骨を取り除いてから食べるのが定番だ。皆そうしているがもちろん彼女に教えるものはいないし、彼女も聞こうとはしない。
俺もただ見ているだけで、わざわざ教える気はない。
親近感が湧いたと言ってもただそれだけで、やはり彼女に自分から関わる気はなかった。彼女も特に困っている様子はなかったし、俺の助けなんていらないだろう。
彼女を眺めながら、俺もマブロウ鳥にかぶりついた。
◇
バビオの木の剪定をしていると廊下を掃除しているサトゥを見かけた。彼女はまた一人で黙々と作業している。
たまに通る使用人にはきちんとお辞儀をし、邪魔にならないようにと端による。人がいなくなるとまた掃除をする。
そんなサトゥをぼーっと眺めていた。
「おい、ちょっと切りすぎじゃないか?これだとスッカスカだぞ?」
師匠に声をかけられハッとなる。完全に無意識だった。
「す、すいません」
「まあ、こんくらいなら何とかなるか。珍しいな、考え事か?ま、色々悩みもあるだろうが、切ってるときはこいつのこと考えてやってくれよ」
そう言って肩を強めに二度叩かれた。
他の木に比べ明らかに淋しくなった木を前にし、バツが悪くなり顔を背ける。師匠の言う通りだ。ぼーっとしていたせいで、切らなくてもいいところまで切ってしまった。俺のせいでこの木にいらない負担を与えてしまった。
木に対する罪悪感でいっぱいになり、心の中でごめんな、と呟いた。
「おっ?サトゥか?あの子も頑張ってるよな。遠い東の国から来たんだろ?言葉は喋れるみたいだが、他は全然みたいだな。字が読めないらしいと女中長が言っていたし。でもなあ、かなり苦労してるだろうに、弱音も吐かず真面目に仕事して、偉いよなあ。あの子見てると俺も頑張らなきゃなって思うわ」
師匠が掃除をしているサトゥを見つけて、独り言のように呟く。
「そうですね」
俺も気付けば同意していた。
彼女は一人でも、とても頑張っている。それは俺だけじゃなく、見ていれば誰でも直ぐに分かることだった。
◇
「で、どうだ?異世界の女は。何か気になるような所はあるか?」
兄が突然戻ってきたので、急遽夕食を一緒に取ることになった。
いつも通りある程度政治の話をすると、ふいにサトゥのことを尋ねられる。
「いえ、特には。とても真面目に仕事しているように見えますが」
どうせマイルズあたりから報告は受けてるだろうに、何故わざわざ俺に聞くのか。俺は当たり障りのないことだけを口にした。
「本当か。不審な動きはしていないか?迷惑はかけられていないか?」
何故あたかも迷惑をかけられている前提で聞いてくるのだ。彼女はこの屋敷内で誰よりも真面目に頑張っているというのに。
兄の決めつけたような口ぶりにムッとなる。
「サトゥは頑張ってますよ。それこそ他の女中達よりよっぽど」
兄はじっと何かを探るように俺を見つめ、考えるような素振りをした。
「そうか。まあ、ならいい。これからも監視は続けろ。いいな」
なんで俺が。そう思うが口には出さない。
どうせ何を言っても兄は俺の言うことなんて聞いてくれない。今までも、そしてこれからも。
兄にバレないように、俺は小さなため息をついた。
部屋に戻り明かりもつけずベッドに腰掛ける。何もする気が起きず、そのまま後ろに倒れベッドに背中を預ける。
真っ暗な部屋の中、ただぼーっと天井を見つめ、何となくサトゥのことを思い浮かべた。
彼女も今頃一人で部屋にいるのだろう。まさか他の女中と町へ出かけたり、誰かの部屋でお喋りなどしていまい。
彼女は元の世界に帰りたいとは思わないのだろうか。
何故、文句も言わずにここで働いているのだろう。
彼女は何を考えて、今過ごしているのだろう。
仰向けになったままチラリと部屋の隅に視線を移す。そこにはずっと、俺の剣が立て掛けてある。
毎日毎日あの剣を握り、稽古に明け暮れた。
けどもうあの剣を振るうことは出来ない。短時間なら支障はないが、とても騎士としてはやっていけない。医者に言われなくっても、そんなこと自分がよく分かってる。
本当に、今まで努力してきたことは無駄だったんだろうか。
本当に、兄の言う通りにするしか方法はないのだろうか。
俺はこれから、どうすればいいのだろうか。
答えは出ないまま目蓋を閉じる。真っ暗になった視界の先に、サトゥの一つにくくった黒髪が重なった。
◇
ジリジリと照りつけるような日差しも穏やかになり、日中も幾分か過ごしやすくなってきた。もうこれから気温は下がるだけだ。今は心地よく感じている風も、どんどん冷たくなり、数日もすれば身体を冷やしていくのだろう。
夏が終わってしまった。約束の期限がもうすぐそこまで来ているのに、結局俺は一歩も進めていない。
庭の植え込みを手入れしていると、ふいに声をかけられた。
誰だと思い振り向くと、そこにはサトゥが立っていた。
「サトゥ」
今まで遠目で見ることはたくさんあったが、こんなに近くで、会話どころか碌に挨拶したこともなかった、サトゥが。
突然の出来事に心臓が跳ねる。
「ここじゃ、ちょっと。そこの温室で」
いきなり俺に何の用なのか全く思い付かず、つい顔をしかめてしまったが、サトゥから声をかけられ自分でも思った以上に動揺したみたいだ。心臓がリズミカルに脈打ち始める。関わりたくないと思っていたはずなのに、気がつけば「いいよ」と答えていた。
温室に向かうサトゥの後ろを歩きながら、ぼんやりとサトゥを見下ろす。
思っていた以上に小柄で華奢な身体つきだ。
首が細く露になった首筋は、真っ黒な髪とは対称的に透き通るように白かった。そして、一つに束ねられた髪は絹のように真っ直ぐで、日の光を反射してキラキラと輝いている。
背筋を伸ばして真っ直ぐ温室へ向かうサトゥから、俺は目が離せなかった。
温室に入り、人目のつかない大きな植物の陰に向かう。
向かい合ったサトゥは顔を上げ、真っ直ぐに俺を見つめてきた。
その真っ黒な瞳は凛としていて確かな意思を宿していたが、初めて近くで見たサトゥは丸みを帯びた透き通った頬に、控え目な鼻と穏やかな眉が印象的で、全体的に幼く見えた。
サトゥと向かい合い、俺の心臓はさっきから落ち着きなく早足でリズムを刻んでいる。落ち着けと念じるも、鼓動が収まることはない。
何でもない風を装ってどうしたのか聞くと、字が書けるかと質問された。書けると答えると、サトゥは急に早口で捲し立て身を乗り出し、いきなり俺の手を握ったかと思えば、そのままサトゥ自身の胸に押し当てた。
「えっ!?ぅえっ!!!!?」
予想外過ぎる出来事に、馬鹿みたいな声が出た。
頭は混乱していて何が起きているのか把握出来ないが、手のひらで感じる柔らかさはしっかりと伝わり、頬に熱が集まる。
サトゥはさらに服のボタンを外し、俺の手を直接服の中に誘導する。そこに一切の躊躇いもなかった。
手のひらに感じたのは温かくて柔らかい人の温もりで、そして微かにサトゥの鼓動を感じた。
その瞬間、今まで遠目で見ていた彼女が急に現実のものだと思い知らされた。
生きている。サトゥは生きて、ここにいるんだ。
そんな俺に構うことなくサトゥが何かを延々と語っている。もちろん全然頭には入ってこない。彼女にじっと見つめられ、心臓がまた跳ねる。
彼女の真っ黒な瞳に、情けない顔をして狼狽えている自分が映っている。
彼女は異世界人で、聖女になりえた存在で、兄には監視しろと言われていて、俺も関わりたくなくて。
頭の中で警報が激しく鳴っている。どうにか胸に当てた手を離そうとすると、急に抱きつかれサトゥの顔が至近距離に迫った。
そして、そのまま唇を重ねられる。
あまりの驚きに目を見開くと、お互いの睫毛が触れあいそうな距離で、サトゥが目を細め、フッと顔を綻ばした。
ーー初めて見た、サトゥの笑顔。
今まで常に無表情だった彼女からは想像も出来ないほど、それは温かで優しい、まるで、女神のような微笑みだった。
気が付けば強ばっていた緊張が解け、俺も自然と笑っていた。
重なった唇を動かし柔らかいサトゥの唇を堪能する。押し付けられていた手を、自らの意思で動かし柔らかな胸を揉みこむ。
唇と手で実際のサトゥを確かめるように触れ、その存在を把握する。
サトゥは抵抗するように身を捩っていたが、気付かないふりをした。
舌を差し入れ絡めると、サトゥが苦しそうに眉をひそめ、乳首をそっと摘まめば、小さな高い声が漏れる。段々とサトゥの息が荒くなり、それに比例するように頬も赤く染まっていく。
彼女の声も表情も、仕草も。全て自分の行為によって引き出されているのかと思うと、何とも言えない光悦感に包まれる。
血の通っていない人形のように思えた彼女に、俺が命を吹き込んでいるかのようだ。
ヤバい、可愛い。もっと色んな顔が見たい、もっともっとサトゥのことが知りたい。
夢中になってキスを繰り返していると、ドンッと胸を叩かれた。
ハッと我に返って唇を離すと、息を荒げて頬を赤く染めたサトゥが、ちょっと怒ったように俺を上目使いで見上げていた。
なんだそれ、可愛すぎて悶え死ぬ。俺を殺す気なのか。
サトゥを抱え込んで離さないままどうしたのか問うと、先ほどの件はオッケーなのかと聞かれた。そういえば何か言ってたなと思い返すも、頭に血が昇っていてうまく思い出せない。
適当に返事を返すと、彼女は早口で契約条件を言い始めた。
勉強?セックス?恋人?
上手く理解ができず固まっていると、そっと股間に手を重ねられた。生理反射でビクンと身体が跳ねる。
サトゥの顔は完全に俺を誘っていて、この先を想像するのは容易だった。頭の遠くの方では未だに、だめだ、やめろと激しく警報が鳴り響いている。
でも今まで見てきたサトゥの人物像から、誰かを騙したり貶めたりするようには思えなかったし。それに凛としたサトゥの瞳は、不安で少し揺れていた。
何より、サトゥになら騙されてもいいと、俺はこの時はっきりと思ってしまった。
彼女が俺を必要としている。理由はそれだけで充分じゃないか、と。
了承の返事をすると、サトゥはホッとしたように表情を緩めた。
そのまま唇に貪りつき深く唇を重ねる。小さな口から溢れる唾液を吸い、自分のものと絡めると、ひどく興奮した。柔らかい胸を堪能しながら、足を開かせ膝を入れる。さらに舌を差し込むと、立っているのが辛くなったのか両手を俺の首に回し、サトゥがすがり付いてきた。ゾクゾクっと、全身に震えが駆け巡る。
もっと、もっと俺を求めてほしい。
乳首を強めに摘まむと、抑え気味に声が漏れた。それが悔しくってさらにくりくり捏ねると、キスの合間に高い声が溢れた。
ーーもっと、もっと。
スカートの中に手を入れショーツの上からそっとなぞる。そこはしっとりと湿っていて、その事実に嬉しくなる。
彼女は俺の行為によって感じている。
キスを繰り返しながらサトゥを伺うと、顔を真っ赤に染め、固く瞼を閉じていた。とても彼女から誘ってきたとは思えない、余裕の欠片もない表情に心が踊る。
可愛い。可愛い。もっと、違う顔が見たい。その先を知りたい。
ショーツの上から突起をそっと潰し、サトゥの反応を伺った。
「っ。ん、っぁっ」
必死に声を抑え、サトゥが小さく喘ぐ。舌を差し込み無理矢理口を開かせ、さっきよりも強めにくりくりと捏ねと、サトゥの身体がビクッと震え、溜まらずといった風に大きめな声が漏れた。
「!っんぁ!!」
そのことに、この上ない悦びを感じる。
サトゥは立っているのがさらに辛くなったようで、差し込んだ俺の膝に体重をかけてきた。両手も力が抜けてきて、今にも解けてしまいそうだ。胸から手を離し両手でしっかりと尻を揉みこみ、サトゥを支える。尻を揉みしだきながら、サトゥの重みを利用して膝で突起を刺激してやると、苦しそうに顔をしかめるた。でも、止めてはやらない。
少し涙目になった目尻にそっと口付ける。サトゥの涙はしょっぱかった。
サトゥも普通の女の子なんだ。
そう思うと止めどなく愛しさが込み上げてきて、それと同時に、自分のものにしたくて堪らなくなった。
「ごめん、ちゃんと解してあげたいんだけど、手洗ってないからこのまま入れるね」
そう呟いて素早くサトゥを後ろ向きにし、壁に押し付ける。
サトゥは驚いたようだが抵抗せず、言われる通り壁に手をついた。俺を受け入れてくれるんだと思うと、嬉しくてたまらなかった。
自分のものを取り出すと今まで見たことないくらいギンギンに立ち上がり、先走りで先端が濡れていた。
どんだけだよ、と苦笑してそっと手を添える。スカートを捲りずらしたショーツからサトゥの蜜口に熱い切っ先を当てれば、そこは温かくもいやらしい蜜で溢れていた。
まるで俺を歓迎してくれているようだ。自分に都合のいい解釈をして、そのままゆっくりと腰を押し進める。
流石にいきなりは辛かったか。サトゥが苦しそうに小さく唸る。でも、止めろとは言わない。
少しでも緊張を和らぎたくてサトゥの項に唇を寄せる。軽くチュッチュッと吸い付くと、肩の強ばりが少し和らいだようだった。そしてまた腰を進める。
処女ではないと言っていたのは本当のようで、はじめこそ抵抗を見せたそこは、先端の太い部分が入ってしまえば後はどんどん中へ促すように絡み付いてきた。全部中に埋め込んで、ぴたりと身体を重ね、大きく息を吐く。
全て入った充足感と焦燥感が、大きな波となって交互に押し寄せる。
処女でないという事実が、サトゥとこの行為をし、サトゥのこの表情を見たことがあるやつがいるという事実が、無性に許せなかった。悔しくて堪らない。
サトゥの中に入ったまま胸を揉むと、ぎゅうぎゅうとさらにきつく俺を締め付けてくる。久し振りの感覚に早くも吐精したくなるが、死ぬ気で我慢する。胸を揉みながらゆっくりと前後すると、サトゥの荒い息遣いが聞こえた。もっとサトゥの声が聞きたくて耳にキスをすると、我慢しきれず可愛い高い声が漏れる。
「あっ、やあ、そこ、だめ、んん」
余裕の欠片もないその声が俺の心を充足感で満たす。このままずっと入っていたかったが、再び吐精感が込み上げてきた。我慢でどうにか出来るとは思えない。残念過ぎるが、ここまでか。胸から手を離してサトゥの腰に手を当て、激しく腰を前後する。
「っあ!っん、っあっあ!!」
サトゥの声がさらに大きくなり、俺のものをきつく締め付ける。見下ろした項は真っ赤に染まり、いつもきちんとまとめられている髪は淫らに解れていた。腰を前後に振りながらサトゥの項にきつく吸い付く。唇を離すと綺麗に赤く色付いていた。
それを満足げに眺めながら奥を突き上げ、全てを放つ。今まで体験したことのない、とてつもない解放感だった。
サトゥの背中に重なりながら荒くなった息を整える。首筋に顔を寄せ、目を瞑って余韻に浸る。サトゥの匂いを思いきり吸い込み、それを心置きなく堪能する。
心地よい温もりとサトゥの匂いに包まれて、久し振りに俺は生きていることを感じていた。
目の前には山盛りのプレートがあり、それを黙々と口に運んでいる。
この国の一般的な女性よりも小柄な彼女には多すぎる量だが、一口一口ゆっくりと、でも確実に食べている。
今日はマブロウ鳥の丸焼きとサラダだった。
丸ごと一羽の鳥を前にどう食べていいのか分からないようで、かなり苦戦しているようだ。さっきからそのままかぶりついたり、小さく切り分けたりと試行錯誤しているのが見て取れる。
そんな彼女の様子を、俺は少し離れた席からそっと伺っていた。
マブロウ鳥は骨が細いので簡単に折れる。先に骨を取り除いてから食べるのが定番だ。皆そうしているがもちろん彼女に教えるものはいないし、彼女も聞こうとはしない。
俺もただ見ているだけで、わざわざ教える気はない。
親近感が湧いたと言ってもただそれだけで、やはり彼女に自分から関わる気はなかった。彼女も特に困っている様子はなかったし、俺の助けなんていらないだろう。
彼女を眺めながら、俺もマブロウ鳥にかぶりついた。
◇
バビオの木の剪定をしていると廊下を掃除しているサトゥを見かけた。彼女はまた一人で黙々と作業している。
たまに通る使用人にはきちんとお辞儀をし、邪魔にならないようにと端による。人がいなくなるとまた掃除をする。
そんなサトゥをぼーっと眺めていた。
「おい、ちょっと切りすぎじゃないか?これだとスッカスカだぞ?」
師匠に声をかけられハッとなる。完全に無意識だった。
「す、すいません」
「まあ、こんくらいなら何とかなるか。珍しいな、考え事か?ま、色々悩みもあるだろうが、切ってるときはこいつのこと考えてやってくれよ」
そう言って肩を強めに二度叩かれた。
他の木に比べ明らかに淋しくなった木を前にし、バツが悪くなり顔を背ける。師匠の言う通りだ。ぼーっとしていたせいで、切らなくてもいいところまで切ってしまった。俺のせいでこの木にいらない負担を与えてしまった。
木に対する罪悪感でいっぱいになり、心の中でごめんな、と呟いた。
「おっ?サトゥか?あの子も頑張ってるよな。遠い東の国から来たんだろ?言葉は喋れるみたいだが、他は全然みたいだな。字が読めないらしいと女中長が言っていたし。でもなあ、かなり苦労してるだろうに、弱音も吐かず真面目に仕事して、偉いよなあ。あの子見てると俺も頑張らなきゃなって思うわ」
師匠が掃除をしているサトゥを見つけて、独り言のように呟く。
「そうですね」
俺も気付けば同意していた。
彼女は一人でも、とても頑張っている。それは俺だけじゃなく、見ていれば誰でも直ぐに分かることだった。
◇
「で、どうだ?異世界の女は。何か気になるような所はあるか?」
兄が突然戻ってきたので、急遽夕食を一緒に取ることになった。
いつも通りある程度政治の話をすると、ふいにサトゥのことを尋ねられる。
「いえ、特には。とても真面目に仕事しているように見えますが」
どうせマイルズあたりから報告は受けてるだろうに、何故わざわざ俺に聞くのか。俺は当たり障りのないことだけを口にした。
「本当か。不審な動きはしていないか?迷惑はかけられていないか?」
何故あたかも迷惑をかけられている前提で聞いてくるのだ。彼女はこの屋敷内で誰よりも真面目に頑張っているというのに。
兄の決めつけたような口ぶりにムッとなる。
「サトゥは頑張ってますよ。それこそ他の女中達よりよっぽど」
兄はじっと何かを探るように俺を見つめ、考えるような素振りをした。
「そうか。まあ、ならいい。これからも監視は続けろ。いいな」
なんで俺が。そう思うが口には出さない。
どうせ何を言っても兄は俺の言うことなんて聞いてくれない。今までも、そしてこれからも。
兄にバレないように、俺は小さなため息をついた。
部屋に戻り明かりもつけずベッドに腰掛ける。何もする気が起きず、そのまま後ろに倒れベッドに背中を預ける。
真っ暗な部屋の中、ただぼーっと天井を見つめ、何となくサトゥのことを思い浮かべた。
彼女も今頃一人で部屋にいるのだろう。まさか他の女中と町へ出かけたり、誰かの部屋でお喋りなどしていまい。
彼女は元の世界に帰りたいとは思わないのだろうか。
何故、文句も言わずにここで働いているのだろう。
彼女は何を考えて、今過ごしているのだろう。
仰向けになったままチラリと部屋の隅に視線を移す。そこにはずっと、俺の剣が立て掛けてある。
毎日毎日あの剣を握り、稽古に明け暮れた。
けどもうあの剣を振るうことは出来ない。短時間なら支障はないが、とても騎士としてはやっていけない。医者に言われなくっても、そんなこと自分がよく分かってる。
本当に、今まで努力してきたことは無駄だったんだろうか。
本当に、兄の言う通りにするしか方法はないのだろうか。
俺はこれから、どうすればいいのだろうか。
答えは出ないまま目蓋を閉じる。真っ暗になった視界の先に、サトゥの一つにくくった黒髪が重なった。
◇
ジリジリと照りつけるような日差しも穏やかになり、日中も幾分か過ごしやすくなってきた。もうこれから気温は下がるだけだ。今は心地よく感じている風も、どんどん冷たくなり、数日もすれば身体を冷やしていくのだろう。
夏が終わってしまった。約束の期限がもうすぐそこまで来ているのに、結局俺は一歩も進めていない。
庭の植え込みを手入れしていると、ふいに声をかけられた。
誰だと思い振り向くと、そこにはサトゥが立っていた。
「サトゥ」
今まで遠目で見ることはたくさんあったが、こんなに近くで、会話どころか碌に挨拶したこともなかった、サトゥが。
突然の出来事に心臓が跳ねる。
「ここじゃ、ちょっと。そこの温室で」
いきなり俺に何の用なのか全く思い付かず、つい顔をしかめてしまったが、サトゥから声をかけられ自分でも思った以上に動揺したみたいだ。心臓がリズミカルに脈打ち始める。関わりたくないと思っていたはずなのに、気がつけば「いいよ」と答えていた。
温室に向かうサトゥの後ろを歩きながら、ぼんやりとサトゥを見下ろす。
思っていた以上に小柄で華奢な身体つきだ。
首が細く露になった首筋は、真っ黒な髪とは対称的に透き通るように白かった。そして、一つに束ねられた髪は絹のように真っ直ぐで、日の光を反射してキラキラと輝いている。
背筋を伸ばして真っ直ぐ温室へ向かうサトゥから、俺は目が離せなかった。
温室に入り、人目のつかない大きな植物の陰に向かう。
向かい合ったサトゥは顔を上げ、真っ直ぐに俺を見つめてきた。
その真っ黒な瞳は凛としていて確かな意思を宿していたが、初めて近くで見たサトゥは丸みを帯びた透き通った頬に、控え目な鼻と穏やかな眉が印象的で、全体的に幼く見えた。
サトゥと向かい合い、俺の心臓はさっきから落ち着きなく早足でリズムを刻んでいる。落ち着けと念じるも、鼓動が収まることはない。
何でもない風を装ってどうしたのか聞くと、字が書けるかと質問された。書けると答えると、サトゥは急に早口で捲し立て身を乗り出し、いきなり俺の手を握ったかと思えば、そのままサトゥ自身の胸に押し当てた。
「えっ!?ぅえっ!!!!?」
予想外過ぎる出来事に、馬鹿みたいな声が出た。
頭は混乱していて何が起きているのか把握出来ないが、手のひらで感じる柔らかさはしっかりと伝わり、頬に熱が集まる。
サトゥはさらに服のボタンを外し、俺の手を直接服の中に誘導する。そこに一切の躊躇いもなかった。
手のひらに感じたのは温かくて柔らかい人の温もりで、そして微かにサトゥの鼓動を感じた。
その瞬間、今まで遠目で見ていた彼女が急に現実のものだと思い知らされた。
生きている。サトゥは生きて、ここにいるんだ。
そんな俺に構うことなくサトゥが何かを延々と語っている。もちろん全然頭には入ってこない。彼女にじっと見つめられ、心臓がまた跳ねる。
彼女の真っ黒な瞳に、情けない顔をして狼狽えている自分が映っている。
彼女は異世界人で、聖女になりえた存在で、兄には監視しろと言われていて、俺も関わりたくなくて。
頭の中で警報が激しく鳴っている。どうにか胸に当てた手を離そうとすると、急に抱きつかれサトゥの顔が至近距離に迫った。
そして、そのまま唇を重ねられる。
あまりの驚きに目を見開くと、お互いの睫毛が触れあいそうな距離で、サトゥが目を細め、フッと顔を綻ばした。
ーー初めて見た、サトゥの笑顔。
今まで常に無表情だった彼女からは想像も出来ないほど、それは温かで優しい、まるで、女神のような微笑みだった。
気が付けば強ばっていた緊張が解け、俺も自然と笑っていた。
重なった唇を動かし柔らかいサトゥの唇を堪能する。押し付けられていた手を、自らの意思で動かし柔らかな胸を揉みこむ。
唇と手で実際のサトゥを確かめるように触れ、その存在を把握する。
サトゥは抵抗するように身を捩っていたが、気付かないふりをした。
舌を差し入れ絡めると、サトゥが苦しそうに眉をひそめ、乳首をそっと摘まめば、小さな高い声が漏れる。段々とサトゥの息が荒くなり、それに比例するように頬も赤く染まっていく。
彼女の声も表情も、仕草も。全て自分の行為によって引き出されているのかと思うと、何とも言えない光悦感に包まれる。
血の通っていない人形のように思えた彼女に、俺が命を吹き込んでいるかのようだ。
ヤバい、可愛い。もっと色んな顔が見たい、もっともっとサトゥのことが知りたい。
夢中になってキスを繰り返していると、ドンッと胸を叩かれた。
ハッと我に返って唇を離すと、息を荒げて頬を赤く染めたサトゥが、ちょっと怒ったように俺を上目使いで見上げていた。
なんだそれ、可愛すぎて悶え死ぬ。俺を殺す気なのか。
サトゥを抱え込んで離さないままどうしたのか問うと、先ほどの件はオッケーなのかと聞かれた。そういえば何か言ってたなと思い返すも、頭に血が昇っていてうまく思い出せない。
適当に返事を返すと、彼女は早口で契約条件を言い始めた。
勉強?セックス?恋人?
上手く理解ができず固まっていると、そっと股間に手を重ねられた。生理反射でビクンと身体が跳ねる。
サトゥの顔は完全に俺を誘っていて、この先を想像するのは容易だった。頭の遠くの方では未だに、だめだ、やめろと激しく警報が鳴り響いている。
でも今まで見てきたサトゥの人物像から、誰かを騙したり貶めたりするようには思えなかったし。それに凛としたサトゥの瞳は、不安で少し揺れていた。
何より、サトゥになら騙されてもいいと、俺はこの時はっきりと思ってしまった。
彼女が俺を必要としている。理由はそれだけで充分じゃないか、と。
了承の返事をすると、サトゥはホッとしたように表情を緩めた。
そのまま唇に貪りつき深く唇を重ねる。小さな口から溢れる唾液を吸い、自分のものと絡めると、ひどく興奮した。柔らかい胸を堪能しながら、足を開かせ膝を入れる。さらに舌を差し込むと、立っているのが辛くなったのか両手を俺の首に回し、サトゥがすがり付いてきた。ゾクゾクっと、全身に震えが駆け巡る。
もっと、もっと俺を求めてほしい。
乳首を強めに摘まむと、抑え気味に声が漏れた。それが悔しくってさらにくりくり捏ねると、キスの合間に高い声が溢れた。
ーーもっと、もっと。
スカートの中に手を入れショーツの上からそっとなぞる。そこはしっとりと湿っていて、その事実に嬉しくなる。
彼女は俺の行為によって感じている。
キスを繰り返しながらサトゥを伺うと、顔を真っ赤に染め、固く瞼を閉じていた。とても彼女から誘ってきたとは思えない、余裕の欠片もない表情に心が踊る。
可愛い。可愛い。もっと、違う顔が見たい。その先を知りたい。
ショーツの上から突起をそっと潰し、サトゥの反応を伺った。
「っ。ん、っぁっ」
必死に声を抑え、サトゥが小さく喘ぐ。舌を差し込み無理矢理口を開かせ、さっきよりも強めにくりくりと捏ねと、サトゥの身体がビクッと震え、溜まらずといった風に大きめな声が漏れた。
「!っんぁ!!」
そのことに、この上ない悦びを感じる。
サトゥは立っているのがさらに辛くなったようで、差し込んだ俺の膝に体重をかけてきた。両手も力が抜けてきて、今にも解けてしまいそうだ。胸から手を離し両手でしっかりと尻を揉みこみ、サトゥを支える。尻を揉みしだきながら、サトゥの重みを利用して膝で突起を刺激してやると、苦しそうに顔をしかめるた。でも、止めてはやらない。
少し涙目になった目尻にそっと口付ける。サトゥの涙はしょっぱかった。
サトゥも普通の女の子なんだ。
そう思うと止めどなく愛しさが込み上げてきて、それと同時に、自分のものにしたくて堪らなくなった。
「ごめん、ちゃんと解してあげたいんだけど、手洗ってないからこのまま入れるね」
そう呟いて素早くサトゥを後ろ向きにし、壁に押し付ける。
サトゥは驚いたようだが抵抗せず、言われる通り壁に手をついた。俺を受け入れてくれるんだと思うと、嬉しくてたまらなかった。
自分のものを取り出すと今まで見たことないくらいギンギンに立ち上がり、先走りで先端が濡れていた。
どんだけだよ、と苦笑してそっと手を添える。スカートを捲りずらしたショーツからサトゥの蜜口に熱い切っ先を当てれば、そこは温かくもいやらしい蜜で溢れていた。
まるで俺を歓迎してくれているようだ。自分に都合のいい解釈をして、そのままゆっくりと腰を押し進める。
流石にいきなりは辛かったか。サトゥが苦しそうに小さく唸る。でも、止めろとは言わない。
少しでも緊張を和らぎたくてサトゥの項に唇を寄せる。軽くチュッチュッと吸い付くと、肩の強ばりが少し和らいだようだった。そしてまた腰を進める。
処女ではないと言っていたのは本当のようで、はじめこそ抵抗を見せたそこは、先端の太い部分が入ってしまえば後はどんどん中へ促すように絡み付いてきた。全部中に埋め込んで、ぴたりと身体を重ね、大きく息を吐く。
全て入った充足感と焦燥感が、大きな波となって交互に押し寄せる。
処女でないという事実が、サトゥとこの行為をし、サトゥのこの表情を見たことがあるやつがいるという事実が、無性に許せなかった。悔しくて堪らない。
サトゥの中に入ったまま胸を揉むと、ぎゅうぎゅうとさらにきつく俺を締め付けてくる。久し振りの感覚に早くも吐精したくなるが、死ぬ気で我慢する。胸を揉みながらゆっくりと前後すると、サトゥの荒い息遣いが聞こえた。もっとサトゥの声が聞きたくて耳にキスをすると、我慢しきれず可愛い高い声が漏れる。
「あっ、やあ、そこ、だめ、んん」
余裕の欠片もないその声が俺の心を充足感で満たす。このままずっと入っていたかったが、再び吐精感が込み上げてきた。我慢でどうにか出来るとは思えない。残念過ぎるが、ここまでか。胸から手を離してサトゥの腰に手を当て、激しく腰を前後する。
「っあ!っん、っあっあ!!」
サトゥの声がさらに大きくなり、俺のものをきつく締め付ける。見下ろした項は真っ赤に染まり、いつもきちんとまとめられている髪は淫らに解れていた。腰を前後に振りながらサトゥの項にきつく吸い付く。唇を離すと綺麗に赤く色付いていた。
それを満足げに眺めながら奥を突き上げ、全てを放つ。今まで体験したことのない、とてつもない解放感だった。
サトゥの背中に重なりながら荒くなった息を整える。首筋に顔を寄せ、目を瞑って余韻に浸る。サトゥの匂いを思いきり吸い込み、それを心置きなく堪能する。
心地よい温もりとサトゥの匂いに包まれて、久し振りに俺は生きていることを感じていた。
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“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
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「なんで料理で一番になってるのよ!?
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すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
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