惚れたのは貴方じゃありません!!貴方のお父様ですっっ!!!

カイナルミ

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28 結婚式当日

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結婚式当日は見事なまでの快晴であった。一昨日の夜に痛めた腰もマッサージのお陰かスッキリと治った。
エミリヤは早朝から昨日と同じ様にマッサージを受けた後、結婚式の準備を始めた。

 「(結局、今日も執事しか居ないんですけど・・・。嘘でしょ・・・。今日必要な日じゃ無いならきっと侍女は嫁いでからも居ないんでしょうね・・・。子爵家の侍女は私専属とか居なかったし連れて来るのもなぁ・・・まぁ、ギルベルト様が決める事よね。ーーうん!追々考えましょう)」

スチュアートが軽食を持って来てくれたのを食べつつも、髪のセットやドレス着用の準備等着々と進み気付いた時には上から下まで完璧に仕上げられていた。

ーーコンコンコン

 「入るぞ」

 「ギルベルト様っ!!」

ギルベルトはエミリヤに近づくと横からスチュアートが、薄く大きい箱をギルベルトに差し出す。スチュアートが箱を開くと中にはギリギリで仕上がった美しいネックレスがあった。

 「エミリヤ、これは私が付けさせてくれ」
 「ーーはいっ!!お願いします!!」

ヴィルヘルムの目の色は茶色だが、ギルベルトの目の色は紅茶色で赤がやや強い。ネックレスの宝石は誰にも気付かれぬ様に小さめの紅茶色の宝石を贅沢に使ったものだ。
エミリヤが鏡の前に立ちギルベルトが後ろからつける。ドレス姿で満足していたが、ネックレスをつけたらこれが正解なんだと思う程にエミリヤを引き立たせる。

 「世界で一番美しいよ、私のエミィ・・・」

ギルベルトは後ろから腰に腕を回され鏡を見続けるエミリヤを抱きしめる。

 「ギルベルト様、お控え下さいませ。余りに嬉しくて我慢している涙が出てしまいますわ」

見上げるエミリヤの目はいつ涙が溢れ落ちるか分からない程潤んでいる。

 「ーーそうであったな。流石に式の前に目が赤くなるのは勿体無いな。それに鳴かせるのは帰ってからのお楽しみであったな」

ギルベルトの発言に意味の分かったエミリヤは耳まで赤く染めた。エミリヤが揶揄われた事を怒る前に化粧が崩れない様に首に口付けをして部屋を出て行った。それから残りの装飾品を執事達につけられ、ヴィルヘルムとは別々の馬車で教会へ向かった。エミリヤの乗る馬車にはギルベルトも一緒に乗った。


教会に着くとエミリヤはギルベルトと共に新婦控え室に向かうと両親と兄と弟が待っていた。



 「まぁっっ!!エミリヤったらこんなに美しくなって・・・イグリール公爵様、こちらのこともお気遣い頂き有難うございました。本来ならこちらですべき事までして下さり深く謝致します」

 「いえ、むしろこちらが申し訳なく思っていますよ。1人娘であるエミリヤ嬢の嫁入りの準備をしたかったでしょうに無理を言って最後の家族の思い出を奪ってしまったのですから」
 「・・・御配慮ありがとうございます。こんなにもお前に優しくして下さる公爵様の家に嫁げるんだ、エミリヤ良かったな・・・うぅっ・・・」
 「本当良かったですね姉上!!ーーほらっ!!公爵様優しい人じゃ無いですかっ!噂は噂ですよっ母上も兄上も心配し過ぎですっ!!」

エミリヤの弟は屈託無く笑顔を家族に向けた。

 「こっこれ!!お前は何をっっ!!ーー公爵様、息子の教育がなっておらず面目次第もございません!!」
 「いや、構わぬ。ーー噂とはなんだい?おじさんに教えてくれないかな?」

弟の前にしゃがんでギルベルトは話を聞くと、どうやらエミリヤの夫になる相手が冷血伯爵と呼ばれている事とギルベルトも冷淡な人物だという噂を耳にし、領地にいたエミリヤの母と長男はかなり心配していたという事だった。

 「どうやら妻達の杞憂であった事はすぐ理解できた事でしょう」
 「そうですわね、エミリヤが自信作の香水を作った時の様に幸せそうですものね・・・良かったわ・・・」
 「エミリヤ、公爵様にご迷惑を余りお掛けするなよ?」

兄に言われて言葉に詰まるエミリヤ。

 「・・・はい。余りお掛けしない様に気をつけますわね・・・」
 「ーー公爵様、本当に本当にこの娘はじゃじゃ馬・・・いや、突飛な事をしでかす娘ですので他の貴族の御令嬢よりは優しい目で見守って下さると助かります。何卒宜しくお願いします!!」
 「ワイムール卿、エミリヤ嬢は聡明で優しく家を明るくする女性だ。他の貴族の御令嬢とは比べられんよ。比べるならば素晴らしいエミリヤ嬢と比べられてしまう御令嬢方は可哀想だとは思うがな」

そう言って恋人の様に見つめ合う2人を見たエミリヤの家族全員「あれ?この2人の結婚式だったかな?」と考え始めていた。そこに式の係員が来て子爵とエミリヤ以外は控え室を出て行った。

 「ーーエミリヤ幸せか?」
 「はいっっ!!幸せ過ぎて内臓が飛び出そうですわ!!」

発言は相変わらずなエミリヤだが、とても幸せそうであった為先程の公爵と想い合っている様な雰囲気に対して聞く事を子爵は止めた。

 「ーーそれなら良い」





式が始まりエミリヤは父親にエスコートされ入場する。先にはヴィルヘルムがいる。

 「(うっ!!今更緊張がっっっっ!!何か解れるものは・・・あらっ♪友人に招待状送るどさくさで彼女のお父様と家令のおじさまにも送ったけれどまさか来て頂けるなんて!!この後の披露宴では接待しなければ!!あら、あのおじさまは・・・)」

 「・・・おいっエミリヤ・・・」

注意散漫となっているエミリヤを子爵が小声で叱り、我に返った。

 「(危なかったわ・・・。危うく神父様に声掛けるところだったわ・・・)」

ヴィルヘルムと神父の元に辿り着き子爵がエミリヤをヴィルヘルムに預けた。神父がこの世界の女神に愛を誓うかと問いエミリヤとヴィルヘルムは誓った。そしてこの世界の結婚式では指輪交換は特にしないので、口付けだけを行う。2日ぶりに顔を合わせたヴィルヘルムは困った様に目が宙を泳いでいる。その様子にエミリヤは不思議に思ったが神父に促された為とっとと終わらせて、知り合いのおじさま方を披露宴でもてなさねばとヴィルヘルムが中々しないのでエミリヤの方から口付けすぐ離れた。
その後参列者から祝いの言葉や拍手を受け、新郎新婦は教会を後にしドレスを着替えるなど準備をする為に公爵家の披露宴会場に向かわなければならない。馬車に乗り込むところを皆が見ている為、ヴィルヘルムとエミリヤは同じ馬車に乗る。

 「(なんかさっきからヴィルヘルム様変なのよね~・・・戸惑っている?困惑?そんな雰囲気なんだけどなんなのかしら・・・。まぁ結婚式が終わったのなら問題ないわね!あーおじさま達結構来てくださってたわ~楽しみ~っっ♪ギルベルト様!!これは浮気ではないのですっっっっ!!)」

同乗しているヴィルヘルムと顔を合わせる事なく、エミリヤはこの後の披露宴に想いを馳せていた。ヴィルヘルムは口に手を置き何やらずっと考え込んでいる。その間に公爵家に戻り執事達によってあっという間に少し動きやすいドレスに着替えさせられた。

披露宴ではエミリヤは自分が招待状を送った人達に挨拶をするに当たって、形だけでも夫となったヴィルヘルムも一緒に連れて行った。

 「エミリヤ嬢・・・いや夫人になったのだったな!これは失礼しました」
 「侯爵様改めて言われますと恥ずかしいですわっ!ヴィルヘルム様こちらの侯爵様は私のお友達ですの」
 「初めまして、ヴィルヘルム・ゼスターです。エミリヤ・・・のご友人なのですか?」
 「はっはっは!!エミリヤ夫人は私の友人だとは言いたいが、実際は残念な事に私は弟子と言ったところだろうな」
 「まぁっ!!弟子だったのでしたらもっと頻繁に師匠の元に会いに来るものですわよ?」
 「確かにそうなのだが・・・公爵様に睨まれては敵わんからな。すまんがこれまで通りで頼めんだろうか?」
 「え?公爵様?大丈夫じゃないでしょうか??こちらは勿論今まで通りで構いませんわ」
 「???」

ヴィルヘルムが戸惑ったのも無理はない。子爵令嬢であったエミリヤと楽しげに会話していた父親程の年齢の男を友達と言い、侯爵は自身との関係は師弟関係だと言っている事だ。後半はヴィルヘルムによく分からないやり取りのまま終わり侯爵は他の参加者の元へ去って行った。

 「エミリヤ様、結婚式は一段とお美しかったですね」

次に挨拶をしたのはヴィルヘルムも知っている伯爵であった。こちらも年齢は父親程離れた男である。ヴィルヘルムも軽く挨拶を交わしたが仲が良い訳ではない。それはーーーー

 「いやぁ、派閥の違う私まで呼んで下さるとはエミリヤ様は寛大ですね」
 「ごめんなさいね?居心地悪いかしら?」
 「そんな事は無いですよ。派閥が違う位で呼ばれなかったら、毎日恨みの手紙を送りつけてしまう所でしたよ」
 「相変わらず伯爵様は面白い方ですわ♪」
 「そうそう、エミリヤ様。面白いといえば、この間面白い物を隣国から買い取ったのですが宜しかったら是非また王都の屋敷に見にいらして下さい。隣国から取り寄せた一風変わった飲み物やお菓子もご用意してますから」
 「本当!?やっ・・・コホン、近いうちに寄らせて頂きますわ」

伯爵はヴィルヘルムが普段王城等で見かけるキツい雰囲気は無く、返事をするエミリヤを孫でも見るかの様な優しい眼差しで見ていた。

 「・・・一体どういう・・・」

多くの謎の交友関係を見せられ、エミリヤの事が全く分からなくなり1人困惑したままではあったがつつがなく披露宴は終了した。








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