その理由は教えません 

keima

文字の大きさ
1 / 4

案件その六 大学教授 モリス・ブランドン その1   

しおりを挟む
―――このやりとり、いつまで続くんだろう。

 

 レオン・クオーツは目の前の依頼人クライアントを見て心の中でそう呟いた。 隣に座る事務官のロゼット・ミュラーも同じことを思っているのか少し疲れた表現をしている。

 

 「…………もう1度聞きます。婚約破棄の理由を教えて下さい。」

「それはいえません。」

「…………どうしてもですか?」

 「どうしてもです。」

「「・・・・・・・・」」

「何度言われても、婚約破棄の理由については話せません!! 」

 

「「・・・・・・・・・・」」

---------面倒くさいの来たなあ~~。

心の中でそう叫びながらレオンとロゼットは顔を見合わせながら、はぁぁ~と深い溜息をついた。 



依頼人の名はモリス・ブランドン。 
職業は大学で考古学を教えている教授。 婚約者は一回り年下のアリーチェ・リリス。女学校で同じく講師として働いている。
元々、アリーチェとは家が近所の幼馴染同士だったため、アリーチェは幼いころからモリス氏に思いを寄せていたらしく、長年にわたる熱烈なアプローチの末、2人は 交際を始め、来月式を上げる予定だったのだが突如、ブランドン氏が婚約破棄したいと第3者意見司法機関サードセクションに相談しにやってきたのだ。

 

「も~、何であそこまで破棄の理由を言わないんでしょう?」

 ブランドン氏が帰ったあと、書類整理をしていたロゼットがそうぼやいた。 

「婚約者が不貞してた……はないよな。話を聞く限り、婚約者の女性のほうがブランドン氏にベタ惚れのようだし。」

「じゃあ・・・・ブランドン氏が不貞していたとか‥…」

「うーん……」

顎に手を当てながらレオンは考えこみ、俺の推測だけど…と前置きすると……

「なんとなくだけど、あの人追いつめられている感じするんだよなぁ。」

「追いつめられてる……ですか?」

「追いつめられているって言っても、不貞行為をした者の疚しさとか焦りとかではなくて、もっと別の何かを隠している感じするんだよなぁ。」

「……レオン弁護官センセイ……ちょっと何言っているのかわかんないんですけど。」

「うん。自分でも正直何言ってるんだって思ってるよ。それに………」


 ――――こうするしか・・・・彼女を守れない・・・・

帰り際、ブランドン氏が呟いたその一言がレオンの耳に残り、刺のように引っかかっていた。

「・・・・・・あれはどういう意味なんだ?」

「?レオン弁護官センセイ何か言いました?」

 「あぁ……何でもない。とりあえず明日ブランドン氏の勤める大学にいって学生たちに話を聞いてみよう。何か分かるかも知れないし。」

 「了解!!」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

さようなら、あなたとはもうお別れです

四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。 幸せになれると思っていた。 そう夢みていたのだ。 しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

【完結】悪役令嬢の薔薇

ここ
恋愛
公爵令嬢レオナン・シュタインはいわゆる悪役令嬢だ。だが、とんでもなく優秀だ。その上、王太子に溺愛されている。ヒロインが霞んでしまうほどに‥。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

処理中です...